番宣の段階で打ち切りの匂いがしたフジテレビ『クイズ30~団結せよ!~』。やっぱり打ち切りとなりました。芸能人を30人寄せ集め、ロンドンブーツ1号2号の田村淳とローラが司会進行を務める・・・と文字にしてもつまらなそうな企画だったからです。
ヒントはテレビ朝日の『くりぃむクイズ ミラクル9』でしょうか。こちらは9人編成の2チームで戦うクイズ番組で、特番ではじまったときの惹句は「こんな豪華出演者は二度とない(うろ覚え)」だったような。
タイトルにあるように、お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」をメインに据えますが、片方のチームキャプテンをくりぃむ有田哲平が務め、司会進行が同じくくりぃむ上田晋也で、アシスタントがテレビ朝日社員(女子アナ)と総勢20名。
ただし、テレビ朝日はクイズ番組『Qさま!!』の「プレッシャーSTUDY」において、多人数の団体戦を仕切るノウハウを持っています。その延長線上でみれば、決して無謀な挑戦ではありません。
翻りフジテレビはといえば、クイズ番組が絶えて久しく、特に人気番組となると『クイズ!ヘキサゴンII』以降ありません。もっとも、私がフジテレビを見ていないだけかも知れませんが。企画のひとつとしてクイズを盛り込む『ホコ×タテ』のような番組はありますが、添え物であり、解答を競う主旨ではありません。
また、『クイズ!ヘキサゴンII』は島田紳助のキャラクターありきで成立していたバラエティ番組で、こちらも純粋なクイズ番組と呼ぶには語弊があります。だって「バカを競う(笑う)」という時点で、解答を求めるクイズとは異質だからです。
現在放送中の番組には『ネプリーグ』や『ペケ×ポン』がありますが、前者は「山手線ゲーム」のような穴埋め的な出題で、視聴者が唸る解答は少なく、後者は「トンチ」や「ヤマカン」の要素が強く、茶の間で得意げに解答するインテリ気取りの視聴者好みではありません。
総合すると、フジテレビには、人気クイズ番組を制作する能力がないのです。
そこに加えて「大人数」です。これは昨今のテレビ全般に言えることですが、フジテレビに顕著で、いいともの後番組『バイキング』はそのままですが、タレントが画面に多くいると視聴者は落ち着きません。
テレビのこちら側の多くは一人、ないし二人か数人の家族で視聴しており、数に位負けするからです。集団生活する動物の本能で、犬の散歩において、一頭と、多頭飼いしている犬が出会えば、多数派が優位に立つのも同じです。
もちろん、大人数が必要なシチュエーションなら、視聴者もそれを理解しますが、意味なくわらわらといる出演者は心穏やかではありません。先の『くりぃむクイズ ミラクル9』『Qさま!!』も多数の出演者を要しますが、カット割りは個々人が多く、さらに優等生、問題児、ボケ担当など「キャラづけ」されていることが「見やすさ」へとつながります。
司会者のローラのキャスティングは「花」と「ハプニング」でしょうが、問題は田村淳にあります。彼の「毒」を好きな視聴者は限られるのです。テレビ朝日の『ロンドンハーツ』が継続しているところからみて、夜の9時以降ではないでしょうか。
番組は夜8時のスタート。1時間早すぎたのです。
私は婦人警官に絡んだ一件で、田村淳という芸人を見限りました。事件をザックリと紹介すると、ネットの生配信中に路上駐車で取り締まりを受けたことに腹を立て、警官に因縁(です。チンピラ以下の)をふっかけ絡み、その後、婦人警官に「ばばぁ」と暴言を吐きました。
わずかな時間で取り締まれることも良くありますが、充分すぎる違法駐車の上に、撮影許可も取らずに公道で撮影し、その撮影が自身のバンドのチケット販売で、どの角度から見ても擁護することなどできません。
事件はネットで生配信されました。ところがこれが騒動となるまで、お昼の情報番組『知りたがり!』に生出演を続けたことで、あやうく社会問題になりかけました。同番組の打ち切りの理由のひとつと噂される騒動です。
その後も田村淳はネットで大活躍しています。東京MXテレビでは、曰くばかりが量産される上杉隆氏と番組に出演しています。語弊を怖れずにいえば「カルト臭」が漂う彼に、お茶の間向け番組は難しいでしょう。
また、他人を小馬鹿にする彼の芸風も、若手から中堅にかけてのころは、楽しめましたが、すでに大御所といってもよいポジションにいながら、若手芸人や落ち目のアイドルを手玉にとする様は「パワハラ」や「セクハラ」にしか見えません。
そして気になるのは、同曜日に放送されるドル箱番組『サザエさん』に凋落の兆しが見えることです。視聴率が全体的に低下しているだけではありません。物語がワカメちゃんの友だちの「堀川君」と、カツオのフィアンセ「花沢さん」に頼って展開されるケースが増えているからです。
史上最強のマンネリアニメですが、それは磯野家(フグ田家含む)を中心とした家族の物語だったはずが、外部情報を提供する堀川君と、困ったときのドラえもん的位置付けの花沢さんでは、毎週単位のデジャヴになってしまいます。
サザエさんが終わるとき、フジテレビには放送免許を返納し、自主廃業して欲しいと切に願います。
ちなみに後番組はTBSを退社しフリーになる、ぶりっこタレント「田中みな実」。キャスティングの時点で終了フラグが立っています。