サヘル・ローズというより「滝川クリサヘル」というほうが通じ
るでしょうか。私としては東京MXテレビ「モーニングサプリ」の
印象が強く、J−WAVEリスナーなら「さっちゃん」でしょうか。
イラン出身のタレント(本書からすれば女優)、サヘル・ローズ
さんの半生が語られております。
同情して欲しくて書いたわけではないしして欲しくない。
と彼女はいいます。
彼女の「矜持」としては理解しますが、これで同情を覚えないも
のは日本人ではないのではないかとつっこむ私がいました。
そして本の丁度半分以降から後ろは私の見立てですが、彼女自身
も整理し切れていない思いが詰まっていて切なくなります。
生まれてから「母」と出会い日本にきての苦労を読み・・・
こういう告白は大嫌いなのですが本書を語る上で欠かせないので
記しますが、泣きました。おいおいとわめき散らすそれではなく
とめどなく流れる涙は運命の残酷さと優しさによってです。
しかし、本書の価値を高く評価するのはその「涙」ではありま
せん。23歳の女性の苦悩と葛藤を行間に見たことです。
空爆に合い家族を全て亡くし「母」に出会い、日本に来て刹那で
裏切られ公園で生活、しかし「給食おばちゃん」があらわれ、
ようやくと思えば運命はまだ彼女をジェットコースターから降ろし
ません。
苦労という言葉がいまひとつしっくりと来ないのは「母」の
愛情に恵まれたからでしょう。そして今、大人になり出会いがあり
そしてその愛情に苦悩している・・・本人は意識していないので
しょうが
「23歳のイラン生まれで日本で育った女の子」
がそこにあります。
そして「ホームレス女子アナ」としなかった出版社も誉めてあ
げたい。
■戦場から女優へ
http://www.as-mode.com/check.cgi?Code=4163710205