なぜ、特捜が動いたのか? という疑問に見つけるテレビの超絶劣化

なぜ、特捜が動いたのか? という疑問に見つけるテレビの超絶劣化

 空を見上げて一句を吟じ、役者気取りの籠池泰典氏を密着し報じるテレビ局。どうかしています。

 ご存知、森友学園前理事長 籠池泰典氏、諄子夫人が、国の補助金をだまし取った詐欺の疑いで大阪地検特捜部に逮捕されました。それをテレビ各局はまるで「国策捜査の被害者」か、「安倍首相に使い捨てにされた悲劇の国士」であるかのように切り取ります。社会正義もへったくれもありません。

 これは旧ライブドア事件におけるホリエモンの扱いと正反対の態度。社会正義は大きく変容したのでしょうか。いいえ、違います。テレビが超絶劣化したのです。

 籠池夫妻の容疑は大きくわけて2点。「補助金適正化法違反容疑」とは騒動の発火点となった小学校建築に申請した補助金の不正受給で、金額の異なる3つの見積書(請負契約書)で話題になったものです。旦那の疑惑はこちら。

 妻の方は「詐欺」で、学園が経営する「塚本幼稚園」の専従教員や障害児らの数を偽っていたもの。ザックリと言えばどちらも「水増し」ということ。

 建築費の水増し疑惑については、国会証人喚問で「刑事訴追の恐れがあるので答弁は控えたい」と答えており、本人も違法性を認識しています。

 後者にしても「詐欺」で身柄を抑えたということは、検察側に相応の確証があると見るべきでしょう。一般論ながら詐欺は悪意の立証が求められ、事件化が難しいのです。悪意とは、相手に金銭的な被害を与える意思の有無で、つまり、「知らなかった」「よかれと思ってやった」との言い逃れができない証拠を押さえている可能性が高いということです。

 最終的には裁判所が判断することですが、現時点ではっきりしていることは、補助金とは公益に資する事業に支給される公金、ひらたくいえば「社会に役立ててね」と渡す税金です。

 これを建築費というスタートアップの資金と、教員や障害者の数に応じて受け取る運営費の、どちらからも受給していたということで、いわば補助金ゴロ、公的支援制度に巣くう寄生虫です。

 会社員が有無すら言えずに徴収されている税金であり、その従業員の給与も含めた経費を削って稼いだ企業の利益のあがりから巻き上げる税金からの不正取得です。

 国家の敵といっても過言ではない、と建て前論ではなる人物を、先のように持ちあげるマスコミはいかれています。あえて建て前論と断りをいれるのは、後に詳しくふれますが、実際にこの手の補助金の不正受給の話はありふれたことだから。

 事件発覚後、大阪地検の動きが遅くも見えたことを、安倍政権に批判的なメディアやコメンテーター、著名人は「国策捜査だ」との籠池容疑者の言葉を鵜呑みにし拡大再生産します。

 ちょっとまて。補助金詐欺は、先に触れたように本人が自覚していること。その詐欺師の「国策捜査」を鵜呑みにするとは、血塗られた出刃包丁を手にした通り魔の

「むこうから刺されにきた」

 という狂った弁明を信じるほど、頭のおかしい話です。それがまかり通る。テレビの劣化を語るには、これだけで十分かも知れませんが続けます。

 政治コメンテーターの田崎史郎氏は、

「ことの本質は土地の払い下げ価格値引きの妥当性にあり、特捜はことによっては値下げをけっていたい財務省に切り込まなければならない。財務省には国税があり、ここと連携しないと政治家の資金スキャンダルなどは追えない。関係悪化を怖れて躊躇しているのではないか(要旨)」

 と推測しますが、これが事実なら「悪い忖度」で、財務省に罪があるのであれば、そこに踏み込むのが特捜で、なにも政治家の悪事を暴くことだけが彼らの仕事ではありません、とのツッコミが入らなかったのが不思議・・・ながら、こちらはそうでもない。

 というのは都市伝説ながらも、民間における最強の役所は「税務署」といわれており、彼らの機嫌をこねると「税務査察」がはいり入ったことがマスコミにリークされます。

 はいっただけでも印象が悪いのに、「見解の相違」で取り立て「脱税」のレッテルを貼ることができる。つまり、実害と風評のダブルパンチをいつでも繰り出せるのが税務署・・・と、繰り返しになりますが都市伝説があります。だから、税務署批判は控えめになる、といわれています。私の奥歯にも、なぜかこの話題になると急にものが挟まるから不思議です。

