元オセロの中島知子さんが、テレビ復帰を果たしました。はじめはテレビ朝日の昼番組の独占インタビュー。当時所属していた松竹芸能に無許可の出演で、結局、これにより解雇されることとなります。
不可思議なのは、これを「取材」とみたときに、事実関係を確認する=裏とりをするために、本人が言うところの「元所属事務所」にも、本当に契約を解除しているのかを確認するものだからです。
裏とりをしないものは報道ではありません。宣伝や妄想です。
そして先週の話になりますが、東京ローカルで番組出演します。その仕切りは苫米地英人氏と報じられます。いま中島知子さんは、彼の経営する会社の手伝いをしているとかしていないとか。
苫米地英人氏といえば怪しげな風貌はともかく、2004年に『奇跡の着うた』を発表し、以下その効果効能です。
(1)彼女ができる、(2)彼氏ができる、(3)やせる、
(4)肌がきれいになる、(5)巨乳になる、(6)集中力がアップする、
(7)物覚えがよくなる、(8)自分に自信が持てるようになる
計8種類12曲が配信していましたが、具体的な事例なく効能を謳う行為は今なら薬事法にひっかかります。
記事によれば苫米地英人氏はこう答えています。
「この『奇跡の着うた』の技術には、私が’85年から約20年にわたって研究を続けてきた、脳研究の中でも無意識レベルの情報伝達研究の成果が組み込まれています。」
ウィキペディア情報によれば1985年は、イエール大学大学院計算機科学科博士課程(人工知能)入学となっております。人工知能と脳研究は隣接するともいえますが、門外漢なのでこれへの突っ込みは常識の範囲内に留め、巨乳になるとすればホルモンバランスか、美容整形の話しですよね。
ただし、先の効果効能にひとつ当てはまるものがあるとすれば
「思いこみ」
です。潜在意識云々ではなく、思いこみ力を高めれば、すべてが可能となりますが、この手のものは鰯の頭と同じく信心しだい。さらに先の記事には「洗脳技術の平和利用」と説明しています。
記事を丹念に読み込むと、胸の筋肉に働きかける音源がはいっているので巨乳になるとのことですが、これが本当だとしても行き着く先は「鳩胸」です。バストアップ効果と巨乳の違いは、人工知能と、脳科学ほど似て非なるものです。
苫米地氏といえば、思い出されるのが「オウム真理教」です。
教祖(主犯)麻原彰晃こと松本智津夫による、信者への洗脳を解くと言い、ワイドショーを席巻したのはバブルの残滓が残る1990年代中ごろです。
当時はいまよりまだ社会に大人が多く、大の大人が洗脳を受けたことに呆れる意見も少なくありませんでした。誰もが現代社会という洗脳を受け入れているという、中二レベルの意見はここでは無視します。社会などは共同幻想だという哲学論争も脇に置きます。
いわゆる「普通」という概念が堂々と通じた時代です。主題と逸れるので深掘りしませんが、オウム事件の犯人どもを「ふつうの人」と取り上げた報道は多く、それが棄損した我が国の倫理観は、彼らが起こした数々の犯罪より、深いダメージをこの国に与えている気がしてなりません。
そのオウム真理教の、広報活動をしていた女性の洗脳を解除をしたことを縁として、その女性と苫米地氏は結婚します。
心理学や心療内科に関する文献を読んでいると、よくある話しではあります。施術者(医者)が本当に技術を持っていれば、相手を手玉にとれるわけですから。
だからこそ、タブーとされています。ところが、彼の経歴に医療系は見つかりません。すると無資格でも行える「肩もみ」ような自己申告の職種ならば、職業意識を求めるのが酷というものでしょうか。ただ肩をもむだけで、治療効果を宣伝しなければ資格は不用です。
そんな苫米地氏が中島知子さんは洗脳されていなかったと言います。自称霊能者にはそんな力はなかったといいます。
そこから導き出される結論は残酷です。
「中島知子はクズだった」
タレント生命も風前の灯火です。苫米地氏とともに出演した東京MXテレビには、きわもの系のタレントも多く出演しており、ネット番組にまで枠を拡げれば、仕事はあるでしょうが、一般視聴者に受け入れられることはありません。
