足立区、荒川区を生け贄に捧げて停電を逃れる21区

 無策です。ここまで・・・と分かっていましたが、それは喜劇と
呼ぶにはあまりにも悲劇的です。

足立区を中心に仕事をしていますが、本を出して以来、日本全国
からお声をかけられ、クライアントや関係者のなかにも被災者がい
ます。

これはあえて「幸い」という表現を使用しますが、被災はされて
もご家族皆さん無事だったと、昨日、ようやく最後のひとりから連絡が
はいりホッとしております。

そして壊滅的となった商売も、いつか再興に一歩踏み出した日に
は「いざ、鎌倉」と駆けつけると約束し、この足立区で刃を磨こう
とした刹那、私の商売にも暗雲が立ちこめております。

北関東から東北地方の被災者の方からすれば、些少のことですが
「計画停電」です。

誤解なきようにフォローすれば、幸いにも些少の蓄えがあり
震災の影響が甚大でないクライアントも多いので、いますぐどうこう
なるわけではありませんが、女性誌の芸能ネタのようにお気軽では
いられないという状況です。

まず、電気を使う商売は停電すると商売になりません。

一日3時間程度といっても、それが2回もくるとはなしになりま
せん。本稿執筆時で、3月17日の第5グループだけしか経験して
おらず、危機感は乏しいようです。

いやいや、被災者に比べれば・・・と甘受しています。
しかし、2回目の停電最中の午後5時前、山手線の社内は
ガラガラだったと友人からメールが来ました。

これにはカチンときます。おまけに同じ足立区内でも、停電して
いるのは主に西側半分で、東側は停電していません。23区内で
これだけのエリアが停電対象となっているのは足立区だけです。

■足立区計画停電マップ
http://www.city.adachi.tokyo.jp/010/pdf/d01900011_1.pdf

まぁまぁ、これで救われる命があるのなら、山手線のガラガラも
苦虫を噛んだと思って我慢しましょう。しかし、ならば足立区長や
区役所が東電に「申し入れ(抗議)」するなり、あるいは東電から

「足立区民は多大な協力を戴きまして」

と労いの言葉など寡聞にして耳にしません。

※ここまでは昨日書いています。後述する計画停電の影響でネット
回線が不通になったので

東電がするわけないジャン。そりゃそうです。半分お役所の
ような組織ですから、自衛隊的区分で言うところの現場に精通した
「制服組」は電気への愛情も責任ももっていますが「背広組」は、
自己保身にしか興味がなく、役人から謝れと言われない限り
部下を差し出しません。あ、これは羊を捧げ、トカゲの尻尾
を切るという意味です。

それでは我が足立区はというと悲しいかな、ここもやはり
役人です。

そして地図を見ると一目瞭然ですが、区役所のある中央本町は
計画停電の対象外です。さらに「旧都」であり、区政に隠然たる
力を持つ「千住」も対象外。ついでにいえばデンジャラスタウン
である「綾瀬」も除外。

自分の利益を損なわない限り何もしないお役所体質と見事に
符合します。

主要路線のひとつである「日暮里・舎人ライナー」が終日運休に
なっても、抗議ひとつしないのは、この路線をつかって区役所には
いけないからです。穿った見方をすれば、区役所勤務の人間で
この路線が止まって困る人がひとりもいないから、放置している
のではないかということです。

電気が止まるだけなら・・・事態はこう簡単なことではありま
せん。通電が再開しても、隣のエリアが停電するとネットが使え
なくなることがあります。

弊社はKDDIの光回線を契約しているのですが、これが不通に
なります。これは事実からの逆算ですが、どうやらKDDIの
中継局が隣の第4グループにあり、そこが停電すると2時間ちょっ
とで非常用のバッテリーが切れて、通信不能になるようなのです。

計画停電合計6日間で、通信不能を確認したのが3回あり、
そのすべてが第4グループが停電している時間です。

弊社は電気とネット回線が使えない状態を通算すると最大
1日7時間以上なにもできなくなります。事実、3月17日は
この状態でした。

その穴埋めのために、本稿は現在火曜日の夜10時過ぎ(ようやく
ネットが使えるようになりました)に書いており、明日は4時から
仕事をしますが、こんな生活がいつまでも続くわけがなく、ならば
引越か廃業か転業か・・・いっそ、国外脱出かと考えてしまうのです。
あるいはラーメン屋のオヤジとなり、静かに過ごすのもありかも知れ
ません。

