戦え! TBC。
弁護士から聞いた話によると、個人情報保護法は「保護」の面と
同時に「権利」を確定させたことに意義があるのだそうです。
以前は個人の情報が「垂れ流し」となっても、流出を差し止める
ことが難しく、自分の好まない業種の
「顧客リスト」
に名前があってもそれを削除することが法的に難しかったのです。
個人情報保護法により、リストの開示と自分の情報の削除を要求
できるようになった、つまり、企業の営業活動上の個人情報収集で
得た「資産」に対して、個人の「権利」を主張できるようになった
ことが画期的だというのです。
なるほど。
確かに自分が好まないリストに掲載されると、電話やDMが相次ぎ
下手なところに流出すると、身におぼえがなくても
「個人名でくるアダルトビデオのダイレクトメール」
は家庭不和の原因となる危険性を孕んでいますからね。
ところが実際の施行以降、この法律はどうなったでしょうか。
「教職員、警官も含めた役人の不祥事隠し」
以外、芳しい成果は上がっていません。
あとはテレビ局やラジオで
「余計なテロップ」
や
「そこまで気を使うの?」
という説明が増えたことぐらいです。
もちろん、企業には顧客名簿を厳重に管理し、
「目的外使用」
を禁ずるのは当然でしょう。
しかし、「目的外使用」も限度の範囲内という前提ですが、
結局コスト負担するのは私達だということです。
とある「キャンペーン」に応募しました。
以前なら、同種のキャンペーンがその後行われる際に、
「ご案内」
が他の方より先に届く「特典」がありました。
今は「目的外使用」に問われるリスク避け、、更に
「管理責任・義務」の為のコスト負担を嫌い、応募された情報
はそのたび毎にシュレッダーにかけられ廃棄されます。
キャンペーン毎に「ゼロ」から始めるため、企業は広告・
広報コストを上積みする必要があります。
応募者もそのたび毎に、葉書を書く人的コストと切手代を
投資しなければなりません。
それぐらいなら。
と思うか、
資源とコストの無駄が生じる
と考えるか。
もちろん、性癖や初恋の人の名前といった個人情報を垂れ
流しにすることはよろしくありませんが、いきすぎた過剰
保護への警告を誰か発しても良い時期に来ているのではない
かと思うのです。
TBCがホームページから個人情報が流出した件で
一人最大35000円の賠償判決が下されました。
確かにこの流出はちょっとズサンだったかなというもので
したし、TBCの会社規模からいっても「まぁこれぐらい」
とも思うのですがあえていいたい。
「戦え! TBC」
企業イメージもあるので落としどころなのでしょうが。
今回のは民事裁判です。
そして「個人情報保護法施行前」です。
ただ、判決はガイドラインが作られていた等の
「当時の状況」
を斟酌して「アウト」としました。
ただね。
だったらサイトを閉鎖後も
「WinMXや某掲示板でさらした人の責任にも言及しろ」
と考えるのです。
WinMXとはウィニーの前に話題になっていたファイル交換
ソフトで、TBCがサイト閉鎖後も面白がって流布させていた
人がいます。
民事なところが痛いのですが、
「当時の状況」
で判決を下すのなら、ここまで踏み込んでも・・・と思い
判決を下した裁判長を調べてみると、なるほど。
「阿部潤裁判長」
で調べてみると、
■週刊金曜日 武富士裁判90 (2006/10/20号)
http://www.kinyobi.co.jp/takefuji/90
■東京女子医大・手術事故:元助手の名誉棄損認めず 講談社が勝訴
http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/index.html
■「都教委に反対の組合には施設を貸さない」は違法!
http://wind.ap.teacup.com/applet/people/200609/archiveωb=50
などなど。
ちょっと建前論が好きな左側のニホイが。
だから「戦え! TBC」と。
今回は「地裁」なので、あと2回戦えます。
当時の法律ではなく、今の社会状況を基準に当時の都合の良い部分を
拾い上げて、判決が変わるということは
「司法の暴走」
を許すこととなります。
もちろん、ずさんな管理によって個人情報が漏れることを
良しとするものではありません。
しかし、判決の理由に疑問を持ってしまうのです。
「オウム」も「殺人鬼少年」を裁き切れなかったことも
「事後法」
を認めることによる暴走を懸念してだったのです。
これも刑事と民事の違いでしょうか。
だとしたら日本でも「OJシンプソン」が誕生する日がくるかも
しれません。裁判員制度の始まりと共に。