ジャーナリストの岩上安見氏の活動家ぶりに拍車がかかっています。朝日新聞を親会社とする「テレビ朝日」らしいイデオロギーを隠しきれない「モーニングバード」でのコメンテーターでも、そろそろ限界ではないでしょうか。
モーニングバードのコメンテーターは日替わりで、それぞれ3人登場しますが、振り分けは「ニュース解説」「女性目線」「ユーモア担当(ボケ)」となっています。
元キャバ嬢の作家を名乗る立花胡桃と、インテリ芸人でブレイクした宇治原史規の組み合わせのように、日によってはボケと女性が入れ替わります。
金曜日のボケ担当は「長嶋一茂」ですが、ときおり正論を吐くので油断なりませんが、それなりに大人だということでしょう。石原慎太郎が都知事時代から「維新の会」の喧噪のころ、月曜日にはその息子「石原良純」がいることから、悪し様な言葉を使えないシーンなどはニタニタと楽しめたのは余談。
岩上安見氏の出演する火曜日は、女優という肩書きはすでに似合わないタレントの高木美保氏。裏番組の「とくダネ!」を降ろされたコンビです。
高木美保は降ろされた翌週から、テレビ朝日に出演していましたが、出演する方も出演するほうなら、キャスティングする番組の見識も透けて見えます。
ライバル番組への恨み辛みやっかみもあるのでしょうが、視聴者の混乱をおきざりにしているということです。「とくダネ!」なんて放っておけば、そう長くないのに。
トンチキな文化人もどきを登場させ、「番組出身」といばりたいのでしょうが、ネット系の著名人って一般の感覚に乏しいことに気がついていないのは「トレンディ」なフジテレビらしい滑稽さです。
それでも「とくダネ!」が続くのは、他局の自滅で、このモーニングバードもそうですが、この春に始まったばかりの「いっぷく」の迷走など敵失に助けられています。
さて、岩上安見氏。Twitterでは反政府活動と錯覚する情報拡散を繰り返しておりますが、それが地上波にまで浸食します。これはネットの病で、現実とネットを混乱してしまうのです。
昨日の報道では、葛飾区を中心におこった
「自動販売機連続放火事件」
の手口がネットに晒されていることが、事件の拡大に繋がっているとして、弁護士の田中喜代重氏がネットに手口を公開することを
「殺人教唆にあたる可能性」
を指摘すると、岩上安見は一笑に伏します。
弁護士お得意の「可能性」の提示を笑ったのではありません。
「ネットの規制は不可能」
と彼は主張します。
“オジサン達はネットを規制できると言うが現実的ではない。
それよりカウンター情報を流すことで抑止効果を目指すべきだ(意訳)”
と指摘しますが、言葉尻に
「規制するな」
という本音が滲みます。規制対象になりそうな情報を拡散していることを自覚しているのでしょうか。
岩上安見の指摘するカウンター情報とは、
「割に合わない犯罪」
ということ。自販機に火をつければ、紙幣が燃えて、せいぜいコインしか入手できず、その割に罪が重い・・・と「拡散せよ!」。しかし彼は人間の真実を分かっていません。
葛飾区の事件で逮捕され、余罪が追及されているのは中学生のグループです。中学生なら数百円から数千円の「小銭」でも大金です。
そもそも善悪、後先を考えるものはこの手の犯罪をしません。手口はつまびらかにしませんが、もっと「頭」を使えば簡単な道具で、同じ手法で小銭だけを盗むことができます。
いわば「粗暴犯」に、利得を説くのは馬の耳に念仏です。
犯罪的なメリットの少なさの公開も、多少の抑止にはなりますが、ならば田中喜代重弁護士による、そもそも手口公開も罪になる「可能性」を流布させることにも効果があります。
ネットに詳しいと自負している岩上安見氏の底が見えるのですが、罪になる可能性が、多大な抑止効果を生み出すことは、我が国においてはすでに立証されています。
それは「児童ポルノ」です。
規制が厳しくなる毎に、それをアップロードするユーザーは減り続け、ダウンロードによる単純所持を禁じてから、一般的な検索結果から見つけることは困難になりました。
