安倍首相に警戒感を覚えます。とても狡猾に思えてきたからです。
ようやく昨日、小幅反発しましたが、増税発表後、日経平均は下げ続け、ついに1万4千円を割りました。この理由を、米国の債務上限の引き上げを巡る攻防とする報道ばかりですが、消費増税が下げ幅を強めているのは間違いありません。
CDSの値はいまだに米国の方が日本より低く、国際的信用は高いのですが、米国が最悪のシナリオである「デフォルト(債務不履行)」の陥る可能性が芽生えたことと、増税を財政健全化の芽生えと比較すれば、ドルより円を持ちたいと思うのは自然な流れで、従って円高になり、円高になれば輸出企業を中心に株は売られ、株価は下落するというシナリオです。
それだけではありません。増税により景気低迷を見越しての売りが膨らんでいると見るのは、円高になったからと輸入企業の株価が上がっているわけではないからです。むしろな下降線を描いている銘柄を多く見かけます。
増税により景気が上がった事例はないのです。年末に向けて発表される予定の、景気対策により個別銘柄が高くなる可能性はありますが、景気が減速するのは必然です。そして株価は未来の期待が反映されるものです。
ところがこれへの批判はありません。財務省のご機嫌伺いもあるのでしょうが、米国の財政の崖だけを理由に求めるのです。
安倍首相が消費増税を決断したとスクープしたのは9月12日の読売新聞。この前に何があったかと言えば、オバマ大統領がシリアへの攻撃を米国議会に議るという腰抜けぶりを見せつけたところ。
米国共和党がオバマをなめてかかるのは必定。
これにより10月1日以降の米国の混乱を予想した上で、10月1日の夕方発表を選んだ安倍首相の狡猾さを警戒するのです。
つまり株価下落の批判と不安を、米国の財政の崖をスケープゴートにしてかわしたということです。
政治家としては見事・・・ですが、これへの批判が一切無い、いまの報道は危険すぎます。本当に大政翼賛会になっています。いま、もっとも危険なことは増税による景気減退ではなく、マスコミの機能不全にあります。
・・・との見解を、民主党を支持していた老経営者に疲労するとなるほどと前置きしながらもひとことで切り捨てます。
「偶然だよ。ぐうぜん」
ま、そう見ることもできますが。