エアコンの使えない日本

 8時16分現在の事務所の気温は30.2度。
 きまぐれサマータイムの今朝は、DTP用のマックを立ち上げた
りなどしていたので、いまから執筆開始です。

 日中は35度を余裕で越え、人間はともかく精密機器のパソコン
が悲鳴を上げるので、可能な限りノートパソコン以外は夜間、ある
いは早朝に使用しています。

 ながらく本稿をお読みいただいている方なら、ご存じでしょうが、
今年も我が社は「ノーエアコン」で過ごしております。

 寄る年波と機械のことを考え、今年からはエアコン使用を検討し
ていたのですが、昨今の「節電ブーム」に老舗としては乗らないわ
けにいかないといまのところ継続しています。

 ちなみに築深中古のリフォームモデルとして売り出されていた
物件を購入したので、建物内には3機のエアコンが取り付けてあり
ます。これを稼働させるのは来客時のみです。

 さて、梅雨明けはるか前の過ごしやすい気候のころは「節電」が
強く叫ばれ、実際に梅雨明けし猛暑が襲来すると「無理するな」と
エアコン使用を呼びかけます。まるで震災直後の金子みすゞのうた
のようです。

 もちろん、熱中症になるぐらいならエアコンをつけるべきです。
 しかし、熱中症とエアコンは条件により相関関係が生まれますが
熱中症回避の絶対条件ではありません。

 熱中症報道を冷静にみると、部活動や農作業など、酷暑の中で
対策も施さず身体を動かせば、健康な人でも病気になるのは自明です。

 例えば「ぬれタオル」。氷水は不用です。水道水でぬらした
タオルや手ぬぐい、なければハンカチをクビや頭にのせるだけで
熱中症を回避する確率はぐっと高くなります。科学的に言えば
水分によるものではなく、水分が蒸発する際の気化熱により、
体温を奪っていってくれるからです。

 はしゃいで噴水に落ち、はいあがりそのまま寝込んだ酔っ払いが
夏場でも「凍死」するのも気化熱で、その威力の凄さを感じること
ができます。

 あるいは「風」。団扇でも扇子でもOK。風が抜ける環境なら
扇風機があれば充分仕事は可能で、弊社はノーエアコンを通せるのは
扇風機のお陰です。

 この風の効果を高めるのはやはり「水」です。さきほどのぬれ
タオルと併用すれば、より熱中症を回避できることでしょう。

 灼熱の海やプールが過ごしやすいのは、水と風の相乗効果です。
 水は外気温に比べて低く、熱せられた陸上との温度差が「風」
をつくります。

 打ち水や庭の水まきは気化熱と風を創り出すふたつの効果があり
ます。報道では打ち水により生まれた蒸気が、エアコンの室外機に
触れることで「湿度」と感じたエアコンが仕事を始め、節電効果を
妨げるという「珍説」が語られていました。

 そもそも打ち水とはエアコンを使わずに暑さをしのごうとする
生活の知恵で並び立つもの・・・と、その前に原点に当たろうと
この珍説の由来となった

「独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)」

 のホームページに当たりました。名前を見れば「民間企業」で
ないことは一目瞭然で、旧通産省、現経産省。間違い探しのよう
ですが、平たく言えば海江田さんが大臣を務める組織の一部で、
ご存じのように原発を再稼働させたいと願っている人たちです。

 原発の再稼働について今回は述べませんが、我田引水は役所の
得意とするところです。

 で、この産総研のホームページにあった発表では、打ち水につ
いてこう記されています。

「朝夕の打ち水は温熱環境を緩和させるものの、昼間に大規模に
 打ち水しても節電効果は小さいことがわかった」

 逆効果とはどこにもありません。しかし、これはマスコミを
読み解く上での基本リテラシーですが、お上のように紙ベースで
発表する組織の情報は、かならず根拠となる発表があるものです。

 すると数行下にこのリンクがありました。

「安全科学研究部門 夏季における計画停電の影響と空調節電対策の
 効果(速報)」

 産総研の一部門ですが、ホームページの作りは別組織のようで
姑息なアリバイ作り(別の組織が発表した風にして論拠と錯覚さ
せる詐欺師のような手法)に見えるのはお上への不信感からでしょう。

