スコットランドの独立騒動は民主党病

 スコットランドの独立騒動とは民主党による政権交代である。

 もちろん、日本の民主党。民族の悲願を、チープな政治ごっこに過ぎなかった民主党ごときと重ねる非礼を最初に詫びておきます。

 しかし、理想だけをみて現実をなおざりにする構図は全く同じで、ただしスコットランド国民は懸命な選択をくだしました。

 踏みとどまらせるためにスコットランドに大幅譲歩したことが、大英帝国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)としての舵取りを難しくしましたが、それはキャメロン首相を生み出した、英国民が等しく分かち合う苦悩でしょう。

 そしてなにより、まるでAKB48における前田敦子嬢バリの

「私のことは嫌いでも、大英帝国のことは嫌いにならないでくださいっっ!!」

 の演説は失笑で彩られ、永年語り継がれることでしょう。

 そもそも論で言えば、キャメロン首相が住民投票を認めなければ、仮に同様の投票が行われても「参考程度」に過ぎなかったからです。

 無能なリーダーを抱いた苦しみの記憶は生々しく、大英帝国の皆さんに同情を禁じ得ないのですが、スコットランドの主張は民主党においての「ガソリン値下げ隊」のようでした。

 有名どころを挙げると

・独立しても国家元首はエリザベス陛下。でも、近日住民投票でこれも変えるかもしれないけどね。

・大英帝国を離れても、その通貨「ポンド」は使うよん。

・北海油田の財力をもとに、北欧レベルの高福祉国家へ。

・脱原発だから原子力潜水艦には敷地内からでていってもらうね。

 などなど。

 その甘い見通しに、良識を持つ日本人なら、かつての悪夢を重ねたことでしょう。

 連合王国から離脱し、立憲君主制を求めるなら、別の王を戴くのが筋ですが、民主党にそんな筋道論が通じないことを、僕たちは経験しています。

 また、教科書に載っているレベルの歴史観ですが、王による同君連合から歩み始め、それをやめるなら、別の王を立てるべきですが、以下同文。

 通貨は国家です。そして重要インフラです。大英帝国を離れてもポンドを使いたいという主張に、他国民ながら突っ込みをいれるならこう。

「子供かっ!(タカアンドトシ、欧米っか風)」

 ひとり暮らしはしたいけど、家事掃除は母親に頼る子供のようです。

 国を建てるとは、すべての責任を背負うという覚悟がありません。また、「ビットコイン」を通貨にするほどの冒険心もなく、大英帝国のメリットを享受したまま、独立を望むのは虫が良すぎます。

 スコットランドには北海油田の「あがり」を不当に搾取されているという不満もあるようですが、北海油田の産油能力には限界が訪れつつあるというのは、誰もが認めるところで、いずれにせよ、資源はいずれ枯渇します。民主党による政権交代前の「埋蔵金」と同じ発想です。

 金融街「シティ」をもち、海上保険をビジネスとして確立させた大英帝国の一員だけあり、スコットランドの首都、エジンバラに本店を置く「ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド」は、スコットランドが独立した暁には、本店所在地を「イングランド」に移転すると発表するなど、ビジネス界では「スコットランド離脱」の動きがみられました。

 当然と言えば当然です。国家として未知数、というより混乱があきらかなスコットランドに残るのはデメリットばかりだからです。

 ポンドが使えなくなれば、スコットランド独自の通貨が必要となり、その信頼性はほぼゼロに等しく、対してダメージを受けるとは言え、大英帝国の傘の下にいれば、対外取引は「今まで通り」に行えます。

 こうしたキャピタルフライトならぬ、カンパニーフライトがおこれば、税収は落ち込み、失業者は溢れ、高福祉の実現など夢のまた夢どころか、悪夢が訪れることは自明です。

 ちなみに昨今「エディンバラ」と表記しますが、「現地語の日本語表記」って、どこまでやるつもりでしょうか。五十音では表現できない言葉が多く、しかも国内のみでしか通じない日本語表現における現地化って、「徒労」にしか見えないのですが。本稿において、両者の使い分けは「気分」です。あしからず。

 とどめが脱原発。スコットランドは「非核」を求めており、すると原子力潜水艦の母港である、イギリス海軍・クライド海軍基地をスコットランド国内に置いておくわけにはいかないからでていけ・・・と、これにノーを掲げたのは、基地で働くスコットランド人です。