 もっとも、これも本質論でいえばおかしな話しで、本来的には財政と、徴税権の切り離しをしなければ、こうした都市伝説がいつまで立っても消えないわけで、構造改革、岩盤規制といえば、これらから「ぶっこわす」べきなのですが、安倍政権の改革は中途半端。だから根っからの改革派からそっぽを向かれているとは余談。

 こんな説もあります。繰り返された特捜の失態から、いまは「リハビリ中」で、派手な動きができないというものです。籠池容疑者夫妻が一回目の取り調べで逮捕されなかったとき拡散されていました。こちらも違うでしょう。容疑は明らかだからです。

 それでは逮捕がここまで遅れた理由はなにか?

 これこそは「マスコミでは言えないこと」なのですが、この手の補助金不正は、掃いて捨てるほどあるので、果たして逮捕したときに、他の不正案件との公平性が担保できるか、これを特捜は吟味し、その上でゴーサインをだしたというのが私の見立です。

 まず、補助金の不正受給の手口は、今回の籠池容疑者夫妻と基本的には同じです。

 見積もりないし、発注書(請け書)などを補助金に申請に必要な書類を用意します。このとき、実際の費用より多い金額の書類を用意することで、自己負担額を少なくするのが不正受給の目論見です。

 森友学園でいえば実際の費用に1.5を掛けたお粗末な書類が用意されていたと2017年8月2日の読売新聞が伝えています。

 建築会社や、設計事務所といった仕事を貰う側は、クライアントの要求を断ることは困難ですし、気の利いた(といっては語弊がありますが)企業(発注主)になると、こうした「仮発注書」を作る経費分を上乗せさせることで「共犯者」とし、一蓮托生のグルにしてしまいます。

 違法合法で線を引けば違法。ながら、常態化している、とは過言としておきますが、補助金の不正受給は珍しいことではないのです。

 籠池容疑者の手口は単純すぎる点からは「珍しい」と言えますが、こんな手口もあります。

 要件を満たせば、費用の半額が支給される補助金があったとします。そこで実際の費用は100万円の案件を、120万円に水増しした見積もりと請け書を建設会社に発行させ、120万円で経理処理、金銭授受をします。その結果、補助金は半額で60万円支給されたとします。

 本来より10万円多く受け取った計算ですが、発注主は建築会社に20万円多く支払っているので、この時点では割高な発注をしたことになります。しかし、差額の20万円分を、後に別の取引で「値引き」していたらどうでしょうか。

 建築会社の言い分はこうです。先日の120万円のお仕事に感謝しての特別値引き。

 これぐらい単純なら、蓋然性から違法認定されるかもしれませんが、もう少し、巧妙に分割処理するなり、バイパス会社を通すなりすれば、正常な商取引にまぎれてしまいます。

 これらの手口を推奨するものではないので、職員の水増し案件についての解説は割愛しますが、それほど特殊な犯罪ではない。これは建て前論として、「実話ナックルズ」とかならアリかもしれませんが、社会正義を旨とする大手マスコミでは言えないことでしょう。

 だから、不正受給について語れないとしても、籠池容疑者夫妻を庇う理由にはならず、特捜批判など論外であるのは、「ライブドア事件」に通じるからです。

 先日、民間ロケットの打ち上げに失敗したベンチャー企業の役員を務める堀江貴文氏が、かつて代表を務めた旧ライブドアに東京地検特捜部がはいったのは2006年1月16日のこと。株価操縦のための風説の流布や、虚偽記載などで、前川喜平前文科次官風にいうなら「株式市場という公平公正な賭場を歪めた」といった容疑です。

 営業中の上場企業に特捜がはいるのは例がなく、当時はもちろん、いまもって「国策捜査」の指摘は少なくありません。国策捜査と批判する声は、従来の特捜の介入基準からして、誤魔化した金額が少なく、事業破綻もしていないというものです。

 同じく虚偽会計が疑われる東芝は、東証一部から二部に降格しましたが、いまだ上場が維持され、特捜が動かないことに評論家の三浦瑠麗氏など疑問を呈し、腐さします。

 私は旧ライブドア株主として、これは形式論からだけの詭弁、あるいは机上の空論と考えます。

 なぜなら、当時の旧ライブドアと同一人格であった創業者の堀江貴文氏は、「カネで人の心は買える」とか「もっと勉強しないとずる賢い人に騙されちゃいますよ」など、額に汗して働く人々、その勤勉性をあざ嗤うかの言動を繰り返していたからです。