 そこにあったのは以下の結果です。

<打ち水で気温を下げるには、道路面積1 m2あたり1 Lでも少ないです。
 条件によっては、湿度を上昇させるため、空調の負荷を増大させ
 てしまう結果となりました>

 ふたつの作為があります。

「条件によって」

 が明確になっていないのです。先ほども述べたことを発表に沿って
もう少し詳しくすれば、打ち水により0.6度気温が下がるが、
湿度を9.6%上げるのでエアコンの負荷を増大させるとは、条件の
説明ではなく結果の説明です。

 さらに言葉ははずみこう結論づけます。

<これは、昼間の大規模な打ち水は、大きな蒸発を招く一方、水蒸気
 が拡散できないためと考えられます>

 ここに先ほど熱中症回避策として提示した「風」ははいっていません。
 それに、蒸発した水分がす蒸気になり滞留しているというのです。
 少なくとも私が学んだ「理科」では考えられない話しです。

 ただし、密室なら起こりえることかもしれませんがね。

 また、エアコンの室外機の位置を打ち水のある道路側に向けている
のか、人様に熱風をかけないと配慮した反対側に設置しているのかで
「条件」は変わります。ここが一切「明記」されていないところに
作為を感じずにはいられないのです。

 そしてふたつ目。

「1平方メートルあたり1リットルの打ち水は日中にしては少ない」

 ということ。実際に、カンカンに熱せられたアスファルトにこれ
ぽっちの量をまいても涼しくなることはありません。1リットルと
いうと凄い量に感じますが、まいてみれば分かることです。

 またこの場合の「条件」も、水を2リットル、3リットルまいた
場合との比較がありませんし、具体的に気温何度に対して、水温
何度の水をまいたというデータは残念ながら時間の関係から特定する
ことができませんでした。しかし、私が学んだ科学においては、
実験の条件は「前提」となるため、明示しなければ再現性が確保で
きず科学ではないと聞いた記憶があります。

 これは作為ではなくご存じないかも知れないのですが、日中の
水まきは日陰にすると、蒸発は緩やかで、日陰空間の温度を一定期間
冷却しつづけ、効果の最大化を図れます。それこそ「条件」によれば
気温差が「風」を起こし、冷却効果をより高めます。

 ちなみにこの報告には「午前10時なら効果が認められる」と
あります。

 巧みです。こうしたエスケープを噛ますことで、あくまでも
マスコミが都合の良いセンセーショナルな箇所だけを切り取って
報じたと逃げを打てます。

 あえてまとめるなら打ち水は万能ではなく、それはエアコンでも
原発でも同じで、手段やツールとはすべてを補うことはできない
という当たり前の話しに帰結します。

 ここまでで9時28分。今朝は涼しいですね。まだ31.1度。

 熱中症リスクを軽減する環境対策は「水」と「風」。

 で、ここまで節電ブームが広がりながら誰もクチにしないのが

「汗」

 の効用です。NHKの女性アナウンサー有働由美子さんが、
番組中で腋にかいた汗が不快だと視聴者から「いいがかり」を
つけられました。

 これに立ち向かった彼女と、番組制作側の姿勢に拍手を贈りま
すが汗はかくものです。夏場に汗の一滴も流さずにスーツを着込み
ネクタイをしているということは、それだけエアコンを効かせて
いるということでエコ・・・もとい節電じゃありません。

 女性の場合は(と、書くとおねえのかたに怒られるかも知れま
せんが)化粧が崩れたりするので汗は嫌われますが、暑さの回避
のために汗をかくの自然なことです。

 そして汗の上を吹き抜ける風の心地よさを運動部出身者なら
誰もが覚えていることでしょう。また文化系クラブでもエアコンの
普及していなかった昭和の学生なら思い出します。

 あれも「水と風」。

 校舎の日陰に陣取り汗を拭おうとした時に風が抜けた想い出。
 精も根も尽き果て、寝転んだ生ぬるい体育館の床で、ふっと
ぬけた一陣の風にHP(ヒットポイント)がわずかに回復した
記憶。

