ツイッターの功罪について深く考えるようになりました。
もともと暇つぶしツールで、セレブの追っかけに過ぎないネット
サービスを、どう使うかは人それぞれで、良いも悪いもない・・・
という考えにかわりはないのですが、タレントが自分の考えを垂れ
流しにすることの「罪」について考えてしまいます。
・・・実名を上げようかと思いましたが、本旨とは無関係ですの
でやめておきますが、関東AMラジオ界で間違いなく5本の指に
はいるパーソナリティーで、かつて深夜放送で若者に絶大な支持を
受けたタレントは、いま共演する自称ジャーナリスト「上杉隆」氏
の影響から、「脱原発」へのツイートを繰り返しています。
折伏のために原発推進派の一挙手一投足を否定するに至っては
新興宗教のそれです。
自称ジャーナリストとは上杉氏本人の自己申告なのでそのまま
採用していますが、「ものかき」というのは私も含めて、自分の
なかにフィルターをもっており、情報を取捨選択し、時に結合し
発信します。
このとき「バイアス」をかければシナリオはいくらでも作れ
「原子力は危険だ」
という主張と
「原子力は安全だ」
という神話はカードの表と裏のどちらをみるかに過ぎません。
ところが一般的なタレントさんは違います。取材や情報収集から
核心に迫るという経験が乏しく、取材や情報収集した人から仕入れ
る2次、3次情報を判断基準とします。
その情報源が「アンチマスコミ」で「脱原発」だとすると、情報
の入口がマスコミから自称ジャーナリストにすげ変わっただけだと
いう事実に気がつかないまま、洗脳され、そのまま「ツイート」し
ます。そこに「正義」が加われば暴走は止まりません。良いことを
しているつもりで、検証もされていない情報を事実として流布します。
それが拡散していく。
セレブの追っかけの罪です。
わたしはこのタレントのラジオ番組が大好きで、長年続いた
人気番組が突然の打ち切られたことに嫌気がさし、そのラジオ局の
放送自体を聞かなくなった程ですが、いま、そんな彼の「幼さ」に、
彼の番組を聞かなくなりました。
今回は「脱原発」について。
ながく本稿をお読みいただいている方ならご存じでしょうが、
もともと私は「脱原発」的傾向をもっており、地熱や潮力といった
日本の恵まれた自然エネルギーを活用すべきである、ことあるごと
に繰り返してきましたが、いま声高に叫ぶ「脱原発」には鼻白む
思いがします。
いま「原発継続」とするだけで、経産省やら電力会社、はては
「原子力村」と称す、利権団体のメンバーとして白眼視されるよ
うになりました。
無関係なわたしですがあえていいます。
「ひとつの前提条件を踏まえた上で、まだ原発は必要」
その条件とは
「電力会社や政府の発表を信じるなら」
発電能力や余力、需要予測などが「本当」ならという前提です。
もしかして、原発を止めても「ぜんぜん余裕」かもしれないと
いう疑いを電力会社にも経産省にも政府にももっており、しかし
このすべてを疑いだしては議論ができないので、
「信じるなら」
と区切った上で、原発はまだ当面、必要と考えます。
危険な原子力は即時停止しなければ・・・と強硬に主張さ
れるのでしたら、こう訊ねます。
「地球温暖化をすすめてもよろしいですか?」
太陽光を筆頭とする「再生可能エネルギー」については今日の
明日にできるものではありません。星明かり、月明かりで発電する
ソーラーパネルはまだ実用化に遠く、雨が降っても雪が降っても
発電量は減少します。つまり、天候に左右されない「安定的電源」
が必要で、それには現時点では「化石エネルギー」を燃やす
火力発電となるのです。
ちなみに脱原発を掲げ、地球温暖化阻止を声高に叫ぶ団体は
自然エネルギーで補おうといいますが、現時点では「画餅」にすぎ
ません。彼ら「活動家」は経済活動の実務に疎く、理想を叫ぶばか
りで、銭勘定が苦手です。というか嫌っているようで、現実と
向き合おうとしません。
もちろん、乱暴な議論であることは承知の上ですが、二酸化炭素
の排出量だけで結論を導けば、地球温暖化防止をあきらめなければ
ならないということです。
さらに「コスト」の問題もあります。福島の事故を受けて、原発
が安い電力ではないという論理が独り歩きしていますが、自動車事
故でも「事故」がおきれば、保険料が割高になるように、コストに
跳ね返るものです。
ようはどこに基準を置き、許容範囲とするかの議論が必要で
事故時の銭金だけで判断するのは幼い結論です。
また、今朝の新聞報道によると、原発が止まり、その他の手段を
使って発電した場合、来年の電気料金が2割上がるそうです。これ
は電気料金だけではなく、電気を使って生産されるすべての商品の
値上がりを意味します。その値上げを甘受できるでしょうか。
ついでにいえば、太陽光発電で八面六臂の活動を見せるブラック
キューピー孫正義さん。かれはBCP(災害時の事業継続計画)の
一環として韓国にデータセンターを設置して、安心を訴えかける
セミナーを開いていました。
韓国はいわずとしれた「原発大国」。国内で脱原発を推進し、
韓国では原発で作った電気を使うということ。これを否定する
つもりはありませんが、日本海側に面して稼働している原発に
もしものことがおこれば、偏西風がいろんなものを運んでくる
のは想像に難くないでしょう。
原発ほどではないにしろ、有毒物質でいえば「自動車の排気ガス」
があります。
いま、この瞬間にすべてガソリン自動車を停止したら産業も
社会生活も破綻します。バスは使わない、電車と自転車だけだよ
という主張はナンセンスです。食糧の輸送や、運搬にガソリンや
軽油を使うトラックが使われているのですから。
強硬な脱原発派の主張はこれと同じです。
ちなみにガソリンと電気で走る「ハイブリッド車」もつなぎの
技術と見られており、電気や水素など二酸化炭素や有害物質を
排出しない自動車が本当の次世代カーです。
目指すところと、踏み出す足元は同じではない・・・ということ
を大人なら知っています。ところが脱原発教に帰依した人は
一足飛びにゴールを目指します。
さらに冒頭に紹介したタレントのようにアンチマスコミの
伝道師が原発推進派も現状維持派も、妥協的使用派(私これ)に
マスコミでラッピングして、「邪教」と認定し洗脳します。
そして幼い議論で導き出される危うい結論が独り歩きしつつ
あります。
その先頭に菅直人首相がいるんですがね。