少子化対策に日本古来の事実婚を復活

彼女や奥さんを指して「あいかた」と呼ぶ人がいます。

百億パーセント深い意味はなく、漫才コンビにおける相手方、即ちパートナーという意味で使っているのでしょうが、正直、違和感を覚えます。

特に芸を見せるわけでもないのに漫才師の真似などして、そこから上がる相手の笑いへのハードルにどう答えるのかとは余計なお世話。ただ、言葉とは接した相手に意味を伝えるものである以上、漫才の業界用語を用いた時点で、それ、相応の覚悟が必要なのではないかともするのが余計なお世話であるのは、先に指摘したように深い意味ではないから。

ただし、言葉とはその人を現し、あるいは、その人を介して形容された人物像が誤解を与えることにもなるということ。平たく言えば、ウチの上司馬鹿でさぁ。といえば面識がなくとも「馬鹿上司」と刷り込まれてしまいます。

そして「あいかた」。敵娼とも書きます。この場合は遊女、つまりは娼婦です。司馬遼太郎あたりの描く時代物にはたびたびでてきます。すると、

「これ、俺のあいかた」

と彼女を紹介すると

「で、どちらのお店で?」

と訊ね返されるやもしれません。

それほど古い言葉でもありません。赤線時代には使われており、すると昭和33年ですから、55年前までは確実に存在してました。

隠語を知る人ならいまでも「あいかた」という響きに眉根を寄せることでしょう。旧家名家、教養を持つ人と接する時はご注意を。

もちろん「相方」ならば漫才師です。ネタのひとつやふたつはご持参ください。

言葉を厳格に使え、とまではいいませんが、その意味を知らずに軽々に使い一般化し、反対に必要以上に嫌って禁忌とされた言葉もあります。

「妾(めかけ)」

語源は「目をかけて世話をするから」とあります。昭和的表現には「二号」や「三号」というのもありましたが、古来日本においてそれほど卑しむ言葉ではありませんでした。

「妾(わらわ)」

とは、自らを謙遜して名乗るときの女性言葉。これも時代小説では珍しくもない表現です。

ところが時代がくだり妾にたいして否定的な色彩が強まります。戦後民主主義がはいった影響も強いでしょう。そして

「婚外子」

の権利について触れたときに、より色が重くなります。

俗に「婚外子差別」と呼ばれるものです。日本の民法では、婚姻関係にある夫婦からの子供と、そうでない子供の相続の割合が異なります。すわっ差別! とは、

「妾の子の方が良いものを食べていた」

と愚痴をこぼす婚内子のはなしを、昭和時代に何度も耳にしたものとしては要するに父ちゃんの問題ではないかとも思うのですが、我が子と認め、いまならDNA鑑定してその子供と確定すれば、応分の相続に改めることに異論はありません。

今回の議論として「妻、妾」の相続分については含めません。なぜなら、音楽イベントなどで社会貢献をひけらかすミュージシャンに多く見られるように、売れた途端に糟糠の妻を捨てて、芸能人と再婚したり、その反対もあったりで、当人同士の問題なので他人が口出しする野暮はしません。

あくまで権利としての子の相続権であり、例えば傾いた家業を継いだ婚内子と、好き勝手に放埒の限りを尽くす婚外子がいて、親が亡くなったのちに、家業の土地をめぐる相続についてどうするべきかについて触れるものではありません。

とりあえずの権利として平等に認める。というのが最近のトレンドなのでそれに乗ってみようということです。

そしてこれこそが「少子化対策」の切り札となります。

婚外子+少子化対策という数式の答えは「フランス」。

先進国で出生率が回復したフランスの例を、婚外子に見つける人が多いのです。そして入籍をしない「フランス婚」なる言葉を提唱したのは夏木マリさん。

わたしは結婚すべきと考えています。しかし、結婚したくないという考えを折伏するほど暇でもありません。ただ、ひとは個人として独立していると考えると切なすぎ、存在しているのであれば、親や兄弟姉妹、親戚というつながりの中で自分の人生があるのだということを考えれば、

「親なんて関係ない」

と話し合うこともしない行動は大人のそれではないと考えるだけです。

それでは少子化問題について。

なぜ、フランスでは婚外子により、出生率が回復したとされているのでしょうか。実は主客が転倒した話しです。

フランスは約7割がカトリック教徒だと言われています。カトリックでは離婚ができません。これを嫌ったヘンリー八世がイギリス国教会を作ったとは歴史の教科書でならった記憶があります。自分の性癖のために宗教を作りだすところに、当時の王権の強さを見るのですがそれは余談。

