トランプ次期米国大統領の記者会見を巡る報道に、日本のメディアの劣化というか、驕りというか、本音を見つけることができます。
2017年1月13日のテレビ朝日「モーニングショー」。CNNを罵倒するトランプ氏について、元政治家(民主党)で現在、政治学者を名乗る中林美恵子氏は、それでも支持する人が多いと説明します。
すると、コメンテーターの吉永みち子氏は「(大衆は)正しいことを受け入れない」と述べ、女優 メリル・ストリープのトランプ批判を引用します。彼女は反トランプこそ正しいことと定義してます。傲慢です。
中林美恵子氏は米国のマスコミの大半が、民主党支持者であることを紹介し、そこから民意との乖離について触れていますが、吉永みち子氏はそこを斟酌していません。都合の悪いことは聞こえず、自らの価値観という観念が、現実を上書きする。これが今のマスコミの病です。その姿は、戦前の大本営発表と同じです。安倍首相を批判するとき「戦前」を煽るのは、己の影に怯える小学生の黄昏時と同じです。幼稚なのです。
トランプ批判は続きます。記者会見での焦点のひとつに、実業家であるトランプ氏のビジネスとの利益相反がありました。要するに大統領の権限を利用して私腹を肥やすのではないか、という疑いです。
トランプならやりかねない。と、私も思いますが、これを批判するなら、ヒラリーはどうか。モニカ夫こと、ビル・クリントンが大統領だったころから、またオバマ政権でヒラリーが政権中央に戻ってから、その権力を背景に金儲けに走っていたと言われています。
つまり、政治権力を使っての不正蓄財について責めるなら、まず、容疑者を責めるべきで、今後の可能性はともかく、現時点では罪を犯してもいなければ、疑いすらないトランプ氏を批判するのは「差別」といっても良いでしょう。という論理矛盾に気づきません。なぜなら、観念が現実を上書きするからです。
そして玉川徹テレビ朝日社員は、過半数を与えた米国国民、トランプ支持者を「反知性主義」と罵倒します。反知性主義をパヨク陣営は「バカ」の文脈で使いますが、本来は進化論を信じず「神の教え」に従う生き方を指すもので、当然ながらトランプへの支持不支持を意味しません。
パヨク的な理解での反知性主義としても、論理性に欠け、己の意見(観念)を絶対視し、妥協点を見いだすための話し合いを拒否する態度こそ、彼らの言う「反知性主義」であり、事実、選挙結果がでて、さらに大統領に就任する前の段階から、反対と抗議を繰り返す陣営こそ「非知性」です。確実に日米どちらのマスコミも劣化していることを、トランプ批判に確認できます。
トランプ氏を支持しているのではありませんが、論理的に理性的に責めれば、穴だらけの人物を、同レベルで批判しているのですから、海千山千の山師に勝てるわけがありません。