プーチンはヤンキー

ロシアによるクリミア編入により世界が騒乱・・・もせず、株式市場は中国バブルの破綻を秒読みし、戦後秩序が崩壊したと騒ぎながらも、相変わらず米国の金利の上げ下げに躍らされています。

あえて「表現の自由」を行使するなら、今回の騒乱を巡り発したウラジミール(プーチンロシア大統領)の言葉に「筋」を感じてしまうのです。

ちなみにあえて憲法まで持ち出したのは「武力」が1マイクロシーベルトでも絡むと、思考停止する輩をからかってのこと。何度も繰り返していることですが、念のため。

武力は外交のひとつのオプションに過ぎません。

お前は戦争を認めるのか! と左翼や人権派、いまなら放射脳や脱原発、吉田照美あたりが叫びそうですが、ある自然条件が重なれば台風は発生し、我が国土を蹂躙することを避けることはできないように、人類の営みのなかで、戦争の廃絶など不可能であり、現象として実存するモノを「ない」と言い張ることは、宿題をサボりたいがために「宿題はない」と言い張る小学生のようで、わたしにはできません。

クリミアを「侵略」した自警団を名乗る謎の武装集団が、ロシア軍であることは明々白々ですが、そうロシアが表明したわけでなく、一戦交え捕虜や武器など、あきらかな「証拠」を掴んだわけでもありません。

「怪しい」という疑いだけで断じる行為は、米国がフセインをなぶり殺しに追いやった「大量破壊兵器」と同じです。

仮にロシア軍と同じ装備をもち、ロシア軍の車両のナンバーで駐留していたとしても、ロシア軍から盗まれた武器の可能性も残され、あるいはロシア軍のなかにいる、クリミア系兵士による義挙の可能性は・・・ほとんどありませんが、ないとはいえないという、狡猾というか小馬鹿にしているというか、巧みなウラジミールにニタニタしてしまうのです。

いずれにせよ武力を用いた現状変更は認められない。ではウクライナのヤヌコビッチ大統領(当時)の退陣を求めるデモ隊は武力を行使しなかったのでしょうか。

日本の報道はあまり深く触れませんでしたし、触れる場合もこんな論法でした。

“政権側の「治安維持活動」による武力衝突が心配だ”

独裁者による民衆弾圧という図式です。ヤヌコビッチは、不正蓄財はしましたが、ルーマニアを我が物としたチャウシェスクではありません。

政敵として投獄された、かつて美しすぎる政治家と称されたティモシェンコからみれば、そのように見えなくもありませんが、彼女自身も不正蓄財を指摘されている、同じ穴のなんとやらです。

しかし、ウクライナの国内問題であり、ロシアが関与するのはおかしい・・・とは、実に日本人らしい発想です。接する隣国の政治情勢は、自国の利益に直結します。中国や韓国をご覧なさい。日本の国内問題に土足で乗り込み、同盟国米国ですら日本の内政に唾を吐きかけるのですよ。それが残念ながらリアルの世界です。

もっと分かりやすい例を出せば、ロシアにおけるウクライナとは、中国における北朝鮮を、より近しい関係にしたようなもので、北朝鮮が南と融和し「西側」になることを、中国が絶対に許さないことと同じです。

極東アジアの特定二カ国については、南北分断どころか南の大統領が中華文明圏への再参入を狙っているようで、むしろ焦るべきは米国でも日本でもなく、韓国国民そのものなのですが、反日で思考停止して、いま目の前にある危機に気がつきません。

ま、サムスンなどの財閥支配から、中国共産党支配に変わるだけというのなら、ご自由にどうぞというしかありませんが、対して我が国は国防力の強化、空対地攻撃能力や海兵隊の新設はもとより、禁断の兵器の保有も視野にいればなければなりません。

長い海岸線をもつ我が国は、防衛に極めて不利なのですが、これは余談。余談ついでに言えば、そこから朝鮮半島の地政学的重要性があり、日清日露の戦いもあったのですが、日本にプーチンはおらず、それを許さず、その能力もないので、韓国が中国の自治区になった日に向けての備えを怠ってはならないのです。

