三鷹でストーカーと呼ばれる元彼に、女優を目指した女子高生が刺殺された事件についてはブログで詳しく触れています。
□被害者も嘘をつく。間違った警察批判の代償
http://www.miyawakiatsushi.net/2013/10/lair-game.html
□リベンジポルノとLINEというリスク
http://www.miyawakiatsushi.net/2013/10/line-risk.html
で、ネットではすでに有名すぎる話になっていますが、事件の背景をさらっとなぞれば、被害者はポルノまがいの自らの写真を加害者に送信しており、さらにふたりでの秘め事を撮影した動画の一部がネット上に拡散しています。
ネットスラングで「地鶏(ジドリ:自撮り、自分を撮影すること)」と呼ばれるもので、大好きな彼氏にちょっぴり冒険♪ というレベルではなくポルノです。そして動画もそれに匹敵します。
だからといって殺して良いかという話しではありません。新聞もテレビもこれを黙殺していることが問題だというのです。
ポルノ画像についてはネットニュースでは初期から、週刊誌では今週の『週刊ポスト』が報じています。被害者が死者であることにより、不利益となる報道を控えるのは結構です。そしてそれらがポルノ同然とまで触れる必要はありません。
しかし、事件の背景を正しく報じないことで、同種の事件が再発する危険を残してしまうことを危惧するのです。
先のブログ「被害者も嘘をつく〜」とは、タイトルにあるように、被害者とはいえ、都合の悪い事実は嘘をついて隠してしまいます。これは状況証拠からも明らかで、被害者はストーカー被害について、親に相談し、親と共に学校に相談へ行っています。
まず、そうした「あられのない写真」が存在していることを、両親が知っていたとして、果たして学校に相談しに行くでしょうか。
「ウチの子供が不純異性交遊をしていまして」
と、切り出すのでしょうか。報道によれば私学です。「本学に相応しくない学生は・・・」と、私学は生徒の生殺与奪権をいつでも握っています。ましてストーカー付きとなれば、他の学生の被害を怖れ、少なくとも自宅謹慎を命じることでしょう。
つまり、学校に相談にいくデメリットの方が大きいのです。ところが被害者は被害当日も授業を受けています。
次に警察です。いま、神奈川県警を除いた警察組織は、ストーカー被害はもちろん、ネット被害に神経質になっています。拡散されれば一生の被害を生む写真の存在を知っていれば、別の対応をしたことでしょう。※神奈川県警は犯罪の百貨店なので、ストーカーをする側かもしれず除外しています。
ところが責められるのは警察です。
今回に関して、連携不足が指摘されますが、結果的に殺人に至ったとは言え、こうした情報が伝えられていなければ、ネットで知り合った青少年による男女のいざこざ、痴情のもつれです。おまえを殺して俺も死ぬぐらいは珍しい台詞ではありません。
四半世紀前ですが、友人が他に女を作り、元カノ(というか、まだつき合っているのですが)との修羅場を、ひとり暮らしをしていたわが家で数時間にわたってやられたときには、何度も耳にしたものです。迷惑ですが、若さとはそんなものです。
百歩譲って連携不足は今後の課題としても、そのとき、些末な痴話げんかまですべて警察の手を煩わせるなら、応分の人員補給を警察に認めてあげなければ、国民による下請けイジメです。警察などだから、文句をいわず市民の安全のために働け、それも割増賃金無しで。大手による下請けイジメと同じ構造です。労働の増加に応じた対価が支払わなければ、アベノミクスも頓挫します。
警察は警護に当たる、巡回をするなどできなかったのかという主張もあります。こうした案件を扱い、いまメディアの寵児かのように活躍する小早川明子氏も同様の主張をしますが、ならばわたしはこう提案したい。
「男女の痴話喧嘩解決税として消費税の1%アップ」
警察官だって人の子です。腹も減れば眠くもなります。ならば相応の報酬と人員増加が必要で、それは市民に応分の負担が求められるものです。
さらに警察の民事不介入の原則を越えろというい意見もありますが論外。公権力の介入です。警察が暴走すれば、検察による暴走どころではなく「現場の判断」でやりたい放題が可能になるのです。神奈川県警にこれを認めては・・・と、冗談が過ぎますね。失礼。ストーカー事案への早期の介入とは、痴話げんかへの介入を意味します。
ついでにいえば、小早川明子氏は警察が介入したときが、こうした事案では一番危険で、当初、介入の方法が適切だったのかと疑問を呈していました。
しかし、事情聴取からあきらかになっていることは、警察が加害者にかけた電話は、加害者の友人の電話番号で、加害者本人は警察の介入を知らなかったのです。
名前は失念しましたが、こうした犯罪を研究している学者(本物のね)は、警察の介入で8〜9割は解決すると指摘しており、本件に関してはマジョリティだった可能性が高いのです。
先の小早川氏が出演してい番組では、のこりの1〜2割の存在を問題視していましたが、100%の安全を求めるなら恋の火遊びなどしてはいけません。いや、学校と自宅の往復であっても、通学姿を見初めたストーカーのターゲットになることだってあります。
そもそも被害者は女優を目指し、映画やテレビに出演しており、積極的にリスクを増やしていた・・とは被害者には残酷ですが、冷酷な現実です。
被害者を責めるのではありません。かような状況下においてリスクをゼロにするという発想が奇想天外な空想夢想の妄想に過ぎないということです。
適切に警察が介入していれば防げる事案・・・ができなかったひとつの理由は、被害者が本当の全部=状況的には嘘をついていたからなのです。
加害者を擁護するものではありません。ただ、犯行を決意して購入したのが刃渡り13cmのペティナイフ。ペティナイフと、果物を切ったり、飾り切りしたりするのに使う小道具。13cmとは鉛筆ほどの長さです。
その後、犯行直前までのLINEのやり取りが公開されましたが、勢い余って被害者宅に侵入したことにより、追い詰められて犯行に達したとみるのが妥当でしょう。ついでにいえば、被害社宅内に血痕がなかったという報道もあり、すると室内では幾ばくかのやり取りがアリ、その内容により一線を越えた可能性も捨てきれません。
そしてストーカー被害を自覚し、加害者が京都から三鷹まで来ている状況を深刻に受け止めていたとして、被害者宅の2階の窓が開いていたのは不思議です。また、犯行当時、隣家の伯父夫婦は在宅していたと報じられます。
被害者が本当の恐怖を感じていたなら・・・一人で過ごすことを怖れるものではないでしょうか。いやいや、死者に鞭を打つのが目的ではないのでここまでとしますが、先の小早川明子氏はひとつだけ膝を拍つ指摘を紹介します。
「最悪を想定して行動すること」
その通りです。最悪を想定したなら、恥ずかしいことでも告白しなければ、適切な対処も行動もとれません。
それから恥ずかしい写真はどれだけ親しくても厳禁。これは「リベンジポルノ」と呼ばれ、カリフォルニア州では禁止する法律が作られつつありますが、撮影しないに優る抑止力はありません。