高須VS有田に考える「良い中傷」と「悪い中傷」という視点

 「YES高須クリニック!」の高須克弥院長と有田芳生議員の、ツイッター上での「交戦」が盛り上がっています。もしかすると世界を撒きこんだ議論になるかもしれません。実に興味深い。

 ざっくりと掻い摘まめば、「しばき隊」のメンバーとされるアカウントが「ナチスクリニック」とレッテルを貼り誹謗中傷し、高須氏はこれに対して法的対応を表明。

 この「しばき隊」のリーダーが有田芳生氏であるとのネットの噂の真偽を、高須氏がツイッターで本人に訊ねたというもの。そして事の本質は「営業妨害」にあるのですが、これは左派お得意の「外国様」にチクリをかまし、外圧により高須氏を殲滅しようと目論んでいるようです。

 今回の本題ではないので、「さわり」だけにしておきますが、欧米人の作った歴史って、かなりの無茶があって、例えば「戦後ドイツは謝罪している」っていうのも「ナチス」に罪を押しつけたから実現したのであって、その方便を見逃しているのは、そもそも第一次世界大戦で、非人道的ともいえる賠償金をドイツに求めた反省から。そしてドイツの暴走を抑えるために、ECを経てEUへと繋がります。

 これを「知恵」と評価するか「欺瞞」と捉えるかは難しいところですが、仮に外圧が本格化したとき、日本人にとって縁遠い「ナチス」や「ユダヤ」、そして欧州と米国の歴史、さらには中国と欧州、そして米国との関わりに目を向けるきっかけになることを期待しています。

 しばき隊とは「レイシストをしばき隊(レイシストをしばきたい。略称しばき隊)」の略称で、在特会の街宣活動などを、カウンターと称して阻止する集団を指します。

 極度に排外的な在特会の主張に同意しませんが、合法的に許可されたデモを非合法な方法で中止に追い込むしばき隊やそのシンパの手法にも同意しません。

 何度も引用するボルテールの言葉にこうあります。

「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

 どちらの組織のためにも命を懸けるつもりはありませんが、意見の表明は守られるべきだと考えるのです。とりわけ「しばき隊」の論調と平仄を揃えるネット民の「抗議」により、マイコミジャーナルでの連載を中止に追い込まれた経験からも強く願います。

 そしてこれも大切なことなので何度も繰りかえします。

「規制の刃は両刃。左右のどちらも切る」

 一度、言論への規制を許せば、右を切るか左を切るかは、為政者の胸先三寸に委ねられます。

 また、言葉は受け手により意味を変え、この夏を賑わせたフレーズ「このハゲー」にしても、それをギャグにして活用するものもいれば、薄毛に悩み心が痛む人がいるように、状況毎に判断する、それが手間と根気の要る作業であっても、言論の自由を守るために不可欠なコストと考えます。

 有田芳生議員と「しばき隊」の関係については、ネット上に広く拡散されております。「代表」という証言もありますが、本当に裁判に発展した場合、この「代表」や「リーダー」が何を指すか、当該事案において有田芳生氏の「命令」があったかどうかがカギになることでしょう。

 例えば東京新聞の女性記者が「政権がふっとぶ」と、森友学園騒動における籠池陣営からの根拠の不確かな情報をもとにネット配信で発言したからと、東京新聞の社長なり社主が罪に問われることがないようにです。記者個人による暴走の果ての個人の責任における発言で、組織的関与が確認できないということです。

 ただし、こうした言論の自由の名の下の誹謗中傷の野放しは、そろそろ転換点に差し掛かっているように感じます。高須クリニックにおける「ナチス」のレッテルを貼るアカウントを追えば「悪意」は明らかで、有田芳生氏の関与はともかく、名誉毀損なり営業妨害はなることでしょう。

 そもそも名誉毀損は、相手の名誉を毀損する目的ならば、事実の有無を問わず、営業妨害についても似たような判例があります。極論すれば「まずいラーメン屋」というブログの記事が事実であっても、味は主観に過ぎず営業妨害にあたる、というものです。

 実際には個別の事例によりますが、匿名アカウントであっても、一貫性があり、ひとりの人格が認められるのなら、そこへの誹謗中傷やレッテル貼りは、名誉毀損や営業妨害に該当する可能性があります。匿名アカウントを「ペンネーム」や「芸名」に置き換えれば理解が早いことでしょう。