ついでのついで。そんな防衛上不利な日本列島を、中国が狙っているのは米国に対する「防潮堤」。中国の最終的な狙いは、日本どころか「世界征服」。昭和時代の漫画のようですが、彼らは本気で狙っています。

ロシアの専門家である外務省のラスプーチンと呼ばれた佐藤優さんが今月の『Will』が、ウクライナの過激な民族主義者について触れていますが、デモを起こした民衆側に必ずしも正義があるわけではありません。

ロイターは今年の1月23日にこう見出しを打ちます。

“ウクライナでデモ隊と治安部隊が衝突し3人死亡、与野党会談は物別れ”

“ウクライナの首都キエフで22日、ヤヌコビッチ政権の退陣を求めるデモ隊と治安部隊が衝突し、少なくとも3人が死亡した。死亡が確認されたのはデモ参加者で、このうち2人は銃で撃たれていた。(ロイター http://goo.gl/IbIea8)

と、はじまる記事により、政権側の「弾圧」の印象が植え付けられます。現地にツテを持たないので、報道を追うしかないのですが、二人が撃たれた銃が誰の者かにふれていません。

そして先の記事はこう続きます。

“キエフ中心部では19日に今回の大規模なデモが開始。警察によると、21日から22日にかけてデモ参加者50人の身柄が拘束された。また当局は、167人の警官が怪我を負ったとしている。市民側の負傷者数は不明。(同)”

冒頭であたえた印象のままなら、167人も仲間が怪我をしながら、死亡2人とは、警官は抑制して事態にあたっているということです。

1ヶ月後には「銃撃戦」が報じられ、「親ロシア派」だったヤヌコビッチ大統領を批判する声が高まり、「退陣やむなし」的な報道が繰り返されましたが、産経新聞の

“ウクライナ最悪事態、首都で18人死亡 デモ隊と当局の衝突再燃 ”

と題する2月19日の記事にこうあります。

“デモ隊と治安部隊の衝突が再燃、ロイター通信などによるとデモ隊と治安部隊の死者は計18人に上った。(中略)治安部隊員の死因は銃撃だという。msn産経 http://goo.gl/yA73Ap”

さて、誰が銃撃したのか。誰かが発砲し、射殺されたのは治安部隊員。デモ隊ではありません。むしろデモ隊や、そのシンパが武力闘争をしかけていたのではないでしょうか。

これも「内政」だからと放置するなら、すべての内戦を抱える国に、他国は干渉できない・・・ならば「アラブの春」を挙げるまでもなく、西側諸国が反政府勢力に手を貸した事例など両手両足を折っても足りない事実で、それをロシアがしたら非難するのはダブルスタンダード・・・というか、ここですね。わたしがウラジミールにシンパシーを感じるのは。

「同じことをしても日本だけが非難される」

中韓はもちろん、同盟国のはずのオバマまでが、普通の国なら普通のことである、戦没者の慰霊や、独自の歴史観をもつこと、そしてなにより

「奪われた領土の奪還、そして領土を奪われないための努力」

を否定する・・・とくに「オバマ」への嫌悪と侮蔑の裏返しが、ウラジミールへと作用していると告白します。

人を見た目で判断してはいけないと教わりましたが、彼が大統領選挙に躍り出たときから「いけすかない」と直感していたのです。むろん、肌の色などではありません。人を小馬鹿にする理屈屋特有の振る舞い。細かなことを言えば、口先だけで話すのですよ。オバマは。わたしのライフワークである「人間観察」から、この手のタイプはイザというとき逃げ出すのです。なぜならもっとも大切なのが我が身だから。たぶん、家族よりもね・・・とは推測ですが。

話しをロシアに戻せば、日本の報道も西側寄り、反ロシアの報道が目立ちます。

プーチンが併合を認めたのはクリミア半島だけで、歴史的経緯を辿れば、ロシアの主張も心情的にはわからなくもありません。

またロシアにとってクリミア半島にある軍港は、地中海へ進出する拠点であり、ミリタリーバランスからなにがあっても死守しなければならないの・・・ですが、クリミアの軍港をロシアから取り上げようとしていたのがウクライナの「親EU(欧米)政権」です。

