もともと競馬は、亡父がノミで買っており身近にありました。ノミの詳しい解説は省略します。
社会人となってはまったのは競馬・・・の育成ゲームでダビスタでもウイニングポストでもなく「クラシックロード」。会社のPC98に5インチフロッピーを突っ込んで楽しんでいました。
武豊、オグリキャップの活躍による競馬ブームのころと重なります。
その武豊。奥様は佐野量子、ファンでした。
コホン。ともかく最近すっかり名前を聞かなくなったので、寄る年波かと思っていたのですが、本書に依ればエージェント制度の弊害で、強い馬を廻して貰えなくなっているとのこと。
反対にそこそこの実力でも、有力エージェントと契約していれば勝つことができ、それも実力といわれれば仕方がないにしても、より実績の乏しい若手の騎乗機会が奪われ、競馬界を離れる若者が増えているのです。
かつて、わたしがパソコン内で競走馬を育てていた時代。騎手は厩舎に所属しており、そこで雑用をこなしながら、調教をつけ、認められれば機会が与えられるというものでした。義理人情も絡み、物語も生まれたのですが、いまや競馬専門誌の記者や、元記者によるエージェントを介さなければならず、そこでの義理人情はあるにせよ、弊害が大きく強くなっていると喝破します。
筆者も一流の騎手 藤田信二。語り下ろし調のざっくばらんな文体が軽快で爽快です。だからこそ、競馬業界の危機感がひしひしと伝わってきます。
一番面白かったのは本旨になく、福永祐一騎手を腕がないと断じつつ、若手を威嚇している姿の描写。ほんのわずかな箇所ですが、フジテレビの元社員 松尾翠が妻という点に、漂う人間性に笑ってしまいました。
粋で爽快な一冊。
そして武豊を見殺しにする競馬界には未来はないでしょうね。
■騎手の一分
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