命を懸ける事業に出会えた人は幸せ者です。
そう、ページを閉じて涙を拭いました。
来年の大河ドラマの主人公は新島八重。で、旦那は新島襄。
「にいしま」と濁らず「ジョー」は洋名といったところでしょうか。そして本書の主人公は徳富蘇峰。
物語は同志社大学設立に命を削っていく新島襄を、信仰ともいえる尊崇から支える徳富蘇峰の視点で綴られています。
はっきりいって徳富蘇峰はわがまま坊や。なんじゃこいつと思うこともしきり。後年の政界フィクサーとしての片鱗が垣間見えるのは強烈な自尊心です。
彼はまだ青年に到達したばかりで、熱き思いと実状が追いつかぬなか、幾度もの蹉跌を繰り返し、作中で新島襄が
「角があるままで」
と語りかけた言葉を守るかのように、恩師を裏切ることさえありました。しかし、恩師はまた、この悪童を愛し、最後の時を過ごします。
史実を元にした小説であるので結論は知っていますが、
「まだ早い・・・もう少しだけ」
と願わずにはいられません。
■ジョーの夢 新島襄と徳富蘇峰、そして八重
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