報じられる彼女の言動が「不愉快」だから。
不愉快の理由とは自己反省のなさです。騒動を起こしたから謝罪しろと短絡的なことではありません。自己反省のなさから、「傲慢」の匂いを見つけるからです。
というわけで本日の本題に映ります。
「テレビがつまらなくなった理由」
まず、テレビの凋落は先のオウムとも関連があり、TBSのワイドショー「3時にあいましょう」のスタッフが、坂本弁護士がオウム批判するインタビューを、放送前にオウム側に見せたことが引き金となり、坂本弁護士一家が惨殺された事件です。
これについてTBSは否定を続け、最終的に動かぬ証拠、つまりはオウム側から、インタビューを収めたビデオを見たという本人の証言があきらかとなるまで認めず、自己検証もいいかげんで、後に事件から20年を経過したと、各放送局が検証番組を流す中、TBSはこれに触れていないところからも、自己反省の不足は明らかです。そしてこれは「傲慢」という企業文化のなせる技です。
話は飛びますが、関東キー局には
「振り向けばテレ東」
という言葉があります。テレ東とはテレビ東京を指し、民放5局の中で最下位が指定席です。予算が少ないことから、女子アナ自らVTRを編集することもあるといい、放送から伝わる「熱」を感じる番組も少なくない一方で、『カンブリア宮殿』や『ガイアの夜明け』といった、親会社の日経新聞の強烈な腐臭=宣伝臭を感じるものも垂れ流しています。
テレ東はつねに独自のスタンスで、各社が報道特番を流すなか、湯けむり温泉旅情的な番組を報じます。かつては、テレ東とそれ以外の視聴率は大きく開きがあったものです。つまり「振り向けばテレ東」とは、その最下位が見えてきているという慣用句です。
そこにいるのはいまTBSです。ドラマはコケ、バラエティもパッとせず、報道は死に、水戸黄門も終了しました。日曜日の左傾プロパガンダプログラム「サンデーモーニング」の他には、「ピッタンコかんかん」と「金スマ」ぐらいでしょうか。
いま、その不動の最下位に異変が起きているのは、この最下位争いに「ウジテレビ」・・・もとい「フジテレビ」が参戦していることです。こちらにも「傲慢」の影がちらつきます。
夏休み冬休みだけではなく、春休みにまで公共財であるテレビ電波を使い、自局のイベントを垂れ流します。いまでは各局、同じようなイベントを開催していますが、その傲岸さは他の追随を許しません。また、自社の絡む映画の封切り前には番宣番組で埋め尽くされ、そこに視聴者の影はありません。
テレビがつまらなくなった理由の第一は、彼らが金儲けに走りすぎていることです。そのトップランナーであるフジテレビの凋落が雄弁に物語ります。金儲けを優先できる精神構造は、傲慢が軸となります。良識や常識を凌駕する傲慢さが、恥じらいを抹消するのでしょう。
そして下位3局に通じるのが「韓流ドラマ」です。
日中に、韓流ドラマを垂れ流していました。
いまでもテレ東は「韓流プレミア」、TBSは「韓流セレクト」として放送中です。フジテレビは昨年4月に午後のワイドショーを始める前まで「韓流α」として、平日の午後に放送枠を用意していました。
韓流ドラマは皮膚感覚においてざらつきがあります。韓国人達の感性で作られたドラマに、違和感を覚えるのです。なまじ外見が似ているからでしょう。白人ならば別物として割り切ることもできますが、うっかり油断すると、日本人的視点で見て、演出や演技、日常生活のありように「不自然」と感じてしまうからです。
もちろん「作品」次第。すぐれたシナリオや、日本人の感性に添うものもあるでしょうし。有名な話しではパチンコ台・・・もとい、奥様方のハートをわしづかみにした『冬のソナタ』ですが、本国では日本ほどの人気がなかっといわれています。つまり日本の奥様方には「合った」のです。だからすべての作品を否定はしませんが、すべての作品が受け入れられるわけがないのです。
