沖縄被害者論の不都合な事実

 近頃ネットでは「報道しない自由」という表現が多用されています。既存メディアは、自社の主張に都合の悪いことに触れないことを揶揄してのものです。

 昨日、6月23日は大東亜戦争における沖縄戦の終結と位置づけられており、沖縄県では休日扱いになっています。もちろん、それは慰霊のため。宗教観はそれぞれあっても、犠牲者を分け隔て無く悼むのは、欧米にも一部確認できますが、とりわけ日本人の美徳です。

 決して「政治活動のための休日」ではないはず。沖縄県民ではないのでわかりませんが。

 しかし、その沖縄県民が選んだ知事を見る限り、どうやらこの日は政治活動のためにあるようです。犠牲者を悼むより、現世の活動を優先する姿は、とても日本人とは思えませんが、それも県民性なのでしょう。私が知っている沖縄県人を見る限り、そんなことありませんが。

 沖縄全戦没者追悼式に参加した、安倍首相に怒声が飛びます。まるで韓国です。そして沖縄県のリーダーたる翁長雄志沖縄県知事も、「平和宣言」と題して基地問題、普天間基地の辺野古移設を批判します。

 70年前の琉球において、沢山の血が流され、多くの犠牲者が生まれたことを悼む気持に変わりはありません。

 そして1人の命は地球より重いという世迷い言的な視点に立つなら、犠牲者の人数の比較など無意味なことなれど、下世話な世界に生きる私はどうしても比較してしまいますし、歴史と正面から向き合うなら「対比」は、そのスケールを感じるのに必要な作業でありながら、なぜか沖縄に限っては「報道しない自由」が優先されます。

 翁長知事の「平和宣言」にこんな下りがありました。

「国土面積の0・6%にすぎない本県(沖縄県・筆者)」

 とても小さな島、という意味で、沖縄の基地反対論者が使う慣用句ですが、ちなみに東京都は

「国土面積の0・57%にすぎない首都」

 です。沖縄県は47都道府県中、4番目に小さいのですが、東京都は3番目に小さく、以下、大阪府、香川県と続きます。

 関東平野にある東京都と、島の集合体の沖縄県を単純比較は出来ませんが、土地面積だけなら大阪や東京より大きいことが報じられることはありません。

 また、これに先立つ、この一節

「20万人余りの尊い命が犠牲となり」

 も、まるで沖縄県民だけの悲劇のようですが、事実は異なります。

 まず、この20万人には「ヤンキーゴーホーム」とばかりに、いま追い出しにかかっている米軍の犠牲者1万4千人も含まれています。

 この点からも「20万人の慰霊」の場において、政治活動することの違和感を見つけるのですが、さらに大日本帝国軍人の犠牲者のうち、沖縄県外からが6万5千人で、県内出身者が2万8千人。

 俗に「沖縄は見捨てられた」という人がいますが、県外からやってきて散華した帝国軍人は、こうした物言いに何を思うか、と訊ねることができたなら、沖縄を守れなかったことに、すまなかったと頭(こうべ)を垂れるのかもしれません。

 ちなみに「戦艦大和」は、沖縄防衛のために出陣しました。それも戦艦としてではなく「砲台」になるためです。まさに捨て石になるための不帰の旅でした。

 民間人の犠牲者は差し引き9万4千人。痛ましい限りですが、70年前の3月10日の東京大空襲では、たった一夜で、深夜0時からのわずか2時間半の爆撃で、8万4千人が犠牲となり、いまでいう東京23区の3割が焼失しました。殺戮や虐殺の言葉でも追いつかない鬼畜の所業です。

 そしてあまりにも凄惨なため、この日ばかりが語られますが、東京への空襲は以前も以後も続き、その数だけ死者は上積みされます。

 また、百人単位、千人規模なら日本全国で犠牲がでており、なにより広島に落とされた原爆による犠牲者は9〜12万人で、長崎でも7万人の命が奪われました。この犠牲者の大半は文字通り「一瞬」のできごと。

 もちろん、犠牲者の数を競って、悲しみを測るものではありません。しかし、「沖縄だけ」という主張を鵜呑みにする報道は、まるで中国や韓国のそれと同じです。

 彼らに感じた違和感を、沖縄報道で見つけたとき、嫌韓、嫌中と同じ感情が芽生えはしないか。すでに一部においてそれは現れ、沖縄県民を一括りにしませんが、しかし、イラッとする気持を昨日だけは慰霊のためと封印したことを告白します。

 冒頭に述べたように「報道しない自由」をマスコミは行使しています。

 ネットを介して聞こえてくる沖縄県民の声に、辺野古容認もあれば、妥協の産物としての受け入れ論もあり、なかには産業として歓迎する声もあり、決して一枚岩ではないどころか、過激な反対活動に「困ったねぇ」と眉根を寄せていると人は、報道されませんが決して少数派ではありません。

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