青嶋達也アナウンサーの解説はテロップ

 結論から述べれば自慢となりますが・・・あ、もちろん今回は
サッカーです。なでしこジャパンです。優勝・・・いや、

「ワールドカップ」

 をゲットしました。
 なにが自慢かと言えば、その勝利した試合の全てをオンタイムで
見たことです。キックオフからすべてを観戦したのは、決勝を含め
て3試合ですが「ふと」目が覚めてテレビをつけ、通販番組だらけ
の地上波からBSに変えると戦うナデシコがそこにいたのです。

 うっかり寝過ごしてしまったのが負けた「イングランド戦」。
 昭和のオジサン風に

「俺が見ていたから優勝できたんだ」

 ・・・とはいいますまい。

 優勝が決まったあと、澤瑞希選手がもっていた日の丸に描かれて
いたのは、タッチから「キャプテン翼」の「高橋洋一」先生の
ものかと思われますが、サッカーにおいて漫画の与えた影響は
大きく、それは功罪相半ばだと溜息がもれたワールドカップでも
ありました。

 さて、その観戦をしている画面の左下一角を占めるのが

「アナログ放送放送終了まであと●日!」

 というあれ。ビックリマークまでわざわざつけとのこと。

 と、すでに「地デジ化」しているご家庭ではみたことがないでしょ
うが、あの暴力的な「嫌がらせ」・・・告知は後世に語り継ぐこと
のできる「ネタ」となるのでチャンスがあればご覧ください。

 アナログ放送終了の「告知」ということですが、なぜか

「CM中」

 は表示が解除されます。告知という大義もスポンサーさまの前に
は撤回するテレビ局の性格が表れていて香ばしいものです。また

「通販番組」

 もわたしが確認した限りにおいて表示されません。

 ま、これも来週になれば、東北3県を除けばすべて「地デジ化」
されて、歴史に刻まれることなく抹消されていくことでしょう。

 なので記しておきます。

 4:3のブラウン管テレビでNHK−BSを見ていました。

 このテレビは結婚当初に購入したもので14年以上使っており、
ワンセグも含めて地デジ化はすでに住んでいるのですが家電やエコだ
デジタルだといわれても「想い出」は簡単に捨てられるものでは
ありません。だいいち、まだちゃんと映るのですから。

 すると画面の6分の1ぐらいでしょうか、右下に不透明度80%
ほどの白地の上に警告文が掲げられます。

 グリーンのピッチ(グラウンド)に転がるボールは白く映り、
警告文の下に転がると完全に見失います。それは

「歴史的一戦」

 であり、

「報道の使命」

 といっても過言ではない

「ワールドカップ決勝」

 でも同じです。まるで嫌がらせ。

 不適切な表現となるかも知れませんが、最後の時を静かに待ち
時を過ごすものに

「デジタル化せいや」

 と迫るその姿は、

「いまわのきわの患者に健康保険料の支払いをせびる」

 ようで不愉快でした。

 そして脅迫に負け、米国の猛攻をなんとか凌ぎ、スコアレスで
折り返した決勝戦の後半は地デジ対応テレビで観戦することに
しました。

 これが「地デジ化」直前に日本でおこったできごとです。

 仮にアナログテレビしかもっていなければ、ずっと画面を
ふさがれたまま観戦するしかなかったということ。ちなみに
この脅迫は、番組制作者の裁量に委ねられていることもあり、
例えば時報などの別のテロップが表示される時は、脅迫は解除
されるのです。

 ならば、

「歴史的偉業」

 に対しては、脅迫など解除すべきですが、それは私が16年
ぐらいにはなる「にわかサッカーファン」だから思うことなの
でしょうか。

 ここで少し脱線します。
 菅直人の人気取りのために

「なでしこジャパンに国民栄誉賞を」

 という声が上がっていますが、サッカーファンだからこそ、
ここであげて欲しくありません。

 まずだいいちに、現在の国民栄誉賞は「個人」を対象として
おり、「団体」は対象となっていないからです。これを菅直人
お得意のゴリ押し、曲解、嘘つきで「なでしこジャパン」に
与えたとすれば、なでしこジャパンの名前に傷がつきます。

 菅直人がなでしこに便乗するのはともかく、なでしこの栄誉を
菅直人に汚すようなことだけはさせたくないからです。

 それでは「澤瑞希」だけにあげるというのもご遠慮願いたい。
「なでしこサッカー」への認知度は今回急上昇しましたが、
世間的にはまだまだ低く、ただ優勝したからと騒いでいる
「にわか」たちが、いつ手のひらを返すかわからず、すると今後、
近い将来になにかのつまずきがあったときに

「賞をあげるのが早すぎた」

 と非難の声が上がりかねないからです。一時的な盛り上がりは
同時に「アンチ」も産み、ついでのべれば代表が勝利する度に
渋谷の路上で「市民生活を妨害」する連中が、サッカーファンを
確実に減らしていることに危惧し、連中をみるたびに「騒乱罪」
で留置場にぶちこんでほしいと願っています。

