商売をしている以上「儲ける」ことはとても大切です。
高邁な理想論も飯が食えなければ吐き続けることはできません。
だから食べる分ぐらいは最低でも稼がなければなりません。
そして食べられるようになって、お金が貯まり始めると
「通帳の数字が増える楽しみ」
が加わります。
「食べる」ことに関しては、お腹がいっぱいになればそれ以上を
満たすことができませんので限度があります。
しかし、「数字」は無限大まで無限です。
ちょっと金額は定かではありませんが、以前、アスキーの創業者
の西和彦さんが
「10億持っている人間が何を考えるか?
それはどうすれば今度は20億になるかだ」
とインタビューで答えていたように、無限に増える数字を際限な
く追いかけてしまうことがあります。
庶民のレベルに落とし込めば
「スタンプカードを貯める」
のに近い感覚なのでしょう。
この数字を追いかけ出すと人間性は置いてけぼりになることが
少なくありません。
なぜなら数字は目に見えて、人間性は職場を離れると引き継がな
いことから
「自分はまとも」
という感覚があるからです。
たとえ職場で数字を追いかけるあまりに、モラルのないことを
していてもまともだと。
最近、「ソフトバンクなんちゃら」という会社から、
「ご案内」
という
「売り込み」
が引きもきりません。
「この度こちらの地区を担当させていただくことに・・・」
と、以前にも取り上げた
「公的機関を偽装する売り込み」
で「ネクシィーズ」が使っていた手法です。
法には触れないような言葉をチョイスをしていますが、
「だまされる」
人も多いのではないでしょうか。
「広告とはだますものだ」
という言葉もありますが、倫理的にはどうでしょう?
昨日は
「一度伺っている」
という新手の売り込みがありました。
もうこれは詐欺レベル。
専務が対応していたのですが、
「伺っている」
ということはお客さんかもしれないと話を聞いていました。
あまりに長い電話なので社名を訪ねると全く聞いたことの
ない名前ですし、ご相談リストにも顧客台帳にもない名前です。
そこで私が変わります。
「御社にある●●という機械をみさせていただいたものですが」
弊社に●●はありません。
ただしそれを伝えると「ネタ」を与えることになるので答えま
せん。
とにかく一度も訪問していない旨を告げたのですが、それでも
しつこく
「お伺いしました」
と引き下がりません。
「かっちーん」
「御社の電話番号を教えてください。それとあなたのお名前と
責任者のお名前を」
たいていはこれで引き下がるのですが、ガッツがあるというより
発破をかけられた直後なのでしょう、引き下がりません。
「いや間違いなく伺っている。それに電話番号をどうしてお知りに
なりたいのですか」
と「逆質問」してきます。
交渉は自分の土俵でするものです。
「突然、そちらから電話をかけてきて、覚えがないのに訪問したと
言い張っている。だから御社が何者かをしらなければこちらは
答えることができない。その為に電話番号とあなたの名前を知り
たい」
それでも引き下がりません。
ので、一瞬声を高くして
「まず、こちらの質問に答えるのが筋ではないか」
すると電話の向こう側の奥の方からストップ命令がかかったよう
です。
口ごもりながら受話器が置かれました。
これは電話回線の契約やコピー機、パソコンなどのリース契約を
とるのが目的のためのアポを取るのが目的の「売り込み電話」です。
●●にはその業界で使われる言葉がありましたから。
さて、これらの電話をかけてきた
「営業マン」
は詐欺師でしょうか。
はっきり言いましょう。やっていることは大差ありません。
しかし、彼らは会社を離れると「ふつうの若者」です。
営業活動自体は合法的で、ただそのアプローチが詐欺に限りなく
近いのですが。
だから自分たちが嘘をついている意識が乏しくなります。
「だって仕事だし」
仕事だからといって何をしても良いものではありませんが、
そこにマニュアルがあり、
「数字という目に見える化け物」
が追いかけてきては逃げ場がありません。
「それが仕事だし」
数字に責任はありませんが、人には責任があるものです。
「数字を決めた人」
「数字を守るための行為」
です。
売り込み電話だけではありません。
「日興コーディアルグループ」
の不祥事はトップにまで及びましたが、これは当然の話です。
すっかり「日常用語」となった「虚偽記載」を一社員がした
というほうが無茶な話です。
そして数字の話。
ここで昨年の12月14日発行のメルマガを紹介します。
∇ここから昨年号___________________
「この、ハゲタカめ!」
日本企業が外資に買われるといつも言われることですが、彼らは
安く買いたたいて、日本を・・・・
と、見ていくとボロ儲けした証券会社の中に感じの名前が。
野村証券、日興コーディアル証券グループ。
野村証券は「(トラブルだと)知らなかった」といっております。
・・・株式のプロが分からなかったのなら仕方がありません。
が、そんな会社に安心して株式運用を任せている会社を誰が信用
するでしょうか?
知っていてやっていたのなら「銭儲け」には長けている会社と見
ることができます。
こういう会社にはモラルも仁義も入らないからお金を増やして欲
しいという種類の人が集まることでしょう。
それで良しというのも自由経済です。
あとは好みと生き方の問題です。
そして漢字とカタカナの会社がありました。
「日興コーディアル証券グループ」
11月30日の日経新聞投資面の「新規公開株の横顔」という
コーナーに
主幹事 日興シティグループ証券
とあります。
■日興コーディアルHP
http://www.nikko.jp/GRP/company/group/index.html
今回ボロ儲けした日興コーディアル証券グループのグループ会社
が主幹事をしているのです。
ザックリといえば主幹事とは株式公開をする際の後見人や世話役
のようなポジションで、当然手数料も頂戴しております。
株式公開時は発行済み株式の全部を売り出すのではなく、市場状
況や調達したい「資金」分だけの「売り出し」します。
今回のジェイコムでいえば、在庫が14,500株あって、その
ウチの3,000株だけ「限定販売」されたということです。
主幹事は当然、このことを知っています。
市場に出回る株は3000株だけです。
ところが日興コーディアルグループが今回濡れ手に粟で儲けた額
は10億円とのことです。
これは「儲け」です。 10億円も。
実際の株券がないのに「売られた」分をお金で買い戻すことにな
りました。
大雑把な計算ですが、決済価格は91万2000円で、買い付け
平均価格が59万5000円とすると、一株あたり、31.7万円
の儲けとなります。
これで10億円の儲けを割っています。
1000000000÷317000=3154.57
電卓で検算するときは100000万円÷31.7万円でやると
すぐにでてきます。
・・?あれ?今回は3000株限定で、グループ会社が仕切って
いたのにグループ全体で
「現定数以上の買い付け」
をしていることになっているのです。
巨大企業になればグループとはいえ、隣の部署で何をやっている
のか分からないこともあるでしょう
でも新規公開株ですから「知りませんでした」を信じる業界関係
者まずいないでしょう。
「みずほがミスしたぜ!むしれ!はがせ!」
つまり、そこにはモラルも仁義もないのです。
∇ここまで昨年号___________________
はい、あの「ジェイコム株事件」です。
その日興コーディアルグループです。
儲けることは悪いことではありません。
しかし、数字にとりつかれると人は狂います。
企業は法人格を与えられていますが、所詮その中にいる人が
何をするかで決まります。
そして本日、
「グッドウィル」
がいかさまをしていました。
いかさまをしてせしめようと狙った金の原資は
「税金」
です。
介護は避けて通れない道でしょう。
これもまた数字を追った故か、企業体質か。
数字は魔物です。
人間性をいとも簡単に狂わせてしまう。