 いままでこれは事実上放置されていました。

 そして私の経験上ながら、誹謗中傷し、事実無根のレッテルを貼るのは左派のほうで、私は「ネトウヨで幸福の科学の信者、適当な記事ばかり書いている自称ジャーナリスト」とレッテルを貼られています。

 まず、ネトウヨではありません。昭和57年には日教組所属の教員により「右翼」認定されているからです。「ネト(ネット)」のない時代の話。そしてこの「右翼」も日教組の教師による「レッテル貼り」に過ぎません。私は「ソ連からの脅威がある限り自衛隊はいる」と主張したに過ぎず、世界基準でみれば国防は、思想の左右で割れるものではないからです。

 つづいての幸福の科学は論外。なんでもITで名を売ったジャーナリスト佐々木俊尚氏が、そうだというのが左派の主張で、ITつながりでそうだというトンデモ理論です。

 オカルト雑誌「ムー」の熱心な読者だった私にとって、あの団体の主張は、アサ芸レベルの話です。もちろん、信仰は自由ですが。

 最後に自称ジャーナリストについては判断が別れるところですが、もともと私は執筆にあたり「ITコラムニスト」を名乗っていました。

 ある日、朝日新聞の取材を受けて、発言を紹介するにあたり「肩書き」をどうするかと記者に問われ、幾つかあげたなかのひとつが「ITジャーナリスト」で、それが記事になったことから、以後「天下の朝日新聞」のご意向を忖度して使っているに過ぎません。

 また、IT系の記事を書いてギャラを貰ったことが何度もあり、IT系の出版社インプレスのWeb媒体で10年を超える連載を持っていたので、自称の枠は越えている気もします。

 こうしてわざわざ、左派のレッテルを否定して見せたのは、彼らが論拠なく、端的にいえば「適当」に中傷したことを、否定するにはこれだけの労力が必要だということの証明です。加えてこれを「拡散」させない限りは、名誉回復ならず、一般的にはほぼ不可能です。

 高須氏が裁判を起こしたとしても、どんな判決が下されるかはわかりませんが、裁判を起こされれば相応に負担が発生します。まして軽い気持であっても名誉毀損や営業妨害は免れません。

 根拠や論拠があるなり、思想信条によるぶつかり合いならば、法廷の場で明らかにする意味も理由もありますが、適当な誹謗中傷、レッテル貼りはこの限りではありません。

 適当な中傷は損をする。安易なレッテル貼りは損をする。

 この理解が広まれば、適当な中傷は自主的に減っていく。これに期待しています。あくまでそれぞれの自主性において。

 一方で、懸念もあります。中傷やフェイクニュースを理由とした「言論弾圧」の気配です。

 ネット番組「虎ノ門ニュース」で、作家の百田尚樹氏から「金髪ブタ野郎」と呼ばれ、産経新聞の田北真樹子記者には「ジャーナリストなの?」と疑問を呈されていた津田大介氏は、週刊朝日の連載で、ヤフーニュースのコメント欄に一定の規制がはいったことを《ようやく始まった日本のヘイト投稿対策》と題した記事で称揚していました。

 ヤフーニュースのコメント欄は、嫌韓嫌中、排外主義者の巣窟で、かねてより求めていた規制が実現され、SNSにもその動きが拡がったが、しかしまだ不十分だ。と、いったもの。

 この数年、ヤフーの「左傾化」が叫ばれており、日本のネット空間における左傾化とは、ほぼ親韓、親北、親中、反日と同義で、昨年の民進党代表選挙で、二重国籍疑惑が取り沙汰された中、蓮舫前代表の言い分を丸飲みして、まるで広報紙のような記事で助け船を出したのは「ヤフーニュース」です。

 ただし、ヤフーは民間企業ですから、どんなプレスコード(報道規制)を持っていても自由ですし、上場企業としても、事実はともかく悪罵がならぶコメント欄を好ましくないと思う気持ちはわかります。