 仕事がなくなるわけですから当然です。

 原子力潜水艦があるから悪い。そうではありません。そんなことを言っていると民主党の国会議員になってしまいますよ。

 四方を海に囲まれた英国(日本語の便宜上、決して大英帝国とパンチするのが面倒になった訳ではありません)にとって、原子力潜水艦がもつ抑止力は計り知れません。

 機密から詳細は明らかにされていませんが、原子力潜水艦は一度潜れば数ヶ月はそのままでいられ、航続距離は理論上無限に等しく地球を何周も回りながらの、隠密行動が可能となります。スパイ衛星でも海中深くの探索はできません。

 地球の裏側へ隠密理に移動することができるということは、いつでも攻撃することができるということです。

 島国を攻撃するにあたり、かつてのノルマンディー上陸作戦のように、いまなら海兵隊を使って、とはやりません。空爆やミサイル攻撃で充分です。

 国境線が陸で接している場合、互いの「地上部隊」が必ず接触するので、どちらも無傷でいるわけにいきませんが、ミサイル攻撃なら一方的に殲滅できます。

 四方が海に囲まれているということは、360度の防衛戦を求められ、これは現実的には「不可能」です。

 そこで補うための原子力潜水艦であり、そこに積んであるミサイル。というのが国防のリアリズム。

「いつでもやるよ。やったらやるよ」

 という抑止力で、我が日本国においても同じことが言えますが、我が国ははっきりいって「無防備」です。

 さまざまな課題をリアリズムという視点でみれば、現時点においての独立は不可能で、日本人が民主党を選んだことと比較して、スコットランド人は賢明な選択をしました。

 また、これはキャメロン首相も語っていましたが、大英帝国内にいながら、権利の拡大は可能であるのが民主主義国家であり、二者択一の「独立か残留か」ではなく、「条件闘争」で勝利したのがスコットランドです。

 「革命」や「維新」に酔いしれる連中は、いつも二者択一を迫りますが、それは短絡思考、幼稚、あるいはバカといいます。

 夢に溺れ、理想に酔い、現実を壊していく政治的病(やまい)を仮に「民主党病」と名付けます。

 残念ながら世界中に伝播しており、伝染力はエボラを越え、代々木公園におけるデング熱を彷彿とさせます。

 最たるものがスペインのカタルーニャ。歴史的にも経済的にもその悲願に同意したくもなります。

 スペイン国内有数の経済力を持ち、言語をはじめ民族の独自性も持ちます。そしてスコットランドと同じく、住民投票で賛否を測ろうとしていますが、幸いにしてスペインにキャメロンはいません。

 仮に独立が可決されても、スペインの憲法に抵触するとはねつけると見られています。

 そしてスペインはEU加盟国ですが、独立により「カタルーニャ」という国が生まれて、すんなりとEUに加盟できるかは不透明。むしろ独立を歓迎しないというニュアンスのコメントが、EU側から出されています。

 するとカタルーニャでも、通貨というインフラの問題が生まれます。

 スコットランドとの違いは、豊かな経済力と、周囲は基本的価値観を共有するEU諸国(主にスペインですが)に接しているということ。例えばフランスが、イタリアが、あるいはスペインが、軍を派遣して侵略することは考えにくいでしょう。

 そこから国防は一時的に棚上げできます。豊かな経済力を背景にして繁栄を極める可能性も否定しきれません。そのときスペイン国の衰退は避けられません。

 すると職にあぶれたスペイン国民が、カタルーニャへ流入することでしょう。かつては同じ国です。新興国カタルーニャへ、流民が大量に流れ込みます。

 また「外交」は武力と切り離せず、また「歴史」とも親しいのですが、スペイン王室を背景とした外交力と同じものを、カタルーニャが一朝一夕に築けるものではありません。

 即物的な面で見たとき、スコットランドよりやや実現性が高いとは言え、総合的に見ればやはり「民主党病」なのです。

 その他にもイタリアのシチリア島、ドイツのバイエルン、米国でもハワイ州などに、その声を見つけ、実現はともかく騒動レベルでは、今後より拡大していくことだけは間違いありません。

 つまり「民主党病」のパンデミックです。

 パンデミックを断言するのは、インターネットの普及がそこにあるからです。

 中東を混迷にたたき落とした「アラブの春」の主役は、アルジャジーラに代表される衛星放送で、果たした役割は「情報伝達」です。

 FacebookやTwitterなどのSNSは、衛星放送が舗装した道路の上に、高速道路を整備した首都高速のようなイメージです。

 そして個人が世界と繋がります。インターネットによる情報収集の特徴は「蛸壺化」です。クリックという作業は、己の望む情報、好む話題に反応する性質を持ち、入手する情報に偏りが生まれ、偏りが過ぎれば先鋭化します。