2次被害を避けるために詳細は触れませんが、リベンジポルノの事件でも、その「写真」が野放図に拡がらなかったのは、被害者が未成年と言うことから、「児ポ法に触れる」という噂が同時に拡散したことも見逃せない事実です。
多くのネット民は罪を犯すことに臆病です。ならば、犯罪の手口を公開すること、その情報に基づき、死者が出た場合、殺人教唆に問われる可能性があるとなれば、興味半分はもちろん、
「アフィリエイト(広告収入)狙いのコピペ」
は激減すると実証したのが児ポ法です。
岩上安見氏はネットに詳しい振りをしています。そこに自由を見つけたのかも知れません。しかし、先進国、とりわけ欧州では、その自由には一定の規制が必要だというのが主流になりつつあります。
野放しではない、ということで、これはテクノロジーが市民社会に溶け込み、成熟を迎える過程で当然のことです。
さらに番組出演を危惧・・・はしていませんが、まぁ厳しいなぁと感じたのは、イスラム国へ参戦しようとした、就活に失敗して自分探しの旅を目指した北大生の事件です。
「私戦予備・陰謀の疑い」
で事情聴取されことについて、岩上安見は
「これまで傭兵として海外で活動していたものとの整合性は?
きっちり検証する必要がある(要約)」
とふんぞり返り指摘します。テレンス・リーを指しているのでしょうか。
これについてはTBS「ひるおび」で、知ったかぶりが激しいながらも法律家である八代英輝弁護士が適切に解説していました。
1:「私戦予備・陰謀罪」は自首すれば不問に付される抑止的意味合いの強い刑罰
2:海外での傭兵活動は現地の法律により裁かれる
僭越ながらフォローすれば、交戦権は国家にだけ認められる権利で、「外交」の延長線上にある。それを私人に勝手にやられては困るために制定されているとみるべきでしょう。
脱原発や特定秘密保護法など「反日活動」をしているネット民の中には、こんな法律を自由に適用するようでは弾圧が始まるといいますが、昨日の参院予算委員会では民主党の小川敏夫が
「交通違反とか色々使って取り締まるのが公安」
と別件逮捕、公権力の濫用を「当然」のように発言したことを問題視しません。小川敏夫は法律家です。
岩上安見に話を戻せば、任意の事情聴取を拒んだことで、令状による捜索に切り替えられたというフリージャーナリストの常岡浩介氏への捜査への不満を述べ、さらにイスラム情勢に詳しいものと連絡を取り合っていると「中田考」の名前を出します。
彼もまた警察から事情を聞かれた一人で、この時点で番組は
「豊島区在住のイスラム学の教授(うろ覚え)」
と紹介していました。これは中田考氏です。つまり「おれ、知っているぜ」と得意げに語った人物は、番組の内規として匿名にしていた人物です。
放送で言って良いことと、悪いことの区別がついていないようです。
岩上氏の「独自の情報源」から得る情報が、他人の目には妄想に見えたとしても、真実はひとつ、いずれ明らかになることでしょう。しかし、番組にはドレスコード的な、ある種のお約束がありますが、これを守れないようでは、番組として使い続けるのは難しいことでしょう。
それを悟ってか、最近、岩上安見氏のTwitterには、番組出演者の写真が躍っています。まるで思いで作り・・・と、番組の方が先に終わる可能性も、これまた高いのではありますが。
さらに流れ玉的に楽しみなのが、岩上安見氏は、この中田考氏をイスラムの専門家で、イスラム国の情報にも明るいとして、インタビューを拡散していました。その事情通の専門家が、若者一人を送り込めないことは結果的に慶事でしたが、中田考氏は、集団的自衛権の解釈を変更したことをもって
「日本も狙われる」
と予言していたお人。
上杉隆氏もそうでしたが、なんとかに追いつく稼ぎ無しというかなんというか。来週からの「モーニングバード」が楽しみですが、この手の連中って、自分に都合の悪い情報は「なかったこと」にするのが気がかりです。