 ただ、津田氏の見出し「ヘイト投稿」とは、必ずしも「ネトウヨ」だけではなく、むしろ左派にも多いのは高須克弥院長への攻撃や、私自身受けた攻撃からも明らかです。私的体験の披瀝は揶揄に過ぎませんが、実際のネット空間を渉猟しての結論です。

 左派による人格攻撃、端的にいえば「バカ」とか「クソ」は溢れているということです。語彙が足りず幼稚さは否めませんが、幼稚だから何をやっても良いことにはなりません。

 ところが津田氏の記事が取りあげる「ヘイト投稿」は、排斥主義者や嫌韓ばかり。まるで「良い中傷」と「悪い中傷」があるかのようです。

 言論や議論、批判や批評と中傷は別物で、中傷に良い悪いの区別はありません。

 こんな動きもあります。

 民進党の玉木雄一郎衆院議員のツイートです。

 主語が抜けていますが、2017年8月21日の産経新聞の記事を指して「フェイクニュース」と断じ、さらには「まとめ記事」をどぎゃんかせんといかん(意訳)とつぶやき、「言論弾圧」をちらつかせます。

 産経新聞への批判が《愛媛県で獣医師連盟会費の支払い拒否続出 獣医学部新設への対応に不満か、「半数離脱の見通し」》ならば、玉木氏の登場箇所は、以下の部分となります。

《日本獣医師連盟をめぐっては、前身の日本獣医師政治連盟が、加計問題を追及している民進党の玉木雄一郎幹事長代理に政治献金していたことが明らかになっている。
http://www.sankei.com/politics/news/170821/plt1708210004-n1.html

 これは玉木氏が代表者を務める政治団体「雄志会」の収支報告書で確認でき訊ねる必要のないもの。収支報告書の内容について、本人に確認が不可欠となるのは「虚偽記載」の疑惑を記事にするときぐらいです。

 つまり、必要のない本人取材の有無を理由に「フェイクニュース」とは、むしろ産経新聞の名誉を毀損しています。「まがい」とつけたから免責されるとはいささか甘い。

 玉木氏は獣医師会に有利になる活動をしたことはなく、政治献金を受けたこととは無関係と言いますが、言動を率直に解釈すれば獣医学部の新設に反対しており、過去にはそのような発言をした証拠が保存され拡散しています。

 国会では同じく抵抗勢力のひとりとされる、自民党の石破茂氏の名を挙げて反対の論陣を張っています。

 玉木氏は獣医学部新設決定の不透明なプロセスに反対しているだけだと強弁していますが、これも国家戦略特区ワーキンググループの議事録として公開されており、透明度の高いモルジブや久米島の海に潜りながら、真水より濁っていると言いがかりをつけるようなものです。

 獣医学部からの政治献金を受けたから、玉木雄一郎氏が獣医学部の利益のために活動した、という証拠はありません。だから、単純に接続して「賄賂」と騒ぐことは、フェイクニュースまがいといっても良いでしょう。

 しかし、加計学園にせよ、森友学園にせよ、

「疑わしいから怪しい」

 だけで、一切の証拠を示さぬまま「疑惑追及」を続けてきたのはこの玉木雄一郎氏です。俺は良いけど、お前はダメ。との主張が、真っ当な社会で通るわけがありません。

 しかし、言論規制をちらつかせる側は、こうした選別をしたがります。津田氏が記事で、排斥主義者ばかりを取りあげ、左派による誹謗中傷やレッテル貼りについて触れないようにです。

 玉木氏にしても、推測や憶測で政府と安倍首相を糾弾しておきながら、自らが責められるターン(順番)になると言論規制に言及する。

 これこそが言論統制の怖さです。

 それは「自分にとって都合が良いかどうか」。ナチスに代表され、中国共産党が現在進行形で体現する独裁者の発想です。

 万が一より遙かに確率の低い話ですが、民進党が政権を取り、津田大介氏が参与なり、あるいは民間の身分のまま「総務大臣」にでも就任すれば、彼らが言論を選別するようになるかもしれません。

 もちろん、それは国民が選ぶこと、決めることですが、安保法制や特定秘密保護法、テロ等準備罪に対して、「言論の自由が奪われる」と叫んでいた人達は、津田大介氏や玉木雄一郎氏に噛みつきません。

 再び繰り返しておきます。

「規制の刃は両刃。左右のどちらも切る」

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