ガラケーをスマホに変えました。
正確に言えばこれが「デビュー」ではなく、スマホの端末も持っていますが、ライフスタイルからスマホは不便で、ガラケーを買い直してSIMカードを入れ替えて使っておりました。
不便の最たるものが「犬の散歩」。タッチパネルの誤動作はもちろん、いちいち画面を「操作」して開かなければならず、その隙にワンコが「用」を足したり、他のワンコに向かってダッシュしたりとするたびに、スマホ端末を落としたり、誤作動で早朝からお客さんに電話をかけてしまったりと踏んだり蹴ったり。
その点、二つ折りのガラケーは、必要なときだけプッシュボタンで「オープン」。カチカチと押し込むボタンの信頼度は高く、犬の散歩における利便性は圧勝でした。
なお、いま最新の「動画版」では、番組の途中に「今回のワンコ」というコーナーを差し挟んでおります。
外出時のネット操作はしない。というのもひとつのやり方。また、無線機能付き(いまどきみんなそうですが)のノートパソコンを持っていれば、セブンイレブンに代表される無料Wi-Fiのサービスを利用すれば基本的なやり取りぐらいは可能で、だから、いまでもスマホの必要性はありません。
それでもスマホに変えた理由は「キャリア」を変更したからです。
キャリアとはドコモやau、ソフトバンクといった回線会社を指します。
これまでは、ご多分に漏れず2年縛りの契約で、それを自動更新し続けてきたのですが、2年縛りにより割安になっているとはいえ、数万円から十万円近くもする、スマホ端末が実質無料になる「新規」や「のりかえ(MNP)」ほどのサービスはありません。
実際、今回の乗り換えでゲットしたスマホ端末の、見積における単価は約十万円(弱)。これを2年しばりの24ヶ月で割り算すると、月額4166円。端末が実質タダなら、毎月、これだけの値引きということで、ガラケーの契約のままでこれだけの値引きはありません。
しかも、2年しばりの自動更新、つまりは2年に1回訪れる「更新月」を逃して解約すれば「違約金」が発生します。
新規、解約新規、MNP(モバイルナンバーポータビリティ)のほうが、継続契約より得だということは知っていましたが、損得だけで動くのも、なんだかイヤだなぁと、変なところで意地を張っていたのですが、前回、2年前は特段の案内もなく更新されイラッとします。
今回は2ヶ月ほど前から案内が来ていましたが、料金プランを比較すると、どこをどうみても「MNP」のほうがお得。
ちなみに「新規」とは文字通りの新しい契約で、「解約新規」とは電話番号が変わっても、一旦契約を終了して「新規」として契約する方法で、MNPは新しい回線会社でも同じ電話番号を使えることで「移籍」といったところでしょうか。
更新は今月いっぱい。そこで先日、決断をしたわけですが、相変わらず携帯電話会社は、あえていいますが「クソ」な契約をやっていて、それを総務省も野放しにしています。
そもそも論で、ながく同じ端末を使い、同じ回線を利用する、いわゆる「常連」を蔑ろにし、もっといえば、文句もいわず使い続けるお客から集めた金で、新規客ばかりを大事にするキャリア。
新規客を集めるために、一定の便宜を図ることは、どんな商売でもありますが、常連客より新規客が優遇され続ければ、普通の商売なら客に見放されることでしょう。
しかし、これが可能であるのは、携帯電話会社が電波を使った許認可事業だからです。
完全に自由競争なら、新規ばかりを集める会社の対抗策として、長期間使ったユーザーを優遇する企業が現れ、選択は消費者に委ねられますが、回線会社は事実上、3社の寡占。
そして3社が同じ手口を用いているので、消費者にはわずかな料金差からの選択しか残されていません。
例えば「0円ケータイ」。いまなら「0円スマホ」でしょうが、この歴史は古く、四半世紀前ぐらいから存在した手口です。
利用料から回収するので端末はタダでばらまく。しかも販売店には回線会社からのインセンティブがあり、実際には利用者がいないのに契約だけして、基本料その他を販売店が肩代わりする「寝かせ」で台数を捌き、巨額のインセンティブを得たものです。
これが0円ケータイの正体のひとつです。
また、販売店と回線会社の関係も様々で、回線会社と直接取引する一次店から二次、三次とあり、それぞれは回線契約を巡る商売敵で、かつてはその回線会社の地域会社同士でも販売を競っていました。
だから契約数を伸ばすためのインセンティブで、実質0円にすることもありました。
繰り返しになりますが、この原資は既存契約者の利用料です。
総務省はたびたび改善命令をだしてきましたが糠に釘。水心があれば魚心で、抜け穴を探しては、それを拡大させて、事実上、なし崩しにするということが、日本のこの四半世紀の「ケータイ史」です。
と、ここまで断じることができるのは、そこに私も携わったことがあるからです。広告を通じて、お先棒を担いでいました。彼らに反省はありません。
いまは縁も遠くなりましたある社長がこういっていました。
「みんなが同時に止めるってならない限り無理。総務省の命令をそのまま鵜呑みにしたら会社がつぶれる」
この言葉に嘘はないでしょう。なぜなら総務省が「0円ケータイ」の禁止を通達しても、取り締まりは当初だけで、何社かのスケープゴートがあげられて、しばらくもすれば元通りです。
スマホの普及期にも同じく「0円スマホ」が登場し、やはり総務省は是正を求めましたが、今回、私は実質「0円」です。
