豊洲市場と横浜傾斜マンションのダブスタにみる報道の問題

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論点はたった2つ。豊洲市場は安全なのかと、どういう経路で地下室が作られたのか。議論を混乱させているのはマスコミです。とりわけ石原慎太郎元都知事の晩節を汚そうとした動きが、移転中止の混乱に拍車を掛けています。

コンクリート製の地下室が見つかった件を問われた石原慎太郎氏は在任中に「下のものから上がってきた」と発言したところ、当時の都中央卸売市場長 比留間英人氏が「上から降りてきた」と答えたので「疑惑」と騒ぎ、後に石原氏が発言を撤回しました。

ただ、石原氏の発言以前に、都知事時代の記者会見で「コンクリートの箱を沈める」というプランを披露していたことは、報道各社が抑えており、ワイドショーは繰り返し報じていました。常識に照らして考えれば「呆けた」と優しい目で見るか、「記憶違い」と受け止めるべきことでしょう。

しかも、「コンクリートの箱」にしても、空洞をもつ地下室ではなく、盛り土の代替であり、費用対効果からの提案ながら、試算したところより費用がかかると比留間氏が回答したことで沙汰止みになったと、同じ取材に答えています。だから、これは「地下室」については関係のない話。

都知事時代もその前後も、例えば「三国人」「ババアは害毒」などの、言葉尻を捉えた執拗な石原叩きも、まったく効かなかった石原氏への「仕返し」だとしたら、江戸の敵を長崎で討つというより、マスコミという権力の暴走、イジメです。

こんな誰が言った言わないの、記憶違いなどは、一般生活ではよくあること。本人も謝罪、訂正コメントで「ジジィ(意訳)」と述べているように、老人の記憶違いを咎めるとは、貧困や二重国籍より深刻な「不寛容社会」です。

元政治家として追及するというのであれば、現役政治家で野党第一党党首 蓮舫氏の「うっかり二重国籍」をより責めなければ「ダブスタ(ダブルスタンダード、二枚舌、嘘つき)」です。

焦点を絞れば、都知事や議会、そして当時の市場長という責任者まで「知らず」のまま、地下室を作った都職員は、その理由の如何に関わらず処罰されるべきでしょう。真相究明も不可欠で、最新情報では「土壌汚染対策法(土対法)改正で豊洲の敷地が指定区域になることを想定し、浄化作業に備え建物下に空間を確保した」という説が浮上していますが、いずれにせよ、現場が勝手にやって良いレベルは超えています。

昨日の産経新聞によれば、移転決定の時期は、「政権交代」の前夜で、もっとも民主党(旧民進党)が調子に乗っており、移転反対のためにあらゆる手段を講じて邪魔をしていました。そこで、民主党の連中の目を欺くため、現場が無断ではじめたこと・・・と報じますが、民主党の連中の責任はあるでしょうが、都庁職員が勝手に図面を引くことなどなく、どこかに「黒幕」がいるはず。
http://www.sankei.com/politics/news/160922/plt1609220011-n1.html

だからその追及は欠かせません。同時に旧民主党、現民進党の都議の責任も同じく追及すべきでしょう。議会はチェック機関であり、チェック方法、内容に対して責任を負わなければならないからです。

・・・と、少し虚しくなるのが、こうした「反省」がないのが民主党、そして民進党の「持ち味」だということを思い出したからです。

一方の豊洲市場は安全かについて、地下室に満ちた水は、ほぼ無害という結論がでています。だから、必要な検査の後、小池百合子都知事閣下が「安全宣言」をだせば収束する話し。むしろ心配なのは「盛り土」の方だと今週の週刊新潮が報じていました。

京大大学院工学研究家教授 藤井聡氏など、専門家の意見を要約する以下となります。

・盛り土に直の建物を建てると、万が一、有害な地下水が湧き出た(染み出た)場合、市場を直接汚染する。地下室があれば、そこで食い止めることができる

・盛り土は耐震性が弱い

・地下室の方が盛り土より安い

つまり、地下室は全ての面で合理的だと指摘します。

果たして、共産党都議団、公明党都議団、すべてのマスコミはこうした専門家の話を聞いているのでしょうか。なんだか、疑念を作り出し、いたずらに不安煽り、意図的に問題の拡大を図っているようにしか見えません。

新潮の記事を読んで、なるほどと思い出したのが首都圏では横浜の山の手当たり、埼玉では川口市の安行エリアに散見する「傾斜地物件」です。傾斜地の物件はふた通りあり、斜面を削り水平にして建てた物件は、平地と同程度の耐震性と考えて良いのですが、盛り土で地ならしをした場合、盛り土の部分が脆弱で「崖崩れ」を起こす確率が高く危険というものです。

平地でも基本的には同じで、沼沢地を埋め立てると軟弱地盤になるのも全く同じ理由からで、東日本大震災などでの液状化現象を引き起こした理由に隣接します。

私が住む地域も軟弱地盤で、ちょっとした大型物件を建てる際は、やたらと長い「杭」を打ち込んでいるのは、横浜の「傾斜マンション」で有名になった理由と同じく、深くにある固い地層に届かせるためです。

昔、住んでいたところの隣の駐車場が、積水ハウス施工で2階建てのアパートになりました。独立したばかりのころで、ほぼ自宅にこもり仕事をし、息抜きにこの工事をみていたのですが、ビルでも建てるのかと疑うほどの長い杭が打たれていたものです。

地下室の下にさらに杭があれば良いのですが、地下室だけでもこの杭の役割を果たします。建築的には「理に適っている」といっても良いでしょう。横浜のマンションでの「杭」は、データを偽装していたからではなく、杭が届いておらず、それが理由で傾いたのです。この記憶を社会的資産とするなら、豊洲の盛り土直置き市場も批判しなければ「ダブスタ」です。むしろ盛り土直置き市場を推奨した「専門家」の意見を尋ねるべきでしょうに。

その他にも「ドン内田利権」の問題など、今後の追及が待たれるものがありますが、小池百合子都知事閣下には、むしろこうした糞と味噌と同じくするマスコミに苦言を呈して欲しいと期待しております・・・あ、定例会見始まっていた。

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