WBCにさして興味はないのですが、追い込まれたブラジル戦でおもわずブラジルを応援したのは判官贔屓というやつでしょう。野球中継前の番宣にて、アナウンサーの言葉に萎えたことも、ブラジルへ肩入れした理由かも知れません。
テレビ朝日のアナウンサーと古田敦也さんが並びます。中継の興奮を煽るアナウンサーが古田さんを紹介するさいこう呼び込みます。
「解説してくださる」
古田はいつからどこの宮家になったのでしょうか。なぜそこまで奉らなければならないのでしょうか。あるいは視聴者が古田先生のご見識を賜りながら、WBC中継を拝謁するという認識でしょうか。なるほど古田が「ノーギャラ」ならわかります。テレビ朝日としては、ノーギャラでご臨席を賜り、かしこくもお言葉を頂戴するということへの敬意を表しているのかもしれませんが、それは視聴者には関係のないこと。
以前、フジテレビの女子アナ、松尾翠が故立川談志のコメントを「お言葉をくださいました」としたとき、「おまえは弟子か」と突っ込みましたが、どちらにも通じるのは内向きの視点です。
古田は・・・と彼が悪いわけではありませんが・・・彼は「演者」の側です。いわば、テレビ朝日の番組的には「身内」です。ならば呼び捨てでもおかしくはありません。もちろん、プロ野球の有識者としての古田に敬意を払うことは視聴者として心地の良いものではありますが、丁寧すぎて視聴者を置き去りにしているその姿勢に苛つきを覚え、それがWBCへの感情に多少の影を落としたのです。
カメラの廻っていない裏側で尊敬語を使うことを否定しません。しかし、視聴者に対してどういう位置付けに解説者があり、アナウンサーはどの立場で語っているのか。これは先の番組だけではありませんが、とにかく丁寧そうな言葉を使っていれば、その場をしのげるという表現が多すぎます。かつてはこれを「慇懃無礼」といったのですがね。