労働基準法が失業を促進する

 最近「兼業作家」を名乗っているのですが、実は作家だけで
食べていける人はほんの一握りで、多くの場合「兼業」なのだそう
です。

そして兼業の方でも「作家活動」を続けられる人もあまり多くな
いのだそうで、これは本業のお客さんの中にいる「編集者の息子」
から訊いたのですが、過去に一冊だけでだして「作家」を名乗る
ツワモノもいるそうです。

ださないのではなくだせない。

これが一冊だけの理由です。
有り体にいえば「売れなかった」という話し。

どれだけ文章が上手くても、切り口が斬新でも売れなければ「次」
がないのが商業出版なのです。

・・・と、普通に商売していればまったくもって当たり前の話し。

売れなければ「次」がないのがビジネスの世界です。

ところが最近、平等公平思想の蔓延が原因と見ているのですが、

「弱者救済」

が全てにまさる金科玉条のように語られます。
大前提として「本当の弱者」は助けてあげる必要がありますし、
もてるものは持たざるものを救う責務を負っていると考えます。

しかし・・・これが「弱者に留まる弱者」を助けるのはいかがで
しょうか?

安倍っちが首相になり、「金融・再チャレンジ大臣」が誕生しま
した。

どう思います? 再チャレンジ。

フリーターやパートさんといった「非正規雇用社員」から、ニート
まで含めているようですが敢えて言いたい。

「『再』というけどチャレンジした人はどれくらいいるのか?」

何社も就職試験を受けても正社員に採用されずに、やむにやまれ
ずにフリーターになり、今も必至で正社員への道を模索している人
なのでしょうか?

それとも「大人になりたくない」という理由で、フリーターを
選んでいる連中まで政府は助けなければいけないのでしょうか。
大人=社会的責任を負うという意味です。

吹かし具合が絶好調になりバッシングされる日も近いと見ている
東洋大学経済学部社会経済システム学科教授「白石真澄」さんは
昨日もラジオ放送で

「政治家のオフレココメント」

を知っているような物言いで語っておりました。
中田ヒデの引退を「知っていた」といいきる情報網も持っている
のでしょうから当然ですね。

彼女はワークシェアリングまで含めて非正規雇用社員を減らそう
といいます。

ワークシェアリングを一番簡単にできるのは「テレビ評論家」です。

「先ず隗より始めよ」

昨夜、安倍っちもいっていたように。

私は「フリーターあがり」です。まったく自慢になりませんが。

18で父が他界してから一人暮らしをしていますので、否が応で
も自活をしなければ食べていけませんでした。

21までいわゆる「社会人」をしていましたが、その後、

「ロックで飯を食う」

などと・・・まぁ書いただけで赤面するぐらいのお馬鹿な小僧は
定食を・・・もとい、定職をもたないその日暮しに突入しました。

ライブハウスに入り浸り、朝まで酒を飲みタバコを吹かし。

そして働きました。

母親は今でも健在ですが、離婚していた苗字の違う母の所に甘え
るのは私の自尊心を傷つける行為でしたので頼れません。
と、思いこんでいたのもバカさと若さです。

だから働きました。

そしてオモシロことにどこの職場でも一所懸命働いたところでは

「社員になれ」

といわれるのです。
パチンコ屋でも引っ越し屋でもクロネコヤマトの宅急便でも。

再チャレンジと支援されなくても

「働く人間なら社員として確保したい」

ものです。この働くは勤務時間にただ存在しているだけではなく、
会社が支給する給与以上の労働を提供してくれるということです。

自慢している訳じゃないですよ。
半年間だけいた「ゲームソフト会社」では、首になったことも
ありますから。
そこでは「一所懸命」とは正反対の勤務姿勢でした。
今振り返るとよく半年間も給料をくれたものだと感謝するぐらい
です。

独立して今に至るのもこのフリーター時代に得た教訓からで、

「どうすれば自分の存在が会社に利益をもたらすか」

を考えていたからで、今は「会社」を「お客さん」に置き換えて
おります。

はてさて、「再チャレンジ」。

本当に就職先がないのでしょうか?
それとも

「理想の条件にある就職先」

がないのでしょうか?

白石真澄教授ご提言の「ワークシェアリング」も疑問です。

民間企業の立場から行って

「時間単位生産性の低い社員」

なんていらないのです。
それでは能力のない人は・・・と「平等」と「弱者救済」を何でも
チャンプルーする傾向がありますが、人を使った経験のある方なら
頷いていただけることでしょう。

「ダメな奴はダメ」

だということを。
橘玲さんの「不道徳教育」に詳しいのですが、

「労働基準法が失業を促進する」

は言い得て妙です。
要するに

「安い賃金で働くチャンスがなくなると、技能向上による所得増が
見込めない」

ということで、安い時給でも働いて技術を高め、経験を積めば、
同業の他店からの引き抜きで、より高い時給を提示される。
引き留めるためには他店より高い時給を提示する必要がでてきて、
最後は

「労働に見合った時給」

に落ち着くというのです。

もちろん、技術を高めず、経験も積まない場合は安い時給のままです。

非正規雇用社員、いわゆるアルバイトでも積める経験は沢山あります。
高める技術だってあります。

私が初めて飛び込み営業をするときに役立ったのは、クロネコヤ
マトの配送バイトで

「知らない人の家をノックした経験」

です。
引っ越し屋の技術はその後の人生でどれだけ役に立ったか分かり
ません。

どこでも学べるのです。再チャレンジ大臣がいようがいまいが。

そしてチャンスはみずからの手で掴むものです。

弱者救済は本当の弱者にだけ投入すべきなのですが。

生活保護にしても生活保護中にアルバイトや副収入があると、
その収入分を支給額から減額されるので、

「働かない方が得」

というベクトルがあることも貧困のスパイラルを生みだしています。

兎にも角にも「再チャレンジ担当大臣」って、なんかクイズ番組
みたいでいやですね。

アルバイトだって自分を売っているんです。
自分の時間と労働力を提供して対価を得ます。

この仕組みを正しく「教育」することが何よりも肝要ではないで
しょうか。

ちなみに

「売れない作家でも再チャレンジで出版できる世界」

になったら、出版社なんて簡単に潰れてしまいます。

それなら出版社も再チャレンジ? 無限ループに突入します。

不道徳教育~擁護できないものを擁護する~

あ、もう少し兼業作家を続けたいので、拙著を買っていただけれ
ば幸福のいったりきたりです。

Web2.0が殺すもの(宮脇睦著 最新作)

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