文化と政治は別ですが、挑発を繰り返す隣国を見て、その隣国の凡作を流すテレビ局にシンパシーを覚えろというのが無理な話です。
そしてこれも金儲け主義です。独自番組を作るより安く仕入れた番組を垂れ流す。さらに一説によれば、大手広告代理店は韓国びいきでしっかり広告をひっぱってくるとも。どちらの発想にも「視聴者」は存在しません。それを傲慢と呼ばずになんと評価するのでしょうか。
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この4月からはじまった午後の情報番組「アゲるテレビ」ですが、低視聴率にあえでいるとはネットニュースより。視聴率を見るまでもなく、視聴者を見ていない番組作りですから当然です。
ブログより一部紹介すれば、まずテーマソングが「きゃりーぱみゅぱみゅ」。この時間帯の主要視聴者は主婦です。まして、彼女自体の人気は、あちらこちらで疑問符をつけられる、メジャーリーグ的に記すなら、アスタリスク付きのタレントです。そして司会のふたりに生活感はありません。
以下は番組表を、ブログよりそのまま転載します。
<高見から自分たちの価値観を押しつけているのです。おしゃれでしょ? ぼくたち。知っているでしょ、賢いモン! って匂いがプンプン。そのクセ、その情報の底が浅い。>
視聴者不在の傲慢さをここでも遺憾なく発揮するフジテレビです。
そして「いまつぶ」というツイッターのパクリも視聴者に寄り添うようでいて、紹介されるコメントは共感と礼賛のばかり。まるで地下アイドルのコンサート。寄り添っているのではなく、話を聞く振りをしているだけです。
さらに久しぶりに今朝、「とくダネ!」をみると、テロップで最新情報を更新しますが、半数がフジテレビの宣伝です。
というか「いまつぶ」も同じくですが、テレビ画面中、放送内容と関係のない情報を流されると、脊髄反射からその解読に意識が向かってしまい、それまでみていた番組内容が飛ぶこともあります。
「あれ? いま何見てたっけ」
極論すればこんな感じです。
そんな番組にロイヤリティは感じません。
テレビがつまらなくなった理由は
「価値観の押しつけ」
です。それは金儲けと傲慢さに裏打ちされます。
そしてもうひとつが「批判精神の欠如」です。これには先のTBSが関係します。
オウムにより独自取材を自粛したことは、芸能ニュースにまで派生し、すっかりテレビタレントをお客様扱いにするようになりました。
記者会見やイベントの取材は無料。先方の指定する場所に足繁く通えば、放送枠を埋める程度の映像を無料で抑えることができます。そこで批判しようものなら、お呼びがかからなくなるリスクがあります。
はっきり言います。
「タレントに謙譲語を使うな」
タレントは、テレビの向こう側のいわば演者、関係者です。自分の会社の社長の言葉を取引先に対して
「おっしゃっていました」
バカと思われます。そんな馬鹿な言葉を局アナという会社員が開陳します。そこから視聴者が覚えるのは「馴れ合い」です。給湯室や社員食堂の会話です。
これもまた「価値観の押しつけ」です。てめえら・・・もとい、テレビ局の制作側の価値観で、タレントを褒めそやし、謙譲語を用いて紹介しているのです。視聴者からすれば
「そんなの関係ねぇ」
のですが、テレビ局にとって視聴者の意見こそ
「そんなの関係ねぇ」
と今日も傲慢を振りまきます。それを面白いと思える訳がありません。
僭越ながら苫米地氏の説を却下して、しかし洗脳ではないとするならば中島知子さんの抱える病は
「依存」
です。これは心療内科の領分で、洗脳で直すなら、別の洗脳にはまるリスクを抱え大変危険です。
そして同じく演者側の中島さんの状況も把握せずに、関係者の確認をとらずに放送したテレビ朝日もまた、己のことしか考えない傲岸不遜は隠しようがなく、彼女もまたテレビの傲慢さに殺されるひとりかもしれません。
ちなみに苫米地英人氏はここでも本職ではないともいえます。芸能事務所の関係者もなければ、テレビマンでもない。だから・・・なにがどうなっても言い訳も自在と。