日本中が集団ヒステリーに陥っている

 前置きの長いのが本稿の特徴でもあり、ともすれば余談の方が
面白いという声も耳にするのですが、今回は結論から述べます。

「日本中が集団ヒステリーに陥っている」

 あえて「日本中」としましたが、被災地やそれを支援する「現場」
の人々は、ヒステリーと戯れている余裕などなく、現実と向き合っ
ています。

 ここで指す「日本中」とは、マスコミとその関係者、またそれら
からの情報を鵜呑みにしている人たちです。いわゆる「マスゴミ」
と揶揄するネットの住民も同じです。信仰の対象が、マスコミから
自称ジャーナリストの上杉隆氏や、反原発活動家の山本太郎氏に
スイッチしただけで「鵜呑み」に関しては、お茶の間で小倉智昭氏
の嘆きに「うんうん、わかるわかる」と頷くおばちゃんと同レベル
です。

 ヒステリーの主因は「喪失感」。

 大震災の衝撃により、3月10日までのすべての常識が失われ、
原発の安全神話の崩壊から、あるのが当たり前だった灯りの喪失、
つまり計画停電から節電騒動と、いままでのあった日常に疑問符が
突きつけられたことによるパニックがヒステリーとなり、攻撃対象
を探しているのです。

 実際に計画停電を経験すると、

「まぁ仕方ないよね」

 ぐらいの感想しかなく、実際以上に怖れることはないのですが、

「未経験」

 の連中が見えない影に大騒ぎしています。

 そして「日本中」が「喪失感」を強くしているのが、

「民主党政権の実際」

 を菅直人前首相とその不愉快な仲間達に見せつけられたことです。

 政治への失望と訳知り顔で語っていたのは、自民党政治への侮蔑
と同義で、翻り、政権交代が実現して民主党政権が誕生すれば何かが
変わると期待していた「日本中」の声が、政権交代が実現しました。

 国民もマスコミも民主党に優しかった。ルーピーの迷走による
普天間の5月決着論というできもしない約束を、無理やり信じ込も
うとしていました。小沢一郎が子分を100人以上つれて、中国に
尻尾を振った時も、天皇陛下を軽んじた行為も、みな片目をつぶり
見逃してきました。

 で、結局、守れない約束の期限が来て

「総理を辞めることを決めた」

 ルーピーは去り、菅直人に期待したのも国民とマスコミです。
 こちらへも優しかった。尖閣沖の当て逃げ・・・いや、殺人未遂
を不起訴にした時も、奥歯に物をつめた報道が目立ちました。

 sengoku38こと、一色正春氏の職を賭したリークがなければ、
国民は丸め込まれていたことでしょう。事実、中国による邦人
「拉致」や、レアメタルの出荷停止、さらには中国は

「観光客の禁輸」

 と揺さぶりをかけて、怒りに飽きっぽい多くの日本人が、もう
いいやというあきらめの色をみせていたのです。

 それでも菅直人と不愉快な仲間達は国民を謀り(たばかり)
つづけました。また、国民もマスコミもそれも仕方がないと
スルーし続けました。

 菅直人前首相の不正献金疑惑が発覚し、そのた諸々も足し算した
結果として、菅政権の隠蔽体質、言い逃れ体質が浮き彫りとなり、
さすがに辞任もやむなしという空気の中、東日本大震災がおきまし
た。

 ちなみに自民党政権時代は諸々は「かけ算」されたものです。

 そして民主党政権に期待していた日本国民とマスコミは、
震災対策により不死鳥のように蘇る民主党を期待していた先に
まっていたのが菅直人と不愉快な仲間達による迷走劇だったの
です。

 民主党に失望したのであれば、別の政権に期待を託すなり、
自ら新党を結成すれば良いのが民主主義です。ところが、
喪失感を抱えている人たちは、あるイデオロギーに支配されて
おり、それができません。イデオロギーとは