それもウクライナの決断・・・でしょうが、このウクライナもなかなかの「たま」で、ロシアからパイプラインを通じて購入していた天然ガスの代金を支払わずに供給停止をされます。

パイプラインはEUまで伸びていることから、完全に「停止」をすれば他のお客様に迷惑がかかります。ということを見越しているので、パイプラインから無断で「抜き取り」をしていたのです。端的に言えば「泥棒」です。

ウクライナ寄りに経てば、不当な料金を押しつけられているということですが、それが泥棒の理由になどなるわけがありませんが、まぁそう主張するのです。ちなに親ロシア派のヤヌコビッチのときウラジミールは、割引きやらでサービスしました。

ウクライナが泥棒をする真の理由は、経済がガタガタだからです。これについて産業基盤や、市場規模について議論する声がありますが、ヤヌコビッチやティモシェンコ、どちらの名前でも「不正蓄財」の影がちらつくようではさもありなんです。

今や「悪の権化」のような扱いを受けるウラジミール・プーチンロシア大統領。金正日も真っ赤になるほどの悪名高いプーチンは、形式上とはいえ国民に選ばれた大統領。そして直近の支持率はなんと76%です。

情報操作もお家芸であるKGB出身のプーチンのもとに発表された世論調査の信憑性はともかく、支持する声はちらほら聞こえ、クリミア半島の現地取材でも見つけることができます。

なぜ悪の権化を・・・とは、善悪など規定する条件で変わるモノだけのことです。

そして曲がりなりにも「民意」により選ばれた大統領。
つまりは「ロシア人」の「総意」です。

曲がりなりにもとしましたが、それを打倒しようという動きも、ときおり耳にしますが、散発的で拡がりを魅せない理由は、やはり現体制を国民が受容しているからです。

テトリスを生んだロシアです。インターネットがないわけもなく、新天地を求め米国に移住するロシア人は数多いなか、ロシアを選び、ロシアで暮らしている人々がいます。

彼らにとってプーチンのような、大権をかざし君臨する「皇帝」が心地よいのかもしれません。むしろ政権が代わるごとに、利権構造が変わる「民主制」より、一定の搾取と理不尽を前提とすれば安定している社会の方が、彼らは望んでいるのではないでしょうか。

イスラムの部族社会を挙げるまでもなく、欧米型の民主主義は世界の隅々で通用するものではないのです。民主主義を絶対正義と洗脳された日本人には、いまひとつ理解しがたいかもしれませんが。

日本人社会で、プーチン流に近い価値観が「ヤンキー」の世界です。「ヤクザ」というプロではなく、元ヤンキーや、その周辺から卒業できない人々です。

彼らの村に民主主義は存在しません。中年になっても先輩後輩という縦軸が優先され、同時に喧嘩が強い、弱いという価値観を大切にします。お金の有無もそれほど重要ではなく、むしろ金持ちの弱者はカモとして狩られます。弱肉強食ながらも、「身内」に対してはめっぽう優しいというのも特徴的です。

人で賑わうショッピングモールにジャージ姿や、龍の刺繍のスカジャンを羽織り出掛けては周囲を威圧しますが、家族や仲間、とくに子供とペットにはでれでれです。

第三者の注意や苦情には恫喝で返しますが、我が子の「メッ!」には「ごめんなちゃーい」と猫なで声。こういうシーンを見るたびに

「子供好きに悪い奴が一杯」

とつぶやきます。大切なのは我が子です。家族です。仲間です。そしてそれ以外は「アウトオブ眼中」。むしろメンチを切ります。

利用できるモノは利用し尽くすのもヤンキーの特徴です。むしろ悪意などありません。できるヤツが仲間に尽くすという倫理観があり、その権利を行使して文句言うヤツは「仲間思いじゃない」と攻撃されます。

その論理構成は自分勝手ですが、みながそうなので、程度問題で、最終的には「強いか弱いか」が解決手段です。プーチンです。

話し合いで解決する。社会のルールを守る。

これは西側民主主義においての理想論ですが、そうでない現実を体現しているのが大人になってもヤンキーでいる集団であり、ウラジミール・プーチン率いるロシアです。

話し合いが通じないから騒乱が多いというのは机上の空論。いつ我が身が襲われるか分からない世界では、暗黙の了解という秩序が支配するようになるのです。

念のため説明しておきますが、わたしはその世界の住民ではありませんし、かつても在籍などしていません。ただ、近親者で散見しており、また在籍していた中学校には、教師を掃除用具入れに押し込んで、集団で蹴り飛ばす不良が同級生にいたことからの観察(フィールドワーク)です。