 当時ワイドショーが彼を追った理由は、人を人とも思わぬ態度であり、法の隙間、株式市場の歪みをついての錬金術への批判が7割、のこりは嫉妬や羨望といったところでしょう。

 金額の大小にしても、合法的な株価分割を繰り返す手口も含めた株価の操縦、そして釣り上げた株価をもっての買収による成長で、種銭とも言える部分、あるいは事業の核心に触れる部分での不正は、東芝の例と同列に語ることはできません。

 端的にいえば、当時の社会システム、良識と常識への公然たる挑戦であり破壊を目論んでいた、とみられていたのです。だから、特捜が動き、旧ライブドアは株式市場が追放され、私の保有株式は紙切れとなり、いまも引き出しに眠っています。

 三浦瑠麗氏も含め、国策捜査との批判する人は基準とか、ルールの厳格運用を求めますが、それは学級会のような清く正しく理路整然としているだけの幼い議論です。

 社会は良識と常識を下敷きとしており、すべてのルールが明記されているものでもなければ、すべての悪事を取り締まることもできないという諦念の上に成立します。

 仮に10億円までの不正会計が見逃される、と明記されていれば、9億9999万9999円までは可能となってしまいます。反対に1円でもダメ、を厳格に守るためにチェックし取り締まるならば、その取り締まりコストは膨大なものになってしまいます。

 大袈裟な話ではなく、すべての企業の数だけ、その会計をチェックする役人が必要となり、役人が企業に取り込まれることもあれば、役人がミスすることも考えれば、さらにその役人をチェックする役人も置かなければ、1円単位の不正の撲滅は不可能だからです。

 当時のワイドショーは、いささか過剰な面もありましたが、すくなくとも特捜の動きを支持しました。社会通念上の「正義」から「人の心は金で買える」と広言する堀江貴文氏の言動を「是」としなかったのです。

 なお、この発言を堀江氏は後に否定しますが、彼自身が書いたとされる著書にしっかりとあり、こうした発言の変遷も、籠池氏に重なるのは私の乱視が進んだせいでしょうか。

 特捜がはいる前から「インサイダー取引」の疑惑が繰り返し報じられており、いわゆる「郵政解散選挙」のときに、広島6区から選挙に出たのも、国会議員の不逮捕特権を手に入れるためだったと囁かれ、ついでにいえば事実上の小泉自民党による擁立で、その後の民主党による政権交代の遠因のひとつになったことは間違いありません。翌年、逮捕されたとき、「そんな人物を事実上、担ぎ出した自民党」として批判されていたからです。当時の幹事長代理は安倍晋三現総理。

 籠池容疑者夫妻に重ねます。補助金詐欺事案そのものは、表だっては誰も言いませんが、よくあること。過失を含めればもっと増えることでしょう。

 一方で籠池容疑者夫妻は、これらが明らかになると「政権批判」に話しをすり替え、野党もマスコミもこれにのります。

 テレビの密着取材に答え、正義が我にあり国策捜査により虐められる国民を演じ拡散しました。

 不正受給、詐欺行為が発覚し、それは政権による攻撃との論理のすり替えは社会正義を歪めるものです。だから、特捜が動き、逮捕にまで至った。事件の内容や規模は異なりますが、自らの不正を社会正義にすり替える手口は、ライブドア事件における当時の堀江氏の詭弁と同じです。

 当事者が我が身を守るために説明を尽くす。それが詭弁になることはやむを得ないでしょう。

 問題はそれを鵜呑みにし、批判を加えず放送するテレビ局にあります。ライブドア事件の時は、批判を加えていました。

 読売新聞などによれば、籠池泰典容疑者は「本名・康博」であり、諄子容疑者も「本名・真美」とあります。

 名前すら「騙る」人物の「語り」を鵜呑みにする。かつてはそれなりの社会正義に立ち、堀江貴文氏に批判を加えていたテレビはもうどこにもありません。

 もしかしたら超絶劣化すら間違いかも知れません。

 籠池容疑者夫妻に有罪がくだったとき、テレビやそれに連なるマスコミは「犯罪擁護」をしていたということで、それはもはや健全な社会の構成員ではなく、すみやかに組織解体しなければならないテロリストに近いでしょう。

 つまり、報道機関ではなく工作機関、犯罪助長団体ということです。推定無罪の原則から、判決がくだるまで結論は留保しますが、超絶劣化であってほしいと、むしろ願います。

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