 でも会社勤めじゃそんなことできない・・・かも知れません。

 社会的コンセンサスは「ノー汗」という非人間的な方向に
傾いています。おかしな方向に流れてもそれが多数である以上、
世論は醸成されます。その一方で「脱原発」「エコ」「節電」
と難題を個別に議論する結論が求めているのは

「いままでの享楽に溺れながらすべてが解決する方法」

 であり、夢想どころか妄想です。非人間的な方向を目指すなら
非自然のテクノロジーも受け入れなければならない・・とは、
すこし飛躍した哲学ですね。これを説明すると時間が足りないので
今回は割愛します。雰囲気だけ受け止めていただければ幸いです。

 とまれできる範囲として、私がオススメしているのは

「休日ノーエアコン」

 です。もちろん、ギブアップは自由に。ただし、ひとつだけ
ルールがあります。熱中症対策として水分を片手にしながら、
Tシャツや肌着が

「汗びっしょり」

 になるまで我慢するのです。扇風機や団扇は使ってもOK。

 てっとり早く汗をかきたいなら熱いラーメンや激辛料理、
カレーを食べるのもアリです。

 するとこの「水と風」の効用を体感できます。
 汗は偉大なのです。気化熱はすらばらしく、人間も自然の一部だと
身体で理解することでしょう。すると、都市生活をしている違和感に
気がつきます。

 私がノーエアコンに取り組んだ理由のひとつが

「発熱しながら冷却」

 していること。パソコンという発熱装置を冷やすためにエアコンを
使うことに違和感を覚えたことが理由です。また、近所のスーパー
ではエアコンを効かせすぎ、女性パートタイマーは夏場でもカーデガン
をきて仕事をしている光景を見て「おかしいよ」と。

 そして脅かすわけではありませんが、本当に脱原発をすすめると
中期的な電気代の値上げは避けられず、産業の空洞化は避けがたく、
すると日本国自体に購買力がなくなり、電気をふんだんに使える
生活そのものが成り立たなくなる・・・ことを覚悟したなら、
脱原発もありでしょう。

 いまの左翼政権とそれを成立させた国民、日教組教育が盤石とし
た核アレルギーに、マスコミと・・・いまやネットも加担する
ヒステリー社会をみるに、脱原発解散を本当にした時に、さらに
恐ろしい迷走政権が誕生するリスクは非常に高いと危惧しています。

 政権交代による迷走劇、日本沈没を「こんなはずじゃなかった」
と嘆くことは無責任すぎます。本稿をお読みの読者ならご存じで
しょうが彼らは野党時代からそれほど変わってはいません。

 無責任に政治ごっこをしているだけなのですから。つまりは
その先に「エアコンの使えない日本」がくる可能性は高いと
わたしはみています。

 その来たる日のために「暑さを楽しむ精神」を身につけるのも
夏の楽しみ方のひとつですし、自衛策のひとつです。あとはお金を
稼いで国外脱出・・・についてはいずれまた。

 そして打ち水もそのひとつ。我が社が今夏、導入した新兵器が

「ミストシャワー」

 ホームセンターで安価に購入したものですが、そのままでさほど
効果は高くないので、ミストの先に二重にしたすだれをたらします。

 放出したミスト(霧)の半分ほどはすだれをぬらし、そのうちの
半分ほどは縁台を水浸しにします。すると、日の当たる外側の
すだれはすぐに水分を蒸発してしまいますが、内側のすだれ、縁台
は濡れたままで、そこに「温度差」が生まれ、涼しい風を運んで
くれるのです。

 エアコンほど温度が下がることを期待してはダメですが、充分に
「涼」を楽しむことができます。

 これも熱中症リスクを軽減する方法のひとつ。

「暑さを楽しむ」

 ミストを撒き、その効果を最大限楽しむために頭を使い実験して
います。

 そして10時26分。気温は32度。とても快適・・・と思いきや
専務が事務所に入るなり「暑い」と扇風機を回し始めました。

 効果・効能には個人差があります。本稿で紹介した方法は筆者の
宮脇睦が個人的に楽しんでいるものであることをご了承ください。

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