■WiLL 2014年6月号 反日包囲網とこう戦え!
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今月のWiLL。は必読です。
触れ損ねていたのですが、先月号から執筆者の幅が拡がっているようです。「お馴染み」の筆者による演目も楽しいのですが、水戸黄門をみているような安定感の裏返しは、マンネリであり、知的好奇心があくびします。
エンタメとしては楽しめても、思考が浅く、あるいは偏ってしまう傾向があったのです。中韓から「極右」と罵られる方向性は、WiLLの持ち味としても、愚直さも過ぎれば新興宗教的左翼と同レベルに堕してしまいます。
許容範囲ではありますが、ある種の危惧を紙面から感じていたのです。
ところが先月号から、執筆者の幅が拡がりました。と、感じており、そのまま今月号に引き継がれます。奇抜な筆者、珍奇な論客を集めているのではなく、それぞれ名のある人ながら「チョイス」の妙に満足度が高まっています。
そして今月号の
「亡国論特集」
とした4本は読み応えがあります。櫻井よしこさんの「除染亡国論」も簡潔でありながら的を射ており、原子力政策を論じる上でしらなければならない基礎知識を紹介しています。
そして亡国論特集のなかでも、経済評論家で作家の三橋貴明氏による
“移民亡国論 移民で成功した国はない”
は必読です。実は安倍晋三氏が首相になったときから、懸念していたことがあります。
「アベッちってやばくね?(フラットなイントネーションで)」
それは左翼や放射脳な連中の、病的妄想の産物ではなく、賛成するしかない状況をつくりだす政治手法の巧みさにあり、そして保守派に担がれていながら、ときおり漂う非保守の匂いにです。
ヤワネタで指摘するなら、脱原発など妻の活動を「放任」していることなど首をひねります。夫婦と家でも別の価値観が合っても良い、と、保守派は考えるでしょうか、ということ。
左翼陣営にとって安倍昭恵夫人の言動は都合が良いがために放置し、保守にとっては都合が悪い上に、先に指摘したような安倍首相の言論包囲網により口を閉ざしていますが、シンプルに考えたときの日本の保守なら、
「女房も説得できない首相」
を嘆くことでしょう。
夫婦の形はそれぞれ・・・と保守派がいうのなら、夫婦別姓やら婚外子・シングルマザーなどなど、すべて「それぞれ」で片付けられることが可能です。
女は男に従わなければならないということではなく、仮に女性首相が誕生したなら、そのファーストハズバンドは、意見を共にすべきではないかということです。
首相と私を並べる不遜が許されるなら、わたしの職務において妻と価値観が異なることは多々あります。重要でなければ見解の相違と気にも留めませんが、重要な案件ならば、妻の理解を求めるための説得と解説を試みます。
どうしても妻が納得できないことであれば、仕事に触れる場、隣接する環境での発言を控えるように指示します。もちろん、そんなことはありませんが、仮にそれに従えないのなら離縁も仕方がありません。
わたしが社会と接する点において、整合性がとれない発言を許容することは度量の広さではなく、社会を不安にし放置する無責任さの露呈・・・と、わたしは考えます。
仮に安倍昭恵夫人が、みどりの党(ってまだありましったけ?)から出馬しているなら、当選の有無はともかく、エネルギーという国策を考える市民の代表として、自由な発言は担保されるべきと考えます。
しかし、彼女の立場は「首相の妻」に過ぎません。ジャガー横田の旦那さんは医師免許を持っていますが、彼女は・・・と、ウィキペディアを引けば博士号を取得しているので、博士ではありますが、それは比較組織ネットワーク学とのことで、エネルギー政策の泰斗でなければ、森永製菓の創業者一族のご令嬢というだけです。
そんな妻の発言を「野放し」にして損ねる社会利益に保守であるはずの安倍首相は無関心です。
いちいち指摘すれば切りが無いのですが、衣のほころびから見える真の姿は別の色で、哲学者の適菜収氏は安倍首相を売国奴と罵っていることを否定できない気持ちは、三橋論文から強くなります。
