内閣府が発表した街角景気は4ヶ月ぶりに悪化しました。さらに6.8%と速報されていた4~6月期の国内総生産(GDP)は、年率換算7.1%と下方修正され、これは東日本大震災直後を上回る・・・下回るとすべきでしょうか・・・数値です。
消費増税により景気は悪化するのです。
3%から5%へと上げた97年。そして今回。さらに日本人の有識者が大好きな海外を引けば「証明」されている事実ですが、それでも来年秋の増税をすすめようとしているのは、財務省とその配下の政治屋だけではありません。
日経新聞を筆頭とするメディアも同じ。さすがに各紙の記者の中にも「まずい」と思う、心あるというより、自分の頭で考えることができる記者はいるようで、財務省の広報機関である日経新聞でも懸念する記事が掲載されるようになってきています。
平易な言葉で言えば「ヤバイ」のです。
今回の景気指数の悪化をメディアはこう報じます。
「増税から回復しつつあった夏の天候不順」
・・・正しく指摘すればこうなります。
「お天気任せの霞ヶ関(財務省)」
つまりは「博打」です。天候不順に土砂災害と、被災地の皆さんには辛い夏だったでしょうが、冷徹に事実を照射するなら、一部地域の被害であり、全国規模の生産拠点が機能不全に陥ったわけではありません。
東日本大震災で北関東の半導体メーカーや、自動車部品メーカーの製造ラインが停止したときとは、経済的な影響力は違うということです。
そして天候不順になるたびに「野菜の高騰」と紋切り型に嘆きますが、
“もやし、キノコ類、豆苗”
などの価格は安定しており、冷凍野菜が値上げされたという話しも聞きません。確かに昨日、近所の激安スーパーで、レタスが一玉290円だったのをみて「高っ!」と叫びましたが、そもそもレタスを一玉丸ごと食べることもないので、一色当たりの負担は軽微です。
もちろん、野菜価格の高騰が2年も3年も続けば、負担はボディブローのように家計を蝕みますが、一時の天候不順は、それも自然の一部と甘受するしかありません。
と、いうより、八百屋を営む義父から天候不順のたびに聞かされる話ですが、野菜が高騰すると、お客は野菜を買わなくなるのです。
高い野菜を買っているから他の消費に廻らない、ということではないということです。また、全国規模で八百屋は減少しており、スーパーマーケットなどが代替するにしても、経済指標における八百屋の占める割合は、自動車や家電製品と比較すれば微々たるものですし、昨今は消費者の「野菜離れ」も進んでいます。
ならば今回のGDPその他の落ち込みは、野菜の高騰によるものではありません。
目の前の事実を冷静に判断すれば、景気の落ち込みは
「消費税増税」
しかないのです。
そして来年、どうするか。自明の答えを逡巡し、財政再建という画餅のために国力を落とす舵取りを・・・しないで欲しいものです。
消費増税による財政再建は画餅。
その理由は100兆円を突破した概算要求。
増税を完遂するために、使う金を増やすという本末転倒。
消費税を上げて税収が増えれば財政が健全化すると財務省とそのポチ達は声高に叫んできました。そして増税により落ち込む景気のために支出を増やし下支えすると豪語してきました。
その正体を繰り返します。「お天気任せ」です。
雨が降れば失敗し、さらなる景気対策として出費を繰り返していれば、財政再建など夢のまた夢。でしょ?
なにより財務省の目論見は「10%以後」にあります。最低でも18%、できれば25%と噂されています。
しかし、現時点では消費税率「1%=2.5兆円」ですが、景気が悪化し、国民の購買力が低下すれば、この皮算用が崩れる可能性は否定しきれず、古代ローマの頃より税率が10%を越えると、国民は脱税に励み始めるとは塩野七生の指摘で、現代のギリシャにも通じます。
つまり永遠に1%=2.5兆円もトンデモナイ皮算用で、そもそも増税だけでの財政再建を目指すのですから「画餅」なのです。