よく分からない業界ゆえのマジック

バブル来てます。
景気回復と言うよりバブル。
まるで中長期でみると人口減少と相まって、停滞が見込まれる
日本経済の青田買いのように加速しています。

以前、日経新聞の全面広告を取り上げましたが、広告は景気を
みるバロメータで、広告を見るだけでも新聞を取る価値の3分の
1ぐらいはあります。

野村総合研究所(NRI)の社員を使った広告など、人材確保
と企業イメージアップの一石二鳥という広告代理店の口説き文句
が浮かんで見えるバブルな仕上がりです。

無名の社員を顔写真入りで「ドーン」と紹介する広告。
懐かしくないですか。

悪いというのではなく、人手不足倒産という言葉が紙面をにぎ
わせた「あの頃」を思い出させてくれるのです。

そして空前の売り手市場は私が社会人になったときに聞いた
言葉で、企業はあの手この手で人材確保に走ります。

これもまた「いつかきた道」。

10年後、「バブル組」も二極化。
「20世紀バブル組」と「21世紀枠」と。

そんな人手不足は「IT技術者」にも当然及びます。

・・・と、声高に叫ぶこと自体に怪しい臭いを感じます。

だって、ずっと人手不足ですから。
私の知る限り平成元年から。

膨らむプログラム需要、インターネット、ネットサービスは
世界へと広がり、それに対応できる相応の技術を持った
プロフェッショナルは絶えず不足しています。

「使えないSE(システムエンジニア)」

が大量生産されたのも人手不足によりソフト屋としての
矜持を持ち合わせていなかったところが、ちょっとプログラムを
組める程度でもSEを名乗らせはじめた頃からです。

「ブログ」とはなにか?

とすると大仰ですが、広義に捉えるならネット上の日記や
書き込みのことですが、狭義でみれば「ブログ型」で作られ
たサイトのことで、ムーバブルタイプ等のソフトを使って
つくられているものを指します(中身の議論は棚上げします)。

この「ブログ」。サーバに設定して簡単な設定を施すだけ
で開設できてしまいます。

更新の優しさ、管理の利便性を謳い文句に

「ビジネスブログ」

として、ホームページをブログ型で作りましょうという
仕掛けは一つのモデルとして決して悪くはありませんが、
ブログのすばらしさは

「設定する業者にも優しい」

のです。だから、爆発的に普及しました。
多少の専門知識は必要ですが、覚える箇所は多くないので
たかが知れています。

有り体に言えば多少の知識を持った人間にとっては

「超簡単」

です。
新しくてトレンドで簡単。見事。

とある人材派遣会社が、とあるシステム開発会社と資本
提携して

「IT業界の人材不足に対応するため、
正社員として雇用し、技術研修後に派遣」

をはじめます。これは今の話し。

この技術とは一ヶ月ほどかけてブログを立ち上げる「技能」
のことです。

吹き出してしまいましたが、技能に違いはありません。
押尾コータローさんの超絶技巧も

「指一本で引ける禁じられた遊び」

にしても同じギター演奏ですからね。

ウィンドウズバブルの時にこんなビジネスがありました。

あまりすれた感じのしない水商売の女の子をスカウトします。

「こんな商売いつまでも続けてちゃだめだよ。
俺の所で仕事を教えるから明日きなよ」

水商売の水が合わない女性が事務所を訪ねてきます。

そこで一太郎やワードだけを教えます。

一通りの操作を覚えたら「仕事」が与えられます。

「パソコン教室の講師の派遣」

接客業をしていましたから客あしらいの基礎はできており、
パソコンなんか触ったことがない生徒が相手ですから、先生の
実力なんてわかりません。

頑張る子は一太郎の外にもエクセルや1−2−3も覚えると
派遣先の時給があがります。

時給はスカウトした「社長」に入り、手数料をぬいた後、
先生に支払われ、手数料を持ち夜の街へスカウトに出かけます。

このあいだまでタバコに火をつけていた女性が、「先生」
と呼ばれ、先生にした社長は舌を噛みそうな外車を乗り回
していました。

よく分からない業界ゆえのマジックです。

一月ほどの研修で身に付く技術でも「IT技術者」として
派遣されます。

バブルの頃、人材派遣で廻ってきた方と名刺交換すると
「SE」とありました。

私はしがないプログラマ。
入社2年でようやく小さな設計をひとりで任されるように
なっていた頃です。

「ご経験は?」

「会社の研修で3ヶ月ほど」

ハキハキと答える彼の笑顔がちょっと哀れに見えました。

バブルは弱いものをより弱くします。
ご注意ください。

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