ホワイトとブラックと独裁者(執筆中の「SEO」より一部転載〜)

■ホワイトとブラックと独裁者

何を持って違法とするかが難しいのがSEOの世界です。

検索結果を操作することを目的とする全てのアプローチを否定する原理主義者から、バレるまではOKという確信犯までいて、わたしはそのどちらの主張にも頷くところがあります。

原理主義者は、検索結果の操作に一喜一憂することなく、良質なコンテンツを作り続ければ、いずれ評価をされるといいます。

また検索順位の操作は、ウェブを邪悪なものにする好意と、いささか感情的に遠ざけます。

良質なコンテンツという主張は、売れない作家の負け惜しみにも似ていますが、面白いものでウェブ業界では売れている人ほど、これを叫びます。

かつて法に触れるような記事を書いていたライターが、ウェブ業界で売れてしばらくもすると道徳的で倫理的な社会を守護するための聖戦士へと転身します。

既得権を守るためには、グーグルの一極支配の法が都合が良いという面もあるでしょう。

独裁者が統治する国を非難する国際世論は少なくありませんが、独裁国家の統治者に近い側に立つものが、体制の堅持に奔走する姿に似ています。

そもそも検索エンジンの順位とは、グーグルの都合に過ぎません。
実際にEUではグーグルが自社のサービスに「利用者を誘導」していると問題提起され、独占禁止法に基づく処分を検討されています。

ならばこちらの都合で操作しても良いと反論をするのが、いわゆる「確信犯」です。

また、グーグルは各コンテンツから無断で情報収集しており、勝手に集めた情報を勝手にランキングしているのだから、そのランキング結果に都合が悪い情報がはいっていたからと文句をいわれる筋合いはない、という声もあります。

グーグルは、他人の家に無断で上がり込み(訪問)、そこにあった食事を勝手に食べておいて(クロールとインデックス)、「偽装食品だ(スパム)」と文句をいっているのと同じだという主張です。

ちなみにグーグルがコンテンツを収拾しないようにはできますが、そのためにはわざわざ宣言する必要があり、家の中の各部屋の入口に「泥棒に入らないでください」と、いちいち立て看板を立てなければ、泥棒にはいっても文句が言えないという理屈をグーグルは掲げています。

どちらにも通じる真理はこちらです。

「情報は人の目に触れなければ意味を持たず、鉱脈に眠るダイヤモンドと同じ」。

もちろん「選挙」ならば、誰にも気づかれてなくては論外です。
どちらに立つべきかの結論はここでは避けます。

ウェブ業界に違法と合法の明確な定義があるわけではありません。
先程来「スパム(不正)」と表現してきましたが、明確にスパムとグーグルが断定している手法は実はあまり多くありません。

詐欺師や犯罪者、あるいはアンダーグラウンドでビジネスを展開する人にとって、禁止事項が明確になればなるほど仕事がしやすくなることも理由のひとつでしょう。

ここまでなら捕まらないと明示されることで、逆説的に安全地帯ができてしまうからです。

一方でルールを明文化せずに、支配を強固にするのは独裁者の統治法です。

明文化することで反論の余地を与えるからです。

ウェブ業界は独裁者に従い「ホワイトハット」と「ブラックハット」という言葉をひねりだしました。

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