国土が日本人の謎を解く

 私の持論に「台風リセット論」があります。

 丹精こめた田畑も、台風が来れば台無しとなることも多ければ、日照りや干魃も台風一過には解決され、良きにつけ悪しきつけ、台風でひと区切り付けざろうえない風土が、「無常観」や「水に流す」という文化を生み出したとするものです。

 これを史実と地質学から紐解き、そこから生じた民族性が、国際社会とのズレ、すなわち「日本の常識、世界の非常識」の一因になっていると喝破します。

 日本人の死生観は「災害」によって育まれたと著者。それが故に諦念を持ち、死をたやすく受け入れるようになったと。一方、欧米も中国も「殺戮」による死が定期的にやってきて、その死には殺した相手が存在し、「恨む」ことで折り合います。

 また、広大な平野を持たないことから、必然的に小規模集落ごとに発展してきたがために育まれた国民性に言及します。

 ここで「関東平野」を思い浮かべたなら著者の思うつぼ。著者は建設省に入省し、技官を歴任した「プロ」。

 関東平野が誕生するのは地質学的には歴史が浅く、また河川も多く沼沢地もあり、「浅草のり」に名を残すように、現在の内陸部まで海だったので、世界の主要都市に見るような「平原」ではなかったと紹介します。

 海外の主要都市の特徴である「城壁」は日本になく、世界に「市民」が生まれ、日本には生まれなかった理由であり、それを嘆くことはなく、だから「虐殺」の歴史を日本はもたないのです。

 本書は歴史書ではありませんが、近隣諸国から突きつけられる各種の「虐殺」が皮膚感覚として馴染まないのは、それの民族としての記憶がないからです。対して、それを叫ぶ国々にはあります。

 企業統治やグローバル化にも切り込み、さらに本書のサイドストーリーとして設定される「1995」も秀逸です。

■国土が日本人の謎を解く
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