先に指摘したウェブ有識者の「私見をもって公論とする」の、とても象徴的な事例を紹介します。
自社の番組を検証するテレビ番組、フジテレビの『週刊フジテレビ批評』が、凋落が嘆かれるテレビドラマを検証した放送の中で、『ふぞろいの林檎たち』など数々のドラマを手がけてきた脚本家 鴨下信一氏が「あらすじ」の放送が復権の鍵だと指摘しました。
かつてのドラマは「あらすじ」があり、見逃した視聴者は前回の復習ができ、既に見ていても本編への期待を高めることができたというのです。
これを言下に否定したのが、先の「しゃぶ野郎」に同席していたジャーナリストで、ネット選挙すら導こうとする、いまもっとも旬なウェブ有識者の津田大介氏です。
彼は新しいドラマが始まると、すべてのテレビドラマを録画し、最初の数分をすべてみて、次回以降の視聴を決定するといいます。
そしてこの視聴方法が一般的とする前提の上で、「あらすじ」など論外だと断じます。
いったいどれだけの日本人が津田大介氏のような視聴行動をとっているというのでしょうか。
たしかに、気になる作品を何本か録画することはありますが、東京キー局(津田氏の事務所は都内)なら同時間にはじまるドラマもあります。
するとテレビドラマのために2台の録画機能をもった機器が必要となります。1週間分、すべての番組を録画する機器も登場していますが、毎シーズンごとにすべてをチェックする必要性を感じる視聴者は圧倒的に少数派です。
まして津田氏はドラマの脚本家でも評論家でもありません。
テレビドラマにおいては、単なる一視聴者に過ぎません。
その彼の特別な視聴習慣をもって一般論とするのが、ウェブにおける有識者に特徴的な発言なのです。
ウェブ有識者がウェブの周辺について楽観論を述べることを否定しません。業界の盛り上がりは彼らの利益に合致するので、ウェブに有利な論が目立つことは営業努力の一環で、これを「ポジショントーク」と呼びます。
しかし、同じ調子でネット選挙を語ります。
誰もが24時間ネットに接続し、ネット情報を正しく取捨選択できるネットリテラシーをもち、すべての立候補者がウェブ有識者同様のネット上での影響力を持っている。
だから、ネット選挙の解禁により、経費を抑え、デマにも立ち向かえ、民主主義が進化する。
幻想でありフィクションです。
(後略)
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