 独立を叫ぶ、すなわち「革命」を叫ぶ連中は、革命の情報ばかりを選択し、現実から遠ざかります。

 これは「ネトウヨ」にも通じますし、なにより脱原発や、集団的自衛権に反対する「リベラル&左翼」をみれば明らかです。

 昨日、大阪で行われた在特会による民族排斥デモに対し、それに反対するグループが「カウンター」と称して、無許可で道路を占拠します。その警備に当たった大阪府警を「抑圧」とするツイートを拡散していたのは「有田芳生」参院議員(民主党)です。

 法治国家の国会議員が、治安維持活動を批判的に捉える・・・って、福島瑞穂もいまだに議員バッチをつけているのですから、一旦脇に置くとしても、有田芳生を観察していると、傾斜から先鋭化へと転がり落ちる様は、浅間山荘へのライブを見ているようで笑えません。

 さらにインターネット、とりわけSNSの罪は、バーチャルな連帯感により、自己顕示欲が増幅されるところにあります。先鋭化した価値観はより肯定され、現実はバーチャルに転落します。

 日本において民主党政権が誕生する=民主党病の発病の過程においてインターネットが果たした役割は見逃せません。時代的背景もあり、それだけが理由ではありませんが、インターネットを通じて、自由に発言できるようなり、

「にわか政治評論家」

 が量産されたからです。

 発言内容の大半は「ワイドショー」の焼き直しに過ぎないのですが、ワイドショーは「アンチ自民党」の巣窟です。テレビは局を問わず、左翼的志向が強く、実際に彼らが潜入していることもありますが、エリート特有の選民意識は、反権力と親和性が高いのです。

 そしてブログなどのインターネットは、ワイドショーが伝えるメッセージの増幅装置となります。

 小泉のバカ・・・もとい、小泉純一郎総理時代には「郵政選挙」「自民党をぶっ壊す」の扇動にのり、禅譲は既定路線だった第一次安倍政権になると、首相の人格から否定をはじめ、端的に言えば「イジメ」の末に辞任に追い込みます。

 そこから「民主党政権誕生」までは転がる石のように世論(せろん)が構築されていきました。

 これは人間の悲しい現実です。

 全ての人に等しく情報が行き渡ることは、健全な民主主義の発展のためにも、人権の面からも正しいというすることを否定はできません。

 だからといって、すべての人間が、入手した情報を正しく判断できるとは限らないのです。哲学論争的な「正しい」ではなく、適切な対応と状況判断と呼び変えても良いでしょう。

 その結果が、民主党政権による悪夢の3年です。

 告白するなら、かつて私も民主党に夢見た一人です。10年ほど前から、消去法的自民党支持者に転じましたが、それでも「お灸を据える」という上から目線で、政権交代をちらりとも望まなかったかといえば嘘になります。

 ところが政権交代が現実味を帯び始めたころから、民主党の暴走は顕著になりました。「ガソリン値下げ隊」も生まれます。民主党もまた先鋭化し、現実を見誤った・・・もともと見ていなかったという説もありますが・・・として、政権交代に反対する論陣をはりましたが、微力なる売文稼業にその力はなく、みなと等しく悪夢を得ました。

 スコットランドで、カタルーニャで、世界中でこれから起こる悪夢のテンプレートです。残念ながら世界は混乱を続けます。それがインターネットと共存することを選んだ人類に課せられた運命です。

 等しく情報に接する社会の実現とは、適切な判断能力のないものにも、情報が提供される社会ということです。

 仮にスコットランド人の賢明な判断に、わずかながらも我が日本における民主党の悪夢が影響したのなら、

「人類の共通の負の遺産」

 として、民主党政権の歴史的意味もあるのですが、多分、ないでしょうね。

 日本において気をつけなければならないのが

「琉球独立論」

 の台頭です。これもまた「民主党病」なのですが、病を悪化させるのが中国の存在です。

 ウィグルやチベットで行われている「民族浄化」を見るまでもなく、沖縄が中国の属国になった暁にまっている悲劇は、容易に想像できるのですが、「民主党病」がひとたび発症すれば、現実がバーチャルになります。

 痛みにより目覚め、気がついたときは「後の祭り」です。

 ちなみに「民主党病」は、曲がりなりにも「民主主義国家」でしか発病しません。言論が弾圧され、自由な思想が許されない国家体制では、夢見ることも許されないから。

 だから中国やロシア周辺における「独立問題」は別次元の話し。ウィグルやチベットなど、民族の「存亡」がかかっていますからね。また、ロシアにおいては、西側諸国の暴走も激しく、ロシアへの制裁が、及び腰なのは「心当たり」があるからです。

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