 澤瑞希さんの活躍と実績からすれば国民栄誉賞どころか、
某将軍さまの国のように、一生の生活を保障し、それによる
増税があったとしても喜んで支払いますがね。

 わたしは

「北京五輪で金メダル」

 をもって国民栄誉賞を挙げて欲しいのです。むろん、法改正
して「団体」も対象にしてのことです。

 話を戻します。

 そんな「いやがらせ」をうけながらもNHKーBSでみていた
のはフジテレビアナウンサーのアナウンス技術の低さからです。
わが家の地デジは「地アナ」ボタンがあり、いやがらせを受信で
きます。

 いちばん笑ったのはこれ。

「桂里奈。丸山桂里奈」

 ボールをもった丸山選手のプレーには触れず、名前を連呼する
など「実況」ではなく「選挙活動」です。実況したのはフジテレビの
青嶋達也アナウンサーで、フジテレビサイトにある彼のプロフィール
の趣味にはこうあります。

「サッカー。見るのも、やるのも、しゃべるのも。」

 「趣味」ならひとりでやってなさい。

 この週末まで繰り返し中継映像が流れるでしょうから、確認す
ると溜息が出ますが、「中継」しているのは選手の名前だけ。

 これはサッカーの試合です。「誰の手柄か」がそれほど知りたい
ことでしょうか。しかもゴールが決まる度に

「奇跡」

 を繰り返します。万全の準備をして挑んだ選手の所作を「奇跡」。

 馬鹿にしています。

 決勝戦においておきた「奇跡」は、米国選手のミスです。
 神がかり的にミスをしてくれました。なにかが「なでしこ」を
守っているかのようだったことは認めます。

 しかし、追いついた2点を奇跡と語る「非礼」はありません。

 宮間も澤も狙って決めたのです。

 一方、NHKーBSはゲームの「状況」を「実況」します。
 ともずれば「ボールの行方」にばかり目が行くところを、
サイドの動きをフォローして、ボールを廻し切れていないこと
監督からとんだ指示、選手同士でのかけ声などを紹介します。

 いうなれば

「映像と実況のコラボレート」

 ・・・スポーツテレビ中継のあるべき姿でしょう。

 一方、フジテレビ青嶋達也アナウンサーの「実況」とは

「テロップ」

 ボールをもった、シュートぉぉおお! 外したぁぁぁあああ!

 現状追認、状況は映像を見ろ、おれの言葉は映像を盛り上
げるためにだけ存在しているんだという無惨なもの。選手名の
連呼もすなわち

「テロップ」

 です。

「実況」ならば、こうです。

「●●から絶好のパスが中央フリーの××に、××振り返り
 選手をひとり、ふたり交わし撃った! ・・が、枠を外れ
 てゴールキックに変わります。右隅の難しいところ、狙い
 すぎたのでしょうか? 解説の△△さん」

 青嶋達也アナウンサーの解説はうるさくて中身がないのです。
 それはバラエティ番組のテロップ同様。

 しかし、それはどこかで見た光景と重なりました。
 小さな違和感から懐かしさがよぎります。

 すべてが繋がったのが決勝後の澤選手の日の丸に描かれた
高橋洋一先生によるイラストです。それは「キャプテン翼」。

 漫画版が最初のピークを迎えた頃、我々は小学校の高学年で
した。素朴な昭和の小学生でも気がついていたのは、作中での

「実況」

 です。主人公の大空翼がオーバーヘッドキックをする、
リアルにおいては1秒前後の時間に、100文字近くを語り
尽くす超絶早口に

「ないない」

 とつっこみをいれたものです。

 とはいえ「ゴール、大空翼が決めた!!!!」といった
大書きされたネームに興奮したのも事実です。

 そう、青嶋達也アナウンサーの実況がテロップ型であった
のは、高橋洋一先生が創りあげた漫画フォーマット。

 補足情報よりも迫力。なかみよりもインパクト。

 漫画作品では作者の都合で、ゴール直後に解説を入れ
あるいは回想シーンもいれ放題で、足りない言葉はフォロー
されます。

 ただ「リアル」において、ゲームの中断は許されず、

「テロップ型アナウンス(あるいは絶叫)」

 は無意味に消費され、「にわか」を興奮する一助にはなっ
てもサッカー競技への理解は深まりません。

 年々酷くなる「民放地上波サッカーの実況」は、漫画を
みて育ったアナウンサー達の少年の日の興奮から来るとし
たら・・・漫画の功罪について考えさせられます。

 漫画が悪いというのではありません。
 漫画だから許されるフォーマット(あるいは表現方法)に
疑問を呈することが無くなりつつある社会への警鐘です。

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