さらっと詐話を語るテレビ活動家、玉川徹

Web担当者Forumの連載でときおり紹介する「ブラックテキスト術」。
事実誤認を誘うグレーゾーンの文章術で「ブラック」と名付けているのは悪用できるという警告も含めて。分かり易い例では「驚きの軽さ」などもそのひとつ。

「驚き」

という基準の曖昧な表現を用いることで、ペラペラと嘘をつくことが可能になるのです。広告の世界では程度の問題で、あまりに悪質なものは消費者の離反を招くリスクもあれば、消費者庁のまえに「同業者」からの突っ込みがはいるので、ギリギリのラインで自制がかかります。シャンプーの「ノンシリコーン」の強調がこれ。科学的な根拠が不明瞭と「シリコン入り」を販売しているメーカーが反論しているようにです。

ところがブラックテキスト術が野放しにされている業界があります。「テレビ」です。新聞や雑誌、インターネットも「証拠」が残り突っ込まれることもあり、一定の自制がかかり、イケダハヤト師(ネットだけで有名な炎上型ブロガー、突っ込まれることを前提として成り立っているとコメントをいただきました)のような「投げっぱなし」は超レアケースです。

一方、テレビはといえば、2週間全番組を録画できる機材もありますが、それで全局録画し、全番組視聴をすることは物理的に不可能ですし、ワイドショーなどは再放送されることはありません。だから検証されることは希です。

今朝のテレビ朝日「モーニングバード」で都知事選挙に触れます。ここでアジテーターに成り下がった玉川徹氏(テレビ朝日の社員)がブラックテキスト術を噛まします。東京都の知事とは、たんなる地方の首長ではない巨大な力を有しているというようなニュアンスの言葉をマクラとしてこう述べました。

「あの尖閣の問題も石原(慎太郎・日本維新の会共同代表)さんが都知事の時に起こった」

尖閣諸島の購入のための寄付金募集を指していることは明らか。余談ながらわたしも寸志を寄付しております。

・・・ちょっと待ちなさい。寄付を募集したから中国が尖閣を外交問題にしたのでしょうか。ざっくりとし時系列をウィキペディアから引用します。

2008年12月8日 – 中国ガ海洋調査船ヲ尖閣諸島の日本領海内に侵入
2010年9月7日 – 尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生
2010年9月24日 – 中国人船長の釈放
2010年9月25日 – 船長帰国。中国は事件に対する謝罪を要求
2010年9月30日 – 衝突事件を巡り中国側の強硬姿勢が止まらない
2010年11月4日 – YouTube上に動画がアップロード
2012年4月17日 – 石原慎太郎都知事(当時)が尖閣諸島購入計画を発表
2012年9月11日 – ドジョウ内閣が国有化

事実を追えば尖閣問題は中国の「攻撃」で、都知事は「反撃」をしたにすぎません。しかも騒動を問題にまで発展させたのは、玉川徹らが応援していた民主党政権のドジョウ野田です。

慎太郎ちゃんなら神奈川県知事(離島管理の経験を持つ東京都という大義名分はなくなりますが)でもやったかもしれません。つまり、都知事と尖閣問題は無関係で、石原慎太郎のパーソナリティとなら紐付けしても論理的整合性がとれますが、尖閣を「問題」とし、都知事に重ねるのは我田引水のレベルをこえた「詐話」です。

玉川徹氏はすでにジャーナリストからドロップアウトし、活動家になっているので仕方がありませんが、左傾の活動家はこうした小さな「ウソ」をジャブのように繰り返し、国民の洗脳を目指しています。ご注意を。

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