1時間2000円ポッキリといっていた店が、飲み放題、さわり
放題で毎月10000円、しかも時間無制限となりました。つまり、
開店から閉店まで、どれだけ楽しみ尽くしても毎月10000円だけ
支払えば良いということです。
ただし、入会金として最初に6万円がかかります。
さて、あなたならどうしますか?
イメージはホストクラブでもキャバクラでも、メイド喫茶でも
執事カフェでもOK。あくまで仕組みの話しです。
この時点で「お好きな方は」といったところでしょう。
世の中にはキャバクラが死ぬほど好き、酒は飲めないが
おねえちゃんのいる店に通う人もいて、彼らにとっては、入会金を
はらったとしても、100回通えば、1回当たり600円に過ぎず
1万回ならわずか6円です。
また1時間2000円でも、10000円では5時間しかいられ
ず、その時間割で計算すれば、入会金などすぐに回収できます。
この地域の飲食店は、すべてチェーン店となっており、辿ると
4つに集約されます。そのすべての系列が、今後、入会金6万円の
プランに切り替える方針を明言し始めました。
しかも、毎月1万円で飲み放題、さわり放題の定額制だった
料金プランが、店内の混雑を理由に、一定回数以上の利用者の
入場を制限すると発表したのです。さらに、それでも利用したい
人には、来店時間に応じた「追加料金」を徴収するといいます。
同業者が同じ方針に切り替えることは「談合」の疑いが高く、
当初の約束を反故にする契約は「詐欺」と呼ばれても仕方がない
ものです。
なんの話し方と言えば「ケータイ」です。
1時間のポッキリプランは、従来の「○○割り」「ホーダイ」
といった定額制で、毎月1万円は「スマホ定額(プラン)」、
そして入会金はスマホの端末代です。
現在、スマホは一部(とは、キャリア発表)の利用者について
回線の混雑を理由に通信制限をかけております。動画や音声デー
タを大量にやり取りされると、回線が塞がってしまうからです。
酷く単純な話しで、6口の電源タップを占有する人がいれば
他の人は利用できなくなるのと同じです。あるいは、水道の
蛇口からコップで小分けにすれば、順次多数の喉を潤すことが
できますが、蛇口に口をつけて飲まれれば、幾人も渇きに苦し
むようなものです。
スマホはパソコンです。通信機能を内蔵したパソコンです。
通信回線も大量のデータの送受信が可能になりました。
そして街角で「パソコン並み」のデータがやり取りされ、
「渋滞」
を起こすようになり、いま検討されているのが「追加料金」、
いわゆる「従量課金」で、一定数以上の通信量の越えた分を
「徴収」するというのです。
もちろん、使った分だけ支払うという受益者負担は当然です。
一部のヘビーユーザーによる占有が、他の利用者の通信速度
下げている現状から、「ペナルティ」的な課金として歓迎する
声もあります。
しかし、まってください。そもそも悪いのはキャリア(ケー
タイ電話の回線会社)です。
先ほどのキャバクラの例から、通信速度の低下や制限を
店内での飲み物の制限と置き換えます。すると、こういうこと
になります。
「充分な飲み物を用意せずに飲み放題にした詐欺的手法」
昔の屋形船の飲み放題プランでは、なんどか目にした光景で
す。
また、多数の利用者による「入場制限」についても同じです。
キャバクラ側は入会金をとることで「利用者数」を把握して
います。つまり、利用者の最大数はあらかじめ予想できたこと
で、キャパシティー(収容可能人数)を越えてメンバーを集め
たとすれば
「ゴルフの会員権詐欺」
と同じです。
スマホで行われている「犯罪的行為」です。
スマホがこれだけ普及するとは思わなかった・・・とは嘘。
日本のキャリアは端末の台数を管理下に置いています。特に
国内メーカーの端末は、いまだにキャリアの地域会社によるy
仕切りで調整されており、今年の上半期に、何万台、何十万台、
いや百万台が出荷されることは「想定の範囲内」どころか、
想定した数を市場に送り込んでいるのです。
そして売り出す際にはこう勧誘します。
「スマホは通信量が増えますので、スマホ専用の定額プランを
オススメします」
事実、「普通」に使えば、あっと言う間に定額プランの下限を
突破しますし、iPhoneでは一度も使わずに下限に達したとして
社会問題になりつつあります。
スマホの定額プランは、従来の定額プランより高めに設定さ
れており、auのケースで言えば、2000円が6000円と
跳ね上がります(金額は2011年9月21日でざっくりとまるめこみ)。
こうして、実質値上げされた通信料金を支払いながら、通信
制限がかけられているのです。
こんな反論もあるでしょう。通信量の増大は想定外だった。
ならば「想定したモデルケース」を明示した上で、見込みが
甘かったと陳謝し、料金値上げを利用者にお願いするのが筋です。
最多利用者層からの推計値を割り出し、その最大値が、既存の
設備が堪えられる通信量(が、手元になければ論外ですが)と、
今後、増やしていく設備により賄える通信量の和から「引き算」
をすればでる結論です。
まして、昨年来都心で常識と化している
「つながらないソフトバンク」
という「事実」があったにも関わらず、キャリアはスマホを
売りさばいていたのです。最初にはじめたソフトバンクにも
想定外とは言わせないのは、先ほどの「引き算」は、インフラ
事業者には当たり前のことだからです。
私がスマホをやめた理由のひとつです。馬鹿馬鹿しい。
ケータイが国民に行き渡り純増数が頭打ちし、急成長が望めず
割引と定額制の消耗戦から疲弊したキャリアにとって、スマホ
がらみの「値上げ」は、千載一遇のチャンスで、さらに利用者が
伸びている(と、いうかガラケーの出荷数が減っているので
相対的にシフト)いまこそ、「従量制」というさらに利益を
上積みできる仕組みを導入しようとしている・・・というのが
私の見たて。だから馬鹿馬鹿しいと。
端的に述べれば「利用者不在」。
そしてこれを許しているのは「電波村」。所管官庁は総務省。
テレビなどのいわゆる「大メディア」の所管官庁でもあります。
またキャリアはメディアの大スポンサー。ついでにいえば
Web業界にとっても大切なお客様。
スマホで積極的に「原発村はイカン」とつぶやくことが、
結果的に「電波村」に協力しているという構図。積極的なスマホ
利用により、こうしたいい加減な料金設定や値上げを容認する
素地となるということ。そして、官僚様がニタニタと。
それはケータイ業界だけではなく、端末メーカーやテレビ局など
みなつながる円環だからこそ、マスコミでは言えないこと。