甘利問題の本質と日本共産党の口利き

 BS日テレの「深層ニュース」にて、甘利前大臣の辞任についてコメントを求められた辻元清美氏の表情が若干優れなかったのは気のせいではないでしょう。キャンキャンとした批判に定評のある氏らしからぬモゴモゴ感は、我が身に刺さるブーメランを怖れていると睨みます。

 秘書がURに働きかけ便宜を図ったという疑惑について、現時点で明らかになっている情報から、罪を問われるのは、建設会社の総務担当を名乗る一色武氏から提供された300万円を、私的流用した秘書ぐらいで、それも使い込まれた側の甘利さんが訴えた場合に限られます。

 有力な政治家秘書が圧力をかけたことで、URが幾ばくかの支払いをしたという証拠があるならともかく、URが公開した秘書との面会時のやり取りでも、利益供与を断っていることは明らかで、なにしろ一色武氏が今週の週刊文春(2016年2月11日号)で語るタレコミの理由は「役立たず」なくせに、秘書らが金や接待ばかりを要求したから。

 全容解明が待たれるなか、一色氏の証言を鵜呑みにはできませんが、裏返せば、甘利サイドの働きかけが奏功していれば、文春にタレコミはしなかったということです。

 同じ号の文春で、飯島勲氏が「旧建設省で賄賂がらみの逮捕者はゼロ(要旨)」とし、この手の案件が多いことから、妙な陳情は受け付けないという社風があると指摘しています。

 はてさて、では甘利さんの秘書らは何をしたのか。陳情や請願といった、いわば「お願い」。政治家の秘書がわざわざ・・・と思うでしょうか? 秘書どころか、政治家自身が関係各所に出向くことは珍しくありません。

 最たるものが、地方議会議員による「生活保護」の申請のお供。実例なので名前を挙げますが、日本共産党や公明党の区議会議員が、病気などを理由とした生活困窮者の手を握り、車椅子を押して、当該窓口に出向いています。

 我が町、足立区の場合、区議会と区役所の本庁が同じ敷地内にあるので、申請者が区役所についたと、当該区議に電話を入れると、区議はエレベーターで降りてきて窓口までつきまといます。

 ただし、やっていることはそれだけ。

 区役所側は手続きに沿って行動し、適格者なら保護が開始され、不備があるなら不受理になるだけですが、住民票をもっている常識の枠内における生活困窮者なら、日本の生活保護は受理される仕組みになっています。

 私が取材した範囲においてですが、政治家が申請書類の裁可をすることはあり得ません。

 生活保護が受けられずに苦しむ・・・と時々悲劇が報じられますが、極端な例を除けば、役所の指導や指摘に従わなかったり、虚偽の内容を申請したり、生活状況を役所の人間に見られることを拒否したりなど、申請者側に少なからず問題があるものです。

 一方では適格者に見えるようにするノウハウもあり、これが不正受給の温床になっております。

 はてさて、生活保護申請者に同伴する地方議会とはいえ政治家の行動は「あっせん利得罪」に問えるのでしょうか。または「利益供与」などでも。もちろん、罪になど問えません。

 つまりは、ただ側にいるだけ、人によっては「口添え」ぐらいはするのかも知れませんが、それだけ。ながら、無事、生活保護の支給が決定されると、「私が手伝った」と喧伝するのが彼らの仕事。そして弱者の味方のふりができ票を求めます。

 現時点での情報における「甘利問題」はこのレベル。それを執拗に責めて困るのは、その政治家と政党・・・と気づいている人は口が重くなります。饒舌な政党もありますが、あそこはいつも嘘ばかりついているので、嘘をついている自覚すらないのでしょう。それが都市部を中心に議席を伸ばしているのが、我が国の「民度」です。残念ながら。

 まともな野党が育たないと嘆くより、嘘やデマを発して恥じない人物を養っている現実を確認すべきと教えてくれる「甘利騒動」です。

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