IT系の優秀な小僧は積極的に引きこもる

東国原宮崎県知事のマニフェストにある

「1万人雇用創出計画」

とテレビ番組で質問され、

「IT企業」

と答えてちょっとがっくり。
行動する前ですので批判は控えますが、あまりにも凡庸な「政策」
ではないかという落胆です。

もっとも宮崎県民ではないのでどっちゃでも良いのですが、
この「IT」を行政に係わる人がだすと、社民党や共産党が騒ぐ

「国民の福祉」

と同義語に映るのです。

絵に描いた餅というと言い過ぎでしょうが、無駄遣いの垂れ流し、
もしくは

「費用対効果、投下資本効率」

という発想の全くないものになるのではないかということです。

たしかに行政においては

「銭金じゃない」

施策が必要なこともありますが、

「グランドデザイン」

のない施策を、

「その場しのぎ」

といいます。
サラリーマン減税も子育て支援も長期的視野に立たなければ

「ばらまき」

で終わってしまうのです。

そして「IT」も同じように使われます。
まるで「IT」という魔法の杖があるかのようにです。

ITには色んな意味がありますが、コンピュータを導入した
合理化、生産性を高める、国民の利便性をあげる為に用いると
狭義の定義をしたとします。

パスポートの電子申請。
e−tax。
国民総背番号制・・・もとい、住民基本台帳ネットワーク。

はてさて、私達にどんなメリットをもたらし、どれだけの

「経費削減」

「生産性の向上」

をもたらしたでしょうか?

儲かった人達もいます。
これら「e−Japan構想」に係わる

「ハードとソフトの注文を受けた大企業」

です。
いずれ掘り下げる予定ですが、行政のいうITとは

「形を変えたハコモノ行政」

が殆どなのです。

全ての小学校にホームページを持つように命じます。
パソコンを充実させ、必要なパッケージソフトの購入を
認め、レンタルサーバを契約させます。

そして・・・作る人がいないのです。

公立学校の先生で

「バリバリパソコンマスター(使い方の達人)」

はあまり多くありません。
その状況で「機械」だけ増やしても意味がないのです。

私の知っている範囲ですが

「一太郎派の先生とワード派の先生のデータ共有ができていない」

と、民間企業ならあり得ない断絶がおこっています。

これを先生のせいにするのは残酷です。
上意下達構造に「あの組合」も絡み、忙しさを理由にできる
環境があり、さらに生徒とのやり取りの基本が「手書き」ですか
ら火急に迫られる必要性を感じないのです。

どこから手をつけて良いのか分からないぐらい複雑に絡み合った
問題は「放置」しておいて、パソコン増設にパッケージソフトの
購入という

「金で済む問題」

ばかりが先行していき、無駄遣いが横行します。

そんな現実を見ているなか、宮崎県知事の

「雇用創出=IT」

というところに痛さを感じたのです。

メディアもITに弱いことから指摘する人が少ないのです。
だって下請け丸投げ構造はこの分野でも遺憾なく発揮されてい
るのでメディア界に詳しい人が少ないのです。

ところがいまこそ

「ITで町おこし」

ができそうな地方団体が一つあります。
それが

「夕張市」

です。
もちろん可能性ですが、下地が全くない他の地域に比べて有利
ではないかと見ています。

バブル期のソフトハウスは中小企業まで「札幌」に注目しました。

北の大地は冬には雪で閉ざされてしまいますが、ソフトハウスの
生産性に影響することは殆どありません。

NTTがISDNの布教活動に躍起となっていたこともあり、

「ソフト開発は札幌で、できたソフトは「電送」で納品」

という流れからブームとなり、相次いで「札幌支社」を開設したの
です。

今から20年近く前の話しです。
当時から北海道経済の芳しい話しは聞きませんでしたが。

また「札幌」は生活に不便がなく、家賃も抑えられるということから
こぞって

「札幌進出」

したのでした。
専門学校も雨後の竹の子のように林立したと聞きます。

私の最初の就職先は「同期入社8人中3人が札幌出身」でした。
東京都港区浜松町2丁目の中小企業にです。

札幌の若者の「東京進出」と、人手不足の首都圏の中小企業の
思惑が一致したといってもよいでしょう。

今度は若者を「引っ張る」ことを考えるのです。

札幌と夕張市が「近い」というと強引すぎるのですが、ITの
下地が近くにある点は宮崎よりも有利なのです。

そして「夕張ファンタスティック映画祭」というイベントもあ
ります。

それなりに世界の目が集まる映画祭を「ITで支援」する事業
や、「映像処理ラボ」を用意して

「ギリギリまで編集できるIT施設をもつ映画祭」

または、

「インスピレーションを反映して毎日映像がかわる映画祭」

というのもデジタル編集の世界なら不可能ではありません。
これもITです。

とどめは良くも悪くも

「施設がたくさんある」

のです。
この市民の数でこれだけ揃えれば「赤字にもなるわ」といいたく
なるほど施設が揃っています。

廃棄したり閉鎖するぐらいなら、短期の定置借地権のような
制度を導入して、企業に貸し出すこともありでしょう。

IT開発で一攫千金を目指している若者に「生活援助」をする
ことにより、

「金はないけど優秀な頭脳をもっている小僧」

を集めても効果的です。「生活援助」といっても衣食住のうち
食と住の提供ですから、既存の施設と「飯代」だけですから
微々たるものです。

冬の雪は大変ですが、

「光ファイバー」

さえあれば問題ありません。

「IT系の優秀な小僧は積極的に引きこもる」

のですから、除雪車も最低限でさらに余計な誘惑もなく、
金の使い道もないので、研究に没頭できます。

そして優秀な小僧を「誘致」できれば、あとは連鎖反応をまつ
ばかりです。
高額な家賃と高い生活費が求められる

「六本木ヒルズ」

に気軽に入ることができなくても、

「夕張市営ヒルズ(飯付き)」

なら航空チケットと電車代だけです。

今や世界的大企業と成り上がった「グーグル」が二人のサイエ
ンティストによって作られたように、

「IT産業発展の神髄は人材の発掘」

なのです。

同じITという括りでも、「ものづくりJAPAN」とは対極
的な位置にあります。

今の「ものづくり」は効率と規模の追求で、これではプレイヤーは

「もうすでに大きいところが更に大きくなるのを目指す」

ことしかできません。

・・・が、「行政」はなかなかこれを理解できません。

だって小さい個人は利権を生み出しにくいですし、

「誰が保証するんだ」

という実績、経歴主義者ばかりですから。

札幌出身の同僚と浜松町の「秋田屋」で飲んでいたときのことです。

「○○さんはどうしてこっちにでてきたの?」

「一度ぐらいは育ったところをでたいじゃん?
それでダメなら戻ればいいっしょ」

生まれは大阪、一時期高知県、しかし、実質東京(足立区)以外に
帰る場所のない私にとってはこの「保険」がうらやましく見えたものです。

だから、東京出身で親のすねをかじっているエンジニアに

「一度、北の零年試してみない? ダメなら東京に帰ればいいじゃん」

どうでしょう?
夕張市をビットバレーに。荒唐無稽ではないと思うのですが。

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