かつて彼は自著の中で、経済的自虐史観という言葉を用意しました。それは海外の助けがなければ、日本経済は機能しないというモノです。海外との取引では泣く、海外の助けというのがポイント。
つまり自立した経済を日本は持たないという考えで、安倍首相もこれに立つというのです。従って「洋物」をありがたがり、導入しなければならんとすれば、国益の毀損を繰り返し、その先に待つのは亡国であると結びます。
一例を挙げます。
“開業率は低くて当然”
と題して、福岡市の
「雇用を生み出す起業へのチャレンジを応援する社会へと日本を再構築する」
という取り組みを批判します。
福岡市は起業率を14%に高めると掲げます。日本の起業活動率は4.2%で主要国中最低レベル。で、その何が悪いのかと喝破するのです。
三橋貴明氏が、そもそも勘違いしていると指摘するのが、
「開業率は発展途上国であればあるほど高くなる傾向がある」
という点です。つまり成熟国家では下がるもので、起業率の高さと経済活動のレベルは一致しないどころか、反対の結果も起こり得るといいます。
しかも起業率を高めるために、外国企業の誘致を目指すという発想が「自虐」だと。ちなみに起業が盛んなイメージがある米国でも10%ちょっとで、EUの経済元気印(も、影が差しますが)のドイツは5%です。そしてチリは21%。起業率と経済力はリンクしません。
このまま三橋論文を紹介し続けると、いま話題の「コピペ」になりかねないのですが、あと一点だけ紹介させてください。それは
「外国人労働者の受け入れ」
です。少子高齢化で労働力不足だから外国人。一見整合性がとれているようですが、三橋氏は30万人はいるとみられるニートの活用が先だと指摘します。
さらに安価な外国人労働者が流入すれば、国内の賃金は下落するのでデフレからの脱却は遠くなり、労働力をコストとしか見ない、竹中平蔵元大臣が会長を務める人材派遣会社や、社員を多く雇用する大企業だけが潤う構図で、その大企業が外国籍ならば、日本の富は海外に溶け流れていきます。つまりは「亡国」です。
今月号で光っているのは西村眞悟衆院議員による
“中・韓の武器は「嘘」と「捏造」”
単なる嫌韓ではなく、文化的な違いからアプローチしており、そのなかの一節を引用します。
“「嘘をつくことは悪いことだ。だから嘘をついてはいけないと子供に教える国」と、「騙されることは悪いことだ。だから騙されてはいけないと教える文明」”
どちらがどちらかは自明ですが、これを自明として片付けるのは日本人の謙虚さであり悪いクセなので明記しますが、前者は日本であり、後者は中華人民共和国と大韓民国(朝鮮半島)です。
こんな一例も紹介します。敗戦後、中国にいたある日本人は財産没収に際して、すべてを正直に申告しました。一方で誤魔化した日本人もいました。
誤魔化した日本人は、その誤魔化しがばれたのちに帰国し、正直者は長いあいだ刑務所につながれました。
中国人(西村論文では支那人)は、嘘をつくことを当然としており、ばれればもう隠した財産はないとみたのですが、正直者は「まだ隠している財産がある」とみられて拘束されたというのです。
今朝の読売新聞をみて唸ったのが
「ロシア、イラクに急接近」
との報道。外務省のラスプーチンこと、佐藤優氏は「悪の新枢軸」と題し今月号ですでに触れています。
ただ、ひとつ解せないのは
「村西とおるの人生相談」
という新連載。まぁ面白いのですが
「週刊プレイボーイ」
を思い出してしまいました。本家の週プレの左翼色が強くなったことへのアンチテーゼ・・とは深読みしすぎかも知れませんが、ゴールデンウィーク、がっつり読書する時間はないけど、知的好奇心を満たしたい・・・というなら最適と太鼓判を押します。
■WiLL 2014年6月号 反日包囲網とこう戦え!
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