遠隔操作とTOR

 いま話題のパソコンの遠隔操作にTOR。報道を受けて八代英輝コメンテーターはいいます。
「ファイル共有ソフトは便利だけど気をつけて(要約)」
 ・・・報道を信じるなら、今回は「2ちゃんねる」だったんですけどね。

 で、どういうことかといえば、遠隔操作はトロイの木馬型+スパイ大作戦型で、ウィルスはトロイの木馬型で活動し、目的を果たすと「なお、このテープは自動的に消去する」というアレです。そしてTOR。トーアと呼ばれるこいつは「The Onion Router」の略称で、つまりは「たまねぎ」。めくってもめくっても中身に到達しない匿名化・・・とすると、少し語弊があるのですが、これは「接続経路」の匿名化するソフトや技術のことを指します。

 しかしこれがどうして「匿名化」へと繋がるかというと、インターネットの世界は本気になればすべてが「実名」となります。今回の事件で警察が発表したのは「IPアドレス」とは、インターネットに接続した際に必ず割り当てられる番号で、これを辿れば誰がアクセスしたかはイタズラ電話の犯人を捕まえるより容易です。また、公衆無線LANや、よその家のLANを(無断)利用してアクセスすれば、その家のIPアドレスになるのでばれない・・・ことはなく、すべてのネットワーク機器にはMACアドレスというものが最初から設定されており、それは世界唯一のもので、これを辿れば犯人を特定することは容易です。MACアドレスを変更する機器もありますが、これを利用しても追いかけることはさほど困難ではありません。

 ところがTORは、世界中にあるTORに協力しているサーバを複数個経由して目的地に辿り着きます。その際に、サーバ同志のやり取りでは「暗号」を使い、サーバAとサーバB、サーバBからサーバCのあいだでだけ通じる暗号を使うので、サーバAとサーバCの関係性がないかのようになるのです。すこし説明を重ねると、AとBでは「山といえば川」だとすれば、BとCは「谷といえば桃子」のように脈絡をなくしてしまいます。さらにこの接続も一定時間毎に切り替わるようになっているので、すべての「通信記録」を追いかけるには途方もない労力を要することから、結果的に匿名性を得られるわけです。

 今回の犯行予告ではさらに匿名化技術も使われていたので、さらに厄介で、腕試しをしたかったという犯人のそれはアレとして、一般市民が被害者となり、警察に投じられる税金が無駄になっていることに何だかなぁと。そして重ねて言います。今回の事件はファイル共有ソフトではなく「2ちゃんねる」。掲示板が悪いとは言いませんが、そこにあるリンクをむやみやたらにクリックするのは御法度・・・という事件です。

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