利用者の利便性という既得権

 ヤフージャパンとグーグルが提携しました。
Web業界は上と下への大騒ぎです。

でも、2004年までに戻るだけの話しという見方もできます。
かつてグーグルはヤフージャパンに検索エンジンを提供していた
のです。

当時すでに巨人であったヤフーに、新興企業のグーグルが「エンジン」
を提供しており、これをきっかけに新興企業のグーグルが急成長し
貸した軒下に巨大なビルディングを造りかけていることを知った
ヤフーが契約を解消したのです。

そして日本の検索市場で90%を越える独占企業提携がはじまり
ます。

これに対して公取委は「静観」の構えを見せております。

これで「グーグル八分」がおこっても何もできなくなりました。

グーグル八分とは、グーグルの独自見解により検索結果から削除
されるもので、大義としては

「不正な手段で検索順位を上げようとしているコンテンツ」

を除外するモノですが、その「不正な手段」は公開されていない
ので恣意的な操作が行われても消費者は知ることができません。

これに対してグーグルは「プログラム処理」を理由に、人為的な
介入はないと反駁するのでしょうが、プログラム自体に作為が組み
込まれていればよりクールに処理されることでしょう。

例えばこんなことがありました。

あるサイトでグーグルの提供する広告を掲示していました。広告
がクリックされると小銭が入る仕組みです。これに対して以下のよ
うな「警告」がはいりました。

「クリックを誘発するようなサイトへの掲載は禁じます(要約)」

つまり、広告に「クリックしてください」と案内文がはいってい
るので掲載を中止するぞという警告です。

そんなことはしていません。が、広告をみると、その上部にこう
ありました。

「ご意見、ご質問はこちらをクリック」

があり、それは「お問い合わせ」ポストマークのアニメアイコン
と並んでおり、人間が見れば広告への誘導でないのは一目瞭然です。

しかし、そこは「プログラム」。杓子定規に判断して、警告して
きたのです。

グーグルを「恐怖」と煽るのが目的ではありません。

彼らの「論理」を丸呑みするビジネスセンスのなさが問題なのです。

もちろん、「静観」という選択肢もあるでしょう。ただその前に
市場占有率90%を越える「提携」に対して、市場にメッセージを
発信しないことがセンスがないのです。

「既成事実」を積み重ねれば「利用者」は増え、いざ規制が必要と
なった際に「利用者の利便性を損なう」という大義という「既得権」
が生まれるのです。

だからそうなるリスクへの保険として「ちくっと」指摘しておく
べきなのですが。

あ、もちろん。政府も。ITやら成長戦略やらグローバルやらと
騒ぐのなら「国内市場の保護」はクルマの両輪。

あ、もちろん。彼らにビジネスセンスがないことは承知の上での
イヤミです。
 

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