自国の名誉は自分で守るしかない

今週のウェブ担当者フォーラムのコラムで、推敲時にばっさり落
としたものがあります。本筋とずれ掘り下げるとそれだけで一遍で
きてしまうからです。

それは

「ネット言論(主にブロガー)とテレビ評論家の相似形」

について。
もちろん全てではありませんが、ネット言論は面白おかしく取り
上げておいて、その後の続報や結末に言及する人は希です。

テレビを筆頭とする「ワイドショー手法」をなぞっているだけに
みえるのです。

折角、制約のない「自由な言論」ができるのにもったいなぁと。
自省も込めて。

てなわけで続報。

「トルコ、虐殺非難を退けるか!?」

先日、腰抜け日本のせいで他所の国の歴史に手を突っ込むくせに
自国の虐殺に強姦、民間人大量殺人に原子力爆弾の実験疑惑等々、
歴史に自省の一切ない米国の「トンデモ議案」でトルコが非難され
そうになっていると書きましたが、トルコは指をくわえてみていま
せんでした。

新聞を1面からテレビ欄までお読みになっている方なら既報で
ご存じでしょうが、

「イラクを攻めちゃうよ」

とトルコ議会が決定したことを受けて

「おいおい、それはまずいぜ。ジョージ」

と慌てて「棚上げ」の方向に動き出しました。

どうして、トルコがイラクを攻めるのか?
「ザックリ」とした説明ですので、細部については目を細めて
お読みいただきたいことをご了解ください。

まずトルコの理由を。

クルド人問題という名前は聞いたことがあるかと思いますが、
このクルド人の反政府組織の拠点がイラクの北部にあり、ここ
を拠点にトルコ国内でテロ行為を繰り返しています。

国境線を越えてトルコにやってきては悪さ(というレベルでは
ありませんが)をして、イラク領域内に帰っていくのです。

トルコ側の話を身近に置き換えた仮の話として半島から特殊工
作艇でやってきた工作員が国内でテロをして、日本海を渡り半島
に帰って行くようなもの。

で、それを「やっちゃる」と、トルコの議会が決定したのです。 

国境線にはゲートがあるわけではありませんから、民間人を装っ
たり、闇夜にまぎれて野山を越えて爆弾一つを持ち込めばテロは
成立します。

日本のミサイル防衛の議論のように

「飛んできたミサイルだけを打ち落とす」

などできないことは議論することさえ世界では鼻で笑われる
事実です。広大な国境線を、多数の民間人を空港のゲートの金属
検査のようにチェックすることなど不可能です。

だからもっとも現実的な選択肢は「拠点を叩く」となります。

トルコ議会としては国民を守るための正当な決定です。

それでは今までは何故やらなかったのか。

同盟国米国の圧力によります。

クルド人が支配地域はイラク北部です。ここは比較的安定し
ているといわれ、海外資本もこぞって参入してきています。
油田狙いです。

こんどはジャイアン国家米国の都合を。

クルド人のイラク北部をトルコが攻撃します。
すると「民族の敵」に対してクルド人が立ち上がります。

え? 拠点を潰すから大丈夫じゃないの?

クルド人はイラクの他にもイラン、シリア、そしてトルコ国内
にもいて、総数2500万人ともいわれています。

大雑把な比較をするとオーストラリアの人口が2000万人に
満たず、サウジアラビアとほぼ同数であることを考えれば、
「民族」と片付けることに言葉の傲慢があることがわかるのでは
ないでしょうか。

だいたい今の国境や国家という概念だって最近(中東の歴史か
ら見て)のもので、アラブの民にとっては押しつけられたルール
ですから。

そのルールが有利に働く人は守りたがりますが、それにより
虐げられている側は冗談じゃないということです。

てなわけで、トルコがクルド人をつつくとイラク北部から
トルコにかけて「混乱」することは目に見えて明らかです。

イラクの平定侵略が遅々として進まないのに、さらに安定して
いる北部まで揉めたらたまらないわけです。

おまけに自分たちが搾取…接収…いいなりになるはずだった
「油田」の行方まで混沌としてしまいます。

さらにイラクの軍事作戦に空輸する物資の74%が、トルコの
基地を経由しています。

自分の国が戦争状態になれば同盟国の支援は後回しとなります。
場合によっては同盟国に「支援」を要請することもまた、同盟
の権利です。

つまり、トルコが自国民がテロの犠牲にあいながらも「我慢」
をしてきたのは同盟国米国の「事情」を斟酌してのことだったの
です。あ、もちろんジャイアンが睨みをきかせていたのもありま
すが。

クルド人側から見れば自分たちの生きる権利のために戦って
います。

つまり、生きるか死ぬかと利害とが微妙なバランスでそれなり
に成立(?)していたというわけです。

そこに自国の歴史は一切反省しない同盟国がトルコを非難した
のですから、

「そうくるならやっちゃうよ」

トルコといえばイルハン……もとい、自ら領土を勝ち取った
勇猛な国家です。座して死を待つ、また汚名を被ることを良しと
しません。

そして、ジャイアン国家も「こりゃまずい」と、舌の根の乾
かぬうちに舌を丸めだしたというわけです。

平たくいいましょう。

「自分の国、自国の名誉は自分で守るしかない」

が、国際常識です。

武力行使だ国連決議だ。

もっとも基本的な「常識」のお話しでした。

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