いまさらで、さらに「フラット化する世界 下巻」ですがオススメです。
はっきりいえば愛国主義者でネットユートピアを信じる陽気な
アメリカ人のタワゴト・・・もとい仮説について、都合の良い
事実を並べているともいえる本書です。
フラット化によりインド人がインドにいながら高給を取れる
ようになったことを肯定的に捉え、世界がフラットになり、貧困が
解消されたかのような記述は、日経新聞のように企業寄りな記述の
報道機関を見るだけでも違和感に気がつきます。
一部に富が投下されれば、地域全体で格差が広がるのは市場原理
をあげるまでもなく当然の話です。また、キャッチアップしていく
中国はフラット化だけで為し得たモノではなく、中国共産党の
国家経営戦略の方向転換によるモノで、あの国の体制はフラットとは
縁遠い構造です。
などなど。しかし、忘れてはならないのが、著者が愛国主義者で
ある以上、米国を中心とした価値観で綴られるのは当然のことだと
いうことで、これを差し引きして本書は読まなければなりません。
ところが日本のネット屋さんや識者はこれをひかずに礼賛します。
あるいは脅迫しました。
「世界はフラットになった」
これは持論ですがここに「世界市民」という幻想と、日教組教育
の影が重なります。
そして日本ネット屋さんが引用するのは「上巻」からが殆どです。
なぜなら「下巻」はフラット化により顕著になった米国の危機に
ついて、愛国主義者らしく警鐘を発します。愛国主義者とは美辞麗句
をならべて事実を歪めるばかりではないのです。この1点において
私は著者を信用することにしました。
もちろん、陽気なアメリカンよろしく、その不安にも希望を持っ
て接しているのですが。
フラット化する世界 下巻。
現代日本はいままさに陽気な愛国主義者であるアメリカ人の
警鐘を越えて、対策に乗り出さなければならない状態になってい
ると背中に寒いモノを感じた一冊です。
■フラット化する世界 下巻
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