みんながやっているから。
これがイヤでガラケーを使い続けていた、という面もあります。しかし、従来の回線を使い続けても、その「みんな」を助け、キャリアを喜ばせるだけ。
そこでの苦渋の選択が半分。もうひとつは別の理由がありますが、契約の過程を通じて、心底呆れたのはこちら。
「2年しばりの有名無実」
契約とは約束です。だから理不尽と思っても2年の間は我慢と思っていましたが、いま、MNPなどで「移籍」した場合、色んな手口で「違約金の保証」をしているのです。そしてこれは今までずっとそうで、コレからも変わらないと販売店の店員は断言します。
つまり、回線会社との約束を守れば守るだけアホ。信義や仁義が日本社会から失われていく理由をみつけるかの思いがします。
新規やMNPの場合、最初の1年、または2年を過ぎると、月々の利用料が上がるプランが大半です。
今回、このタイミングでの決断には、いまから2年後の東京五輪の年には、次の世代の通信規格「5G」が実用化に入っていると考えられ、その時、いまの料金プランは陳腐化している可能性が高いこともあります。
すると向こう4年はいまと同じように、
「使い続けると損をする」
仕組みが継続されます。
総務省はこの0円ケータイの是正に本気でないのは、この四半世紀の結論であり、ましてや「5Gの普及」のために、歪んだ商習慣を見逃すことも、これまでと同じ道のりです。
さらに防衛省などが利用していた電波を携帯事業者に割り当てることとし、ここに「楽天」が名乗りを上げました。
かつて競争促進のために「イーアクセス」に新規割り当てた電波は、企業買収でソフトバンクに持って行かれ、赤っ恥をかいた総務省なので、今回は「楽天有利」とまではいかずとも、某かの手を打ってくるか、ある種の見逃しがあるかもしれません。
なによりさらに「新規」を囲い込むためだけの価格競争が始まります。
そこに「5G」の普及が絡むわけですから、従来のケータイ(スマホ)行政が継続されることでしょう。こうしたところに「アベノミクス」の綻びというか、「改革」がかけ声ばかりという、批判に正当性が与えられるのですが、野党はアレなので気づかずにいます。
そして回線会社を上得意客とするマスコミは批判などしません。
巨額の設備投資が必要な、回線会社を楽天が設置、運営できるかどうかには疑問があり、携帯参入を発表してからの楽天の株価は2割下落しております。
また、創業期から楽天を観察してきた者としては、楽天の技術力には首をかしげることばかりで、ショッピングサイトにしても、アマゾンの軽快性と比べるまでもないでしょう。
だから、不安しか見えてこないのですが、三木谷浩史氏の自慢げな顔と比較して、ややもすると悪意からの声援を投げてみたくもなります。
楽天がスマホ市場に参入する理由は、スマホが生活インフラになったから、と見る向きがあり、それは事実でしょう。
あそこの三木谷浩史氏が掲げる「楽天経済圏」とは、楽天市場を看板に、カード事業、保険などに広げ、実益的には金融インフラを背景にしております。
ここをより強固、もっといえば「客離れ」を防ぐのに、スマホというインフラの確保は至上命題ということです。
私はもっと穿った見方をしており、限られた「電波」を持っていれば、仮にその会社の経営が行き詰まっても、株式交換などにより「売れる」という目論見がある。先のイー・アクセスの事例にあるようにです。
いずれにせよ、お上の許認可を得て、公共財を利用する商売(回線会社)が、日本人的価値観における信義と仁義に外れたまま、それを誰も批判もしない。
そういうビジネスといってしまえば、それまでですが、新しい端末を手にした喜びよりも、この虚しさが消えません。
MNPを手続きするには「予約番号」を発行せねばならず、現時点での回線会社のサービスセンターに「電話」をかけます。
ここで「引き留め」が行われるわけですが、変える気まんまんの客を相手の虚しい仕事のためか、私の電話口に出たのは、言葉遣いは慇懃ながらも横柄な態度。
それは見逃すとして、電話の向こうではこちらの個人情報を見ながら、あの手この手で引き延ばし、あわよくば「もう結構!」と怒らせ、手続きを中断させる作戦かとも思っていたら、受話器の向こうから
「21年間ご利用いただきまして・・・」
といった相手の言葉が一瞬つまります。そしてこちらの怒りにスイッチが入ります。
詳細は割愛しますが21年間、文句もいわずに使い続けた利用者よりも、新規やMNPの方が優遇されている。総務省の通達が何度も繰り返されても現状が変わらない。
あえていうなら21年間、文句もいわずに通い続けたベテランのお客には何もサービスせず、取りすがりのものに毎月4000円をばらまいているということ。我ながらよく我慢したものです。
諦めは声にあらわれつつも、通話を記録されているためか相手も食い下がり「もう一度、考えて貰うことは」との言葉にこういいました。
「これまで我慢してきたんですよ。いつか変わるかと」
そして「予約番号」を伝えられ、キャリアを引っ越しました。
スマホに変えたもう半分の理由は妻の一言。
「柴わんこのスマホカバーが可愛い。ウチの犬でオリジナルを作りたい」
・・・主客転倒も甚だしいのですが、その馬鹿馬鹿しさに、21年間使い続けたキャリアから、ようやく離れる決断をしたのでした。
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