つまり、一度結婚すると離婚ができない、ので、入籍をしない事実婚が増えたという訳です。だから婚外子が増えるのは当然の帰結で、婚外子を認めたからではなく、カトリック教徒が気楽に夫婦のような関係を楽しめるための法整備をした結果によるものです。

そもそも結婚するのも大変で、出生証明書からはじまり、健康診断書などさまざま書類を用意したうえで、役所に「公示」しなければなりません。公示とは、このふたりの結婚に異議はありませんかと世間に問うもので、次に役所による調査や市長の立ち会いなど手続きが煩雑です。その点、本人達が書類を出すだけの日本とは大きく異なります(保証人がありますが、これ、確認などしませんからね)。

つまり社会情勢の変化により柔軟に対応したともいえます。これまた余談となりますが、フランス(に限りませんが)の素晴らしいところは、ならば結婚制度そのもを変えようとはならないことです。それは文化であり、伝統だから残します。矛盾と指摘されたとしたら「答えがいつも正しい人生なんてつまらないじゃないか」と、カフェオレでも飲みながらこういうに違いありません。

では、日本で事実婚を認めるべきか。その議論がナンセンスな気がします。事実上解禁されているようなものですから。

避妊しなかった婚、我慢できなかった婚、性的快楽を高めた婚など呼称はさまざまありますが、すでに事実婚は日常ですし、フランスの先を行くかのように結婚と離婚は容易になっています。

ところが少子化問題は一向に解決する気配がありません。

だから、ここで突き抜けます。

「妾を奨励する法整備」

わらわではなくめかけです。

例えば健康保険は戸籍上の妻しか入れませんが、ここに愛人を加えます。扶養家族については、妾と生活をしていれば認められもしますが、本宅(妻)に住みながら、妾の家でも生活実態があったとしても両方を認めさせることは困難です。

これらをすべて同等として処理できるようにしてしまうのです。もちろん、男女平等の観点から、男妾をはべらかせる女性にも同等の権利を与えます。

もちろん、生活力がなければできません。反対に生活力、すなわちお金があれば、何人の妾を囲ってもOKとします。そもそも、法律の埒外にあるので、この点は法に許しを請う必要はありません。

定年時の退職金を元手に妾を囲ってもOKですし、宝くじの当選を機にハーレムを築くのも結構です。

そしてもちろん、婚外子にも婚内子と同等の権利を与えれば、子種を欲しいと思う妾も妻も増えることでしょう。

残るは倫理の問題ですが、そもそも妾といいますが、大名ならば「側室」と呼び、妾腹が世継ぎとなった例も数知れません。その他にも妾腹に生まれた子が、名を成したケースも沢山あり、当世風にいうなら

「生まれは関係ない」

のであり、生物学的にはもちろん当然のことで、どう生きていくかが問われます。

するとまずは作る、こと、その環境です。

事実婚はすでになりました。婚外子の相続権は解決しましょう。そして突き抜けて「妾解禁」と。

さらにそもそも論を重ねれば、フランス婚がカトリックを由来とするように、日本において一夫一婦制の歴史のほうが短く、戦後の占領政策のなかで定着させられたものです。キリスト教の国教化とまではいいませんが、キリスト教的価値観を移植することで定着していったのです。

懲りずに余談を重ねますが文明化の明治以降も、妾を囲った政治家は伊藤博文を筆頭に数知れず、戦前生まれの三木武吉(みきぶきち)のように、戦後、妾が4人も居ると対立候補から非難されたときに、訂正すると前置きして、妾は5人だと認めたように、戦前の日本では妾の存在自体は否定されるものではなく、妾に傾倒して妻や家業をないがしろにしたり、囲ったくせに面倒を見ない旦那が笑われたものです。

三木武吉の言葉を借りれば

「いっぺんに数人の女をだ、喧嘩もさせず嫉妬もさせずにだ、操っていくぐらい腕がなくてはならん」

であり、妻が妾に嫉妬・・・はするとしても、それが理由で騒動がおきたり、反対に妾が妻を攻撃したりするのは、主人の責任という考えがあったのです。

念のために述べておきますが、すべての男女に妾を持てと説いているのではありません。日本史を振り返っても明智光秀や武市瑞山のように妻一筋もあり、まして生き方を自由に選べる時代に、無理に女や男を囲えなどと非人間的なことは申しません。

さらに、妾を囲う財力があっても、いずれは死にます。そして遺産は婚姻届の有無に拘わらずとなれば、艶福家の資産は細切れとなり、子らに行き渡り再分配され、やがて市中に還元されることでしょう。つまり、生まれによる格差は三代と待たずに解消されるということです。

事実婚の拡大を叫び、婚外子を推奨するのであれば、日本古来の事実婚の一種である妾を復活させるのも一手で、それにより少子化に一石を投じることができます。

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