「アンチ自民党」

 いわゆる55年体制以後、日本国の舵取りをしてきたのは
自民党で、マスコミの基本スタンスが「反政権」に傾斜するのは、
チェック機構としてある種、自然な流れですが、長すぎた
「一党支配」から、政権批判と自民党批判が同義となり、
ついにはイデオロギーレベルにまで達してしまったのです。

 結果、すがるべきよすががなくなり「喪失感」だけ抱え、
またそれを自覚していないがために「ヒステリー」をひき
起こしているのが現在の日本です。

 はっきり言えば「甘え」です。いままで自民党の悪口を
いっていれば拍手を貰えた、インテリ層の甘えです。その姿は
まるで反抗しても逆らっても、最後は許してくれると信じてい
る親へのそれと同じです。生まれた時から親は存在しており、
それ故、いるのが当たり前という刷り込みも甘えを加速させ
ます。

 いまもって自民党を批判する連中は「親離れ」ができていな
いのです。復興対策が進まないのは与党である民主党に責任
があることを棚上げする精神構造も同じ。

 ラジオパーソナリティの吉田照美さんのTwitterを
みていると、脱原発、官僚批判、アンチ自民党とが交錯した
ヒステリーが炸裂していますし、小倉智昭さんも朝の情報
番組で民主党を贔屓しようと躍起になっていますが、かつて
の批判精神はみるべくもないのは別のエントリーにて。

 ヒステリーの一例はこんな発言

「政局ばかりしていないで政治に取り組め」

 ・・・いま、政局をやっているのは民主党、与党です。

 だいたい、いま自民党には「政局」を推し進めるほど人材も
戦略もありません。そのことは「谷垣総裁批判」としてちょろ
ちょろ報じられており、自民党関係者からも同じ意見を耳にし
ます。

 固有名詞を出して批判しないのは、野党とは自民党という
含意のあらわれです。

 津波で流された人も街並みを元通りにすることができません。
 原発も事故前には戻りません。

 しかし、「民主党政権」いや、もっと正確に述べれば

「アンチ自民党信者にとって心地よい状態」

 ならば取り戻せるかも知れない・・・が、野田政権をとり
まく状況です。まともな精神状態ではありません。

 だから、新政権が誕生した3ヶ月ぐらいは様子を見るものだ
という寝言がまかり通ります。しかしこれは「政権交代後」の
話しで、今回はルーピー、カイワレ、ドジョウと、民主党内で
の人事異動に過ぎません。政党政治のありかたからすれば、
就任直後から「実働」できて当然なのですが・・・これを
論じる人をわたしは見つけられませんでした。

 「ネット」のなかでも状況は同じです。こちらはさらに
最悪で「陰謀論」が渦巻いています。鉢呂経産大臣の辞任は
経産省の官僚の陰謀だとか言うのもヒステリーの症状。

 火のないところでも煙を立てることは可能ですが、ポイ捨て
されたタバコを火事に仕立てるほうが簡単で、陰謀が仮に
あったとしても、不穏な空気に気づかずにタバコをポイ捨て
するほうにも責任があります。

 逆に本当にタバコのポイ捨てをしていないのなら、堂々と
国民の前にでて戦うべきでしょう。それすらもできない
政治屋が大臣になって浮かれていたという、当たり前のこと
を見ないようにして「陰謀」にすべてを押しつけるのは
典型的なヒステリー症状です。

 国民がヒステリー症状から脱しないかぎり、エセインテリの
マスコミは永遠に気づかず、民主党は体質を変えることは
できません。

 野田首相も国会期日を超短くすることで、民主党政権の
伝統芸である

「先送りうやむや」

 を選択しているのも「高い支持率」によってです。

 補正予算も先送り、来年度予算も棚上げで、議論が進まな
いのは「ねじれ国会」で野党(すなわち自民党)が協力しない
からというでしょう。民主党も「親離れ」できていません。

 震災から半年。そろそろヒステリーから脱し、政権交代から
まる2年が経過しました。そろそろ「親離れ」をしなければ
犠牲になった同胞に申し訳ないと考えます。

ブログ村に参加してみました。宜しければ右バナーをクリックしてください→ にほんブログ村 政治ブログ メディア・ジャーナリズムへ
にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください