こういうところが保守の美点であり、限界でもあります。
総力特集は各有識者に「戦後70年、私はこう考える」というお題での寄稿で、稲田朋美、西村眞悟、高山正之などなどは、当然とも言えるラインナップながらも、最後に佐野眞一氏を配置するなど、
「相手の言い分も聞こう」
という姿勢=矜持です。
これは今月の記事にある
“朝日、赤旗、反対派がグウの音も出ない!
「安保法制」一問一答35”
のなかで、田村重信氏の指摘が、反面教師的に的を射ているので引用します。
「サンデーモーニングには、安保法制に賛成の立場の人は一切、出演しません。」
つまり、TBSの日曜朝に放送される「サンデーモーニング」は、極左的プロパガンダ番組ですが、ここに出演する人物は、彼らの主張に従うかおもねるか、洗脳されるか同意している人物ばかりで、番組内に「多様な見解」は存在しません。それが左翼の手口でもあります。
一方の保守になると・・・ま、日本人らしさですね。
オススメはアナウンサー 鈴木史朗さんの「体験談」。南京大虐殺があったとされた日から4〜5年後の南京で、中国人に可愛がられた体験。また、御尊父が汗水垂らして手に入れた、家屋敷に財産の数々を敗戦と共に中国に「没収」された体験などなど。
また、舞の海秀平氏の「日本よ“厄介な小兵力士”になれ」は、保守の初心者にはもっとも理解が早いテキストになることでしょう。
著者インタビューになるので、書評のダイジェストのような記事ですが、池田信夫氏自身による「戦後リベラルの終焉」の解説は、香山リカ氏に読んで頂きたい珠玉の「下劣」さです(笑)。
そして、これは毎号に通じることですが、その気になれば一気に通読できるものを、できれば一日数編ずつ、2週間ぐらいかけて読むことをオススメします。
と、いうのも朝日新聞を読まずとも、テレビ朝日やTBS、そしてなによりNHKのニュースや報道に接していることで、いやいまやフジテレビも日テレも同じくで、左翼・リベラルが日本メディアの「本流」になっているからです。
「テレビ離れ」の背景のひとつと見ていますが、特段の思想的背景はなくとも、官僚化した大組織は自己否定が出来ず、戦後に刷り込まれた思想統制がいまも生きているのです。
この「デトックス」にWiLLというわけです。
特に今回は保守派の論客・・・前述の通り、だけではなく、御尊父はともかく本人からリベラル臭の漂う阿川佐和子女史も寄稿していますが・・・短編が多く、いわば「小分け読み」に最適な構成となっています。是非、お試しを。
今号で「泣いた」のは津川雅彦氏の「人生は遊んでナンボ」。
彼の放蕩録ですが、有名なお嬢さんの誘拐事件の舞台裏、津川氏はお嬢さんの死を覚悟し、自宅に詰めていた警官にこう伝えます。
「(娘の)真由子の命が助かる確率が非常に低いのを覚悟してます。せめて同じような事件が二度と起きない為に、何が何でも犯人だけは最優先で捕まえてください。これが父親としての僕の覚悟です」
この言葉は警視総監にも伝えられ、全国の警察官へと拡がり、結果的に誘拐事件の完全解決の最短記録となります。
私が泣いたのは事件の最中、大先輩の辰巳柳太郎との約束を反故にすることになり、電話で罵られても釈明も出来ず、解決により事件が発覚し、津川邸に駆けつけた辰巳は、玄関の土間で
「雅彦! この通りだ、勘弁しろ!」
と土下座していたというシーンです。
そして対比するように下衆な話しも忘れないのが、津川雅彦氏の芸といってもよいでしょう。
「役者は娘の誕生までも、マスコミに写真を撮らせ、自己宣伝に利用する。破廉恥なタレントの子は誘拐されて当然! 全ての親の義務を忘れたゲスな役者達の責任」
と酷評したのは「東京新聞」。
ほ、ほう。芸が無く、話題がないので家族ネタを切り売りする昨今のタレントに聞かせてあげたい話しです。
■月刊WiLL 2015年7月号「戦後70年、私はこう考える」
http://www.as-mode.com/check.cgi?Code=B00ULU2RV4