矢口真里とベッキーを叩く視聴者の当事者意識と敗者復活戦

 矢口真里が出演したカップヌードルのCMに、批判が殺到し放送中止となります。CMそのものはさして注目もされず、この中止の方が話題になったのですから「炎上マーケティング」を狙ったと見るべきでしょう。

 そもそも間男騒動を起こした矢口真里が、それを逆手にとったかのCMで、批判を浴びないわけがありません。逆にそれを想定しない広告代理店なら、契約を解除すべきです。

 CMをおさらいすれば、ビートたけしが学長を務める「OBAKA’s大学」の矢口真里は准教授という設定で、壇上から「二兎を追う者は一兎をも得ず」と呼びかけます。

 端役ではなく主役級、みすぼらしさはなく輝いた印象の演出。
 クレーマーの矮小な正義感を刺激するには充分です。

 仮にこれがちょい役なら炎上することはなく、惨めな役回りならやんやの喝采が贈られたことでしょう。あるいは「もう、いいかげんにゆるしてやれば」と同情論が優位になったかもしれません。

 私個人としては「CM復帰は早い」と考えます。彼女への思いは一切ありませんが、万人ウケを求めるテレビCMは時期尚早。もちろん、CM次第の面はありますが、この演出では視聴者の反感を買うだろうなと。

 ビートたけしを登場させることで、力業の説得力を目指したのでしょうが、いまのビートたけしにそれほどのカリスマはありません。

 芸人としての旬は遙か彼方となり、映画監督としては名声ばかりが先走りし、コメンテーターとしても暗雲垂れ込める国際情勢の前に、護憲派のビートたけしの言葉は虚しいだけです。

 いっそネット界隈のオピニオンリーダーと化している松本人志なら、もう少し違った状況になったでしょうし、その立場に彼を押し上げた、フジテレビとしては数少ない人気番組「ワイドナショー」のなかでネタとして取りあげ、そして反論もしたことでしょう。

 矢口真里が悪いというより、オファーを受けた事務所の責任です。

 そして彼女が、いまもって叩かれる理由は、乙武洋匡やベッキー、宮崎謙介らに通じます。

 みな清廉潔白なイメージを、「商品」として商売していたからです。矢口真里は、俳優の小栗旬との「前科」がありながらも、その後の活動にセクシービームは無縁で、元気で礼儀正しい「ちゃんとした」というイメージを売り物としていました。

 乙武洋匡、ベッキーは言わずもがなで、サンキュー宮崎は「育休」の宣言がなければ、ただの不倫議員として、謹慎処分か一時離党で済んだことでしょう。

 彼女、彼らが叩かれ、執拗にそれが続くのは、一種の「産地偽装」であり、視聴者が騙されたと被害者面ができるからです。

 本来、不倫など、当事者同士の話しに過ぎないのに、清廉なタレントイメージと商品を「偽装」していたと受け取った視聴者は、被害妄想的な当事者になったのです。

 もちろん、それは視聴者側の錯覚に過ぎないのですが、タレントイメージという一種の錯覚で商売をしていた報いといえば、少々残酷でしょうか。

 表舞台から消えた宮崎謙介氏は少し別枠としても、乙武洋匡氏については、比較的早期に沈静化すると見ているのは、謝罪の有無ではなく「産地」を明確にしたところにあります。つまりは事実を認めたこと。怪しい屋台の焼きそばに、材料の原産地表示を求める野暮はあまりいません。

 有り余る性欲を持て余す亭主と、子育てに疲れ外泊を望む妻。

 作家やジャーナリスト、教育者と性欲は別の位相にあるもので、直結するのは無理な話で、つまるところは「夫婦の話」。

 それを証明するかのように、火野正平が35年間、最初の妻と離婚できないままだったと告白しても、世間は「へぇ〜」ぐらいのリアクションしかせず、皆様のNHKでは、この春から日本全国をチャリンコで巡る「こころたび」が復活しています。

 女性ということもありますが、なによりこれまでのイメージに固執する限り、矢口真里とベッキーの完全復活は難しいでしょうね。

 それでは復活は無理か。一発逆転も芸能界の魅力のひとつ。余計なお世話ながら、二人の女性の起死回生策、敗者復活のアイデアを提示しておきます。

 「ゴキブリホイホイ」のCMにおいて、矢口真里がゴキブリを演じ、必ずしも着ぐるみの必要はなく、焦げ茶のランジェリー風の衣装に触覚を付けただけでもOKで、よい休憩所があると、若い男を連れ込んだが「ホイホイ」で動けなくなり、捕まったところを元亭主の中村昌也につまみ上げられる。

 ここまでやれば良くヤッタの喝采もあるでしょうし、クレーマーの「ざまぁみろ」といった歪んだ達成感も満たされます。

 ベッキーは英会話教室。英会話講師の役で、生徒に向かって、ネイティブな発音で「センテンススプリング」。ニコリと笑って「リピートアフターミー」と。

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