インターネットイニシアティブ(IIJ)の創業者による回想録。
なにが面白いって筆者の鈴木幸一さん。なにかといえば酒を飲んでいる。資金繰りに窮したら安酒をあおり、金がないのにホテルのバーで一杯引っかける。
創業期のメンバーを自宅に招いて「ダンボール製」の応接セットなものだから、うっかり重いワインを置くと、傾き倒れ大騒ぎ。
ほぼ同時期、安アパートで仲間を集め「ロックスター」を夢見つつ、冷や酒をあおっていた自分を思い出しました。
細かいところはすっ飛ばしても、いや飛ばした方が、爽快感が生まれます。本書は国内のインターネット黎明期、商用サービスに賭けた連中の冒険譚ですが、しかし、いまだに第一線で活躍する企業である、ということは「言えないこと」が沢山あるようで、ビジネス的なヒントを得ようと読み進めると、肝心なところをはぐらかされます。
極論を言えば「飲んでいるウチに解決した」てなかんじ。
もちろん、血反吐を吐く苦労をしたのでしょうが、それを筆先に滲ませないところが爽快です。
ただ、ブラックキューピーこと「孫正義」氏には思うところがあるようで、ここはじっくりとニタニタと味わうとよいでしょう。
また、駆け抜けた後に「日本のIT」について語っているところは8割方同意できます。
“日本に「IT産業」はない”
は、私が繰り返し語っていることですが、鈴木氏のような巨星が指摘した意味は重く深いでしょう。
■インターネット日本書紀
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