それでは「対峙」する側のオバマは・・・といえば三流弁護士です。

オピニオンサイト「WEDGE Infinity」にて、スティムソン・センター主任研究員 辰巳由紀氏が

“靖国参拝を米国が許容できない理由”

と題し今年の1月7日に寄稿したコラムにこんな一節がありました。

“ビジネスライクなことで知られるオバマ大統領は「サプライズ」を何よりも嫌うが、今回の参拝はオバマ政権にとっては「サプライズ」以外の何物でもなかった。 http://goo.gl/KUQcAq”

論旨は米国様がお怒りじゃぁと警告を発するもの。余談ながら「スティムソン・センター」とは、米国のシンクタンクですが、その名前を関した人物をウィキペディアで引くと

“日系人の強制収容の推進、また原子爆弾の製造と使用の決断を管理した”

とのこと。

ビジネスライクとは能率的や効率的という意味の他に、事務的、機械的というニュアンスもあります。オバマに関してはこう評価すべきです。

「アドリブに弱い」

政治の世界は入念な準備を重ねても、ハプニングが起こるもので、吉凶のどちらにころぶかは神のみぞ知ります。しかし、出目が凶なら即座に踏みつぶし砕き、

「いま災いは取り払われた!」

と吉に転じるのが政治家であり、リーダーの素養であり、お膳立てされた状況を好み、それが乱されて機嫌を乱すとは、幼稚園児レベルのアドリブ力。

つまりは、リーダーとしての地頭が弱いのです。むしろサプライズやハプニングを「チャンス」ととらえるのがリーダーに求められる能力で、この辰巳氏の論評が正しいのならば、リーダーとしての無能を表すこれ以上ない証拠です。

米国が日中、日韓関係に主導的な立場を発揮するなら、昨年末の安倍首相の靖国参拝に舌打ちするのではなく、

「これで打ち止め」

と、首相在任中の靖国参拝を行かせないように働きかけることで、中韓両国、そして日本にプレゼンスを示すことが・・・それをやられても迷惑でしたが(笑)。

結局、「法律」という枠内でしか戦えない三流弁護士がオバマなのです。

その「法律」とは米国国内法であり、価値観を共にする欧州と、子分の日本だけ。だから、シリアやイランどころか、「韓国」にすら舐められているのです。だから中国にも手玉に取られています。

で、対するロシアのプーチンはヤンキー。そもそも「法律」なんて関係がありません。ルールは自分たちで作るのがヤンキーです。かつてのように「世界の警察」がいるのなら、懲役をくらったり射殺されたりするリスクは回避しようとするのは、「力」に敏感なヤンキーの本能ですが、天敵亡きいま、俺を縛るモノはなにもないと盗んだクリミアで走り出します。

それでは日本はどうすべきか。半歩外野席に足を置き、観衆のふりをしながらヤジを飛ばす程度がベストです。なぜか?

日本の報道では欧米とひとくくりにしていますが、ヨーロッパは一枚岩ではありません。経済的に結びつきの強い国は、ロシアの自重を願い、制裁は軽微なモノに留めたいと願っています。また米国も身銭を切り、血を流す覚悟などありません。

いうなればみな「口先」だけなのです。それに足並みを揃えるふりは必要です。しかし、先陣を切る必要などさらさらなく、むしろ

「西側同盟国と価値観をともにしない中国と手を結ぶ米国」

を暗に批判するチャンスです。また、ロシアに「平和」を積極的に語りかける・・・これがポイント、語りかけるだけ・・・ことにより、ウラジミールとの友情が深まります。

なにせ、日本は「北方領土を奪われた被害者」で、その日本が積極的に和平をロシアに語りかけるのは、西側諸国の価値観から見れば、気高い行為以外のなにものでもないからです。

というわけで、クリミアの騒動は、日本のチャンス。

まさしく「戦後レジーム」から脱却する。

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