※今朝方、報道で足立区と荒川区の区長が東電に「申し入れ」を
したとありましたが、これは「オチ」へと繋がりますので、
ここでスルーします。

まぁ私はまだましです。時間に融通が利く仕事なので。

これが街中にある「工場」となれば、深夜に操業するわけにも
行かず、客商売は営業時間をずらすことができません。

それを気にすることなく、同一エリアで1日2回の計画停電を
行った日、JRは空気を運ぶために電気を浪費していました。

私が知る限り、民間企業である私鉄各社は減便をしており、
通常ダイヤの半分以下で運行している路線どころか、我が町の
「ライナー」は運休していました。

しかし、JRです。それは国鉄、つまりはお役人でした。

そう、自分たちの利益にだけ関心のある職業体質であること
を忘れていました。

計画停電初日、一律に停電した東電は、鉄道各社に一斉に
叱られました。

「国民の足をどないすんねん」

という恫喝に東電はチビって鉄道を別扱いにすることを即日
決定します。弱いものイジメも役人気質のひとつです。強いも
のには媚びへつらい、弱いものを恫喝します。

それでも鉄道各社は国民生活に配慮して減便しました。

JRは山手線を動かすことで、自分たちの通勤が楽なると
訝しがるほど山手線周辺に本社や関連ビルがあります。山手線は
通常運行。

そして足立区民は犠牲を強いられます。計画停電と無関係の
足立区役所職員は計画停電と被災者受け入れの「当事者」では
ありますが、停電とは無関係なので放置します。

もっとも東電やJR、足立区役所を単純な言葉で責めるつもり
はありません。お役人気質である以上「組織防衛」に走るのは
本能でありそれが良い方向に廻れば、堅牢な組織と評価されます。

問題は「政治」なのです。

原発の消火活動にあたる東京消防庁の隊員に「処罰する」と
恫喝した海江田大臣は、計画停電の5グループのエリアを細分化
してさらに5ブロックにわけ25のエリアによるキメの細かな
停電を検討すると発表しました。

これを「お茶を濁す」というのです。

いまのエリアは変えずに、実施タイミングの僅かな違いを

「発表しやすくするだけ」

といってよいでしょう。これにより政治が仕事したかのように
見せかけただけで、事実上なにもしていないのと同じです。

この恫喝男・・・といっても、カイワレ菅ちゃんも、東電を
恫喝したと言い、「暴力装置仙石」も東電に「俺を誰だと思って
いる」とすごんだといいますから、民主党の体質なのかも知れま
せんが・・・海江田千里万里さんは、私の記憶が正しければ

「経済産業大臣」

彼が所管する経済と産業は計画停電未設定エリアの都市部の
企業ということなのでしょう。でも、それが世界。この方、
大企業や金持ちであらずばというお人。

年収1500万円以上の給与所得者について、

「金持ちではない。中間所得者だ」

と言った方だったことを忘れておりました。

つまり、この方にとって低所得者にあたる、年収1千万円にも
とどかない中小零細企業の経営者や従業員の保護、対策は

「厚生労働省の福祉政策」

ぐらいに考えているのでしょう。

政治の無策で被害が拡大しています。私のところにはいる
連絡でも福島のいわき市では、水道が止まり物資が不足し、
そこに放射能騒ぎで逃げ出せる住民は逃げだし、逃げ出す足を
持たない住民が食糧不足に喘いでいるといいます。

政府の・・・いや、この震災に乗じてツイッターでの活動を
活発化させているフライング雪子(三宅雪子氏)に敬意を表して
あえていいます。

「民主党」

の無策です。それは

「阪神大震災のボランティアに参加して政治を志した」

と名乗る議員の多い

「民主党」

なのに、震災への日頃の準備不足が露呈しており、初めてのこ
とだからと見逃せないのは、それが彼らの政治的な「初志」で
あり、初志を忘れたカナリア・・・もとい、政治屋は税金泥棒か
国会議決での投票マシーンに過ぎません。

ちなみに我が町足立区の東半分から選出された「平山たいろう」
くん(不倫報道あり、しかも選挙区内の飲み屋のねーチャンを
口説く、後援者の話によると「ヤクザ」を理由にしているが、
口説いたのは事実)も阪神大震災のボランティアを経て、政治を
目指したとのこと。

話を戻します。無策はあまりにも多岐に渡るので「計画停電」
だけを追っても、いま、報道では「23区」という表現をして
いますが、事実は嘘です。無停電の「21区」と停電エリアの
「2区」です。荒川区と足立区だけです。荒川区は全世帯の
10分1、足立区は3分の1が停電エリアです。

この事実を水嶋ヒロに触発されて小説家を目指す私が表現す
るなら

「足立区、荒川区を生け贄に捧げて停電を逃れる21区」

私の手元には計画停電発表後の資料が残っていますが、
これによれば

台東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、杉並区、
豊島区、北区、板橋区、練馬区

で足立、荒川を加えた「12区」です。

豊島区の対象エリアはひとつの町に過ぎませんが、それは
「目白」でした。

いまや民主党と親しい

「目白御殿」

の主、田中家の所領を差し出されれば、足立区など当然と
思っていたら、「見直し」が進むに連れ、上記10区が「免除」
され、気がつけば生け贄が2匹です。

また、10分の1の荒川区も大変かと存じますが、肉体の
3分の1に血液が行かない状態が3時間も続けば、生命維持が
危ういのは自明で、それが足立区です。

さて、それではどう解決するべきか。だから政治です。

知り合いの区議会議員、都議会議員と連絡を取り、実状を
説明しています。彼らは彼らにできるかぎりで、役所を動かし
状況を改善しようとしています。

その結果のひとつが足立区長、荒川区長の連名での東電への
申し入れです。パフォーマンスであっても「声」をあげない
限り、なにもはじまりません。このパフォーマンスは、
可及的速やかに対応しなければならない原発の消火活動を
妨げてまで視察を強行したカイワレ君とは意味が異なります。

ことばを極めて言えば、東電に対して無力な両区長が区民
へのメッセージとして行ったパフォーマンスで、東電に対して
いや、すべての日本国の力をふるうことができる首相と政府、
与党民主党のそれとは違います。

ここで原則論に踏み込んでみましょう。

「小選挙区」

が、導入された理由のひとつに

「地域の声」

が国政に反映されるというものがありました。

なるほど、その通りです。足立区の3分の2を占める
東京13区は前述の「平山たいろう」くん、残りの3分の1
は東京12区の「青木愛」ちゃん。

どちらも「落下傘」。

たいろう君は民主党のサラリーマンを自称しているとは
後援会関係者情報で、愛ちゃんが小沢チルドレンであること
は周知の事実で、どちらも「足立区」への忠誠は希薄と
みるのが打倒でしょう。

これが今回の「オチ」です。

非常事態により政治の重要性が増します。今回の計画停電で
生け贄にされたのは、我々足立区民が選んだ政治屋の資質による
ところも大きいという見立てです。

日本全国に拡大すれば・・・これはやめておきます。「日本全国」
には被災地域もあり、いま、彼らに今以上の負担を強いることなど
できないですから。

だから、いま、「未被災地(いまだ、被災していないだけで、
地震国、日本ではいつでも誰でも被災者になる可能性があり、
かつ、被災者と我々は同じ日本人だという当たり前のメッセージ
をこめてこの言葉を使います)」の人間できることのひとつは

「政治」

を冷静に見つめる目です。そして、地元の市議、町議、できれ
ば国会議員の「声」をぶつけることです。国会の政治屋さんは
「当事者意識」にかけていますので。特に、与党、民主党の
みなさんはボールが飛んだところに選手が殺到する小学生の
サッカーのような性質が自民党よりはるかに強く、地味な未被災
地域が地元であってもスルーします。

一方、被災の当事者となった民主党の黄川田徹衆院議員
(衆院岩手3区)は政府を非難します。小沢グループということ
をさっ引いても「本音」でしょう。

計画停電は不便ですが、それにより被災地復興の一助になれば
甘受しますし、停電自体は「23区全域でやれ」という前回の
主張と変わりません。むしろ、一分エリアでも、パフォーマンス
であっても、23区のすべてで実施することでの

「精神的まとまり」

が復興と被災者支援へと向かう気持ちが寄り高まる気がするの
です。すくなくとも私は、停電の度に被災者を思い、なにかでき
ることを考えています。

「いのちをまもりたい」

と、声を裏返らせたのは前党首、前総理のルーピー鳩山。

いま、いのちが無策で失われつつあります。

そして「首都圏」でも、無策により仕事がなくなる危機に
直面しています。このメルマガもいつまで発行を続けられるか
と不安がよぎります。ラーメン屋をやるとしたら、天下国家を語る
より、ラーメンへのコダワリと愛情を語りたいもので。
 

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