真打ちが参加していないTPP

 本当にTPP「煽り」に苛つきます。
 わたしが煽りに敏感なのは広告業界を経て、Web業界に身を置
くからです。

 広告業界の基本姿勢は「煽り」。確信犯です。
 これはちょっとなぁと思う商品でも「それなり」に仕上げるのが
プロに要求される仕事で、そこに個人の嗜好や信念、信条はありま
せんし、罪悪感などもってのほかです。

 おまけにその煽りも広告会社の利益が第一になるので、どこにも
誠意がないところに嫌気が差したのも独立した理由のひとつ。

 そして飛び込んだWebの世界は更なる虚構に満ちていました。

 Webの虚構の最たるものが「可能性」です。

 実証されていないことでも、可能性で語れば何でもOKで、可能
性により目が曇り、公開されている数字から読み解く努力を怠り
(これを思考停止といいます)、公開されていない数字を引き合い
にして(これは妄想、あるいは夢想、さすれば想像)、可能性を語り、
私をトンチンカンと罵ったのはWeb業界の著名人(らしい)河野武
氏です。

 TPPの煽りの多くが可能性への言及です。
 参加すれば、参加したとき、参加するなら。

 妄想や想像ならなんでも語れます。

 そして今回の煽りで酷いのは、公開されていない数字を引き出す
妄想系どころか、公開されている数字から都合の良い箇所だけ抜き出す

「偽装系」

 を多々、目にすることです。

 まるで週刊誌の取材をうけ「ゲラ」までチェックしていたのに、
発売された週刊誌をみて「捏造された」と、自分のブログで、自分の
主張だけを繰り返すことでアリバイ作りをするWeb業界の著名人
のようです。本意ではない上に、ゲラと全く違う内容が掲載された
としたら、私はWeb業界人のはしくれとして裁判を起こして
全面戦争することでしょう。もちろん「売名行為」として。ネットの
住民はこうした「ネタ」が大好きですし、アングラジャーナリズムも
大好物で、小銭が期待できますから。

 話を元に戻します。

 まぁ酷いのが日経新聞。他の新聞も似たり寄ったりで、産経新聞
でさえTPPへのプロパガンダをするところに、それこそ政官財に
マスメディアを加えたカルテットの胡散臭さが際立つのですが、
とにかく日経新聞はTPPに関しては、もはや報道機関ではなく、
創価学会における聖教新聞、幸福の科学における霊言シリーズです。

 昨日の1面。論説委員長 芹川洋一氏の署名でこう。

「国を開かないでどうする」

 ・・・日本はいつから鎖国していたのでしょうか。
 政治がビジョンを示していないことを指摘しながらも、それでも
まずは参加することが肝心で、幕末の開国と攘夷の対立をあげつら
いリーダー不在を嘆きながら、

「少子高齢化時代に入り、産業界は生産拠点を海外に移す」

 とし、

「この国に明日はない」

 と脅迫でしめます。愚かなり。

 言論に対して、愚かとまで言葉を究めることは希です。それぞれ
がそれぞれの立場で発言することこそ、自由な言論ですから。

 ただ、河野武氏の言葉を借りれば「トンチンカン」でしょうが、
それを通り越した「愚か」であるのは、少子高齢化と海外進出は
まったく別の理由で、若者がひとり暮らしを始めた理由を家庭不和
と決めつけるような愚かさです。

 まぁ偽装系ですから仕方がありません。

 いいですか。少子高齢化は昭和40年代後半から噂されていたと
はいえ、生産拠点を海外に移し始めた最大の理由は

「円高」

 です。それと連動する新興国の安い労働力、ついこの間までの
中国進出と同じ理由です。TPPとは全く異なります。もちろん、
今も同じ。

 溜息がでるほどTPP推進派の論拠が弱いのですが、その中でも
「韓国」を理由にTPPを推進するのは論外です。なぜなら、韓国
の躍進とFTAはまだ関係がないからです。

 FTAとは自由貿易協定でこれをEUや米国と結んだから韓国が
世界中でシェアを伸ばしている・・・のではありません。というか
締結はしましたが、まだ実行はされておらず、韓国の躍進はなによ

「ウォン安」

 です。国策としてこれを行い、ついでに国策として特定の民間
企業を保護していることの果実で、ただしこの果実の放つ芳香は
国民の空腹を満たさず、それを我が国で許すのであれば、極度の
円安に舵を切れば、そもそもTPPに参加する必然性はありません。

 ただし、日本が韓国並みに円安に舵を切れば、世界中の白人国家
から袋だたきに遭うことでしょう。日本の経済規模を鑑みずに
韓国を持ち出しTPPを迫るのはご都合主義を通り越して愚か、
あるいは「(推進派から)金でも貰っているんじゃない」と
邪推してしまいます。

 この日の日経新聞はページを開いても偽装系が続きます。

「TPP 日本の利点多く」

 と、個別の事例をQ&Aで挙げ、もちろんTPP万歳です。
 そこから代表的な「偽装系」として知的財産権について取り
上げます。

 特許庁の2009年調査として、日本のアニメ、デザイン、
音楽などはアジアを中心にコピー商品により1社平均1.9億円
の被害を受けていると記しますが、総額に触れていません。

 で、調べました。特許庁のサイトにあるPDFです。
 それによればまず、2009年の調査資料ですが、そこには

「2008年度」

 と明記されています。これは犯罪被害について触れる際に
「犯罪白書」の発行年度で語るようなもの。5W1hを基本と
する「新聞」ではないようです。

 総額は1072億円。これでも大したものですが、TPPに
躍る数兆円からすればみみっちいい話しで、初見でわたしが
怒りに震えたのはこれ。

「模倣品の真打ちが参加していないTPPなら意味がないだろ」

 先週も述べましたが、基本リバタリアンのわたしはTPPを
嫌ってはいません。しかし、TPP推進派の嘘や偽装に苛立つ
のです。

 真打ちとはもちろん、あの大国。

 そして先ほどの資料に目を向けます。

「主要な国・地域ごとの模倣被害総額(逸失利益総額)の内訳」

 というページにはこうあります。

中国   246.9億

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