霞ヶ関のタワゴトを喝破

 『俺は暴走族出身だからな』と広言しているという噂が流れる
安住淳財務大臣が胸を張って発表した公務員宿舎の削減。従来の
15%削減から25%にしたというもの。

 しかし、そもそもの議論が公務員宿舎はいらないのでは、
優遇されすぎなのではないかという「民間感覚」の声が高まっての
ことから見れば、「0%」を目指してこそ胸を張れるという点を
この暴走族はOB(笑)はわかっていません。

 今回は公務員宿舎にまつわる、霞ヶ関のタワゴトを喝破します。

 もちろん、僻地や離島、あるいは国防や安全に関わる人のための
公務員宿舎を鑑みれば0%は暴論です。

 例えば消防署員が、てんでばらばらの所に住んでいて、非常招集
をかけるような未曾有の火災が起きた際に対応することは困難ですし
賃貸住宅が見つからないような勤務地に転勤した公務員に自力で
寝床を確保せよとは、自己完結能力を誇る自衛隊員にでさえ、
強制するのは酷というものです。

 そして震災などの非常時に、役所に馳せ参じるためにも公務員に
は宿舎が必要で、特に東日本大震災を受けて、各省庁共に

「緊急参集要員」

 を積み増しており、一定数の公務員宿舎の確保は仕方がないこと
だ・・・とはいいません。

 そもそも「緊急参集要員」とは、災害時になにをする人たちなの
かを明らかにしなければ頷けないのです。

 例えばこの参集要員がいなければ、非常時に各省庁は機能不全に
陥るというのでしょうか。その場合、復旧までにどれくらいかかる
と見積もっているのでしょうか。

 端的に述べれば緊急参集要員とやらによる公務員宿舎の必要性は、
各省庁への登庁の便を指しています。ならば、仮に公務員宿舎がな
くなった際に、いわゆる民間住宅や個人の持ち家から登庁するのに
何時間、何日かかると想定した上での「必要論」なのかということ
です。

 民間企業でもBCPが叫ばれる昨今です。BCPとは災害や非常
時の「事業継続計画」のことで、東日本大震災のような状況が
おきた際に、どう連絡を取り、会社には誰が詰めるか、あるいは
連絡拠点をどこに置くかを明確にしておくものです。

 このとき、各自の自宅から会社までの距離や移動手段を考慮に
いれない馬鹿はいません。例え社長であっても、高速道路を飛ばして
1時間かかるところに住んでいたとしたら、震災時に高速道路は
閉鎖され、一般道も寸断、または渋滞しているので、彼の指揮権を
一時的に誰かに委譲しなければなりません。

 すると役職と距離から仮に「主任」クラスであっても、徒歩で
会社に駆けつける人間を暫定的な責任者に据えるというのが
BCPの基本形です。

 高速道路で1時間というのは、かつての勤務先の実例ですが、
その会社では当時の専務と常務はそれぞれ徒歩でも30分で
会社に駆けつけることができたので、重大なトラブルの際は
彼らが動いていました。ちなみにその社長はトラブルになると
やたら腰が重くなるタイプ。

 また、序列でいえば4番目にあたる管理職は、電車を乗り継ぎ
通勤に1時間30分以上かかるところに住んでおり、トラブル
発生の連絡を受けて会社に馳せ参じた頃には、一定の解決を
しており、こうした理由もあり、彼は当時の組織内で軽んじら
れていました。

 良い悪いではなく会社の近くに住むというのはある種の
「忠誠心」の現れであると同時に、組織内での「安心感」が生ま
れるということです。

 翻って公務員はどうでしょうか。
 便利な一等地にある公務員宿舎がなくなれば、みなてんで
ばらばらと地方都市に住居を構え、非常時に人が集まらなくなる
とでもいうのでしょうか。それとも・・・

 民間では当たり前のことが公務員にはできない。
 だから、宿舎を作らせてください。

 と、土下座をするなら考えてあげなくもありません。

 しかし、いま「やり玉」に上がっているのは、一等地の公務員
宿舎が大半です。「都心の」といれたいところですが、地方都市
の公務員宿舎を「ネットで検索」したところ、土地勘がないので
断定できませんが、駅や通りの近くの一等地とおぼしきところ
ばかりでした。

 つまり、便利な場所に作らなければ、忠誠心の片鱗もない
公務員は不便なところに住んで、非常時に役立たない・・・とは
詭弁です。

 通勤に不便ということは、通勤が大変ということです。
 誰だって会社に近く、駅に近く、乗り換えがない場所から
通勤したいものです。そこに現実的な金銭の壁があり、どこかで
折り合います。

 ましてこれは「東京」に限定すれば、便利な鉄道網があり
常識的なラインで住居を探せば、霞ヶ関なら1時間以内が相場
です。

 すると公共交通機関がすべて停止したとしても、24時間も
歩けば登庁できる距離です。日本地図を見ればわかりますが、
東京(23区)は小さいのです。

 と、仮定すれば災害発生から24時間をどう乗り切るかが
BCPであり、宿舎を建てて、平時のコストを上げるという
解決策は民間ではあり得ない話しです。

 ここで民間との比較にこういう反論を喝破しておきます。

「民間の待遇の方が良かった時もあった」

 で、その時は公務員宿舎について批判がなかったというもの
です。コホン。

「いつの時代じゃ」

 バブルははるか20年前です。バブーと生まれた赤子が
AV女優として活躍するほど時が経っているのです。そんな
20年前の証文を持ち出すのはナンセンスです。

 こんな主張もあります。

「転勤の多い職種の場合、住宅確保が困難」

 民間でも同じです。しかし、民間と違う面もあります。

 なぜなら、

「容易に住宅確保ができない都市計画を策定した責任」

 があるからです。つまり、住宅確保が困難だから公務員宿舎
を与えてくれというのは、自らの失敗の償いを特権で与えてく
れという傲慢な理屈です。

 ちなみに我が町 足立区が貧困だとか犯罪が多いとかいわれ
る理由の根源がこの都市計画で、低所得者向け住宅(一般的に
都営住宅、都営団地と呼ばれる)を大量に作ったことにより
ます。だから、昔ながらの足立区民は結構、金持ちがいるの
です。

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