テロリストと同じ発想のジャーナリスト

 原理主義のテロリストと同じ発想であるジャーナリストを見つけます。自らを善なる無謬の存在と信じて疑わないから、すべてに優先されると錯覚します。一神教はみなそうだろうというツッコミには苦笑いしか浮かびませんが、現代における一般的な一神教の信者は妥協と寛容のハーフ&ハーフだと信じたいところです。

「メディアで選択肢を提示することは“もしかしたら良い方向に動くかも知れない”と今回取り上げた」

 とはテレビ朝日社員の玉川徹氏。同局「モーニングバード」の2015年1月29日の放送において、シリアにおける邦人拘束、殺害予告事件の解決策として、ネット上では陰謀論の大家として名高い孫崎享氏の「三角トレード論」を展開したことの理由です。

 三角トレードとは「ダーイシュ(ISILの蔑称、自称イスラム国)」の犯人を拘束、逮捕しているトルコのような第三国を介した邦人解放で、対価として日本は金を第三国に支払うというもの。

 後藤健二氏が拘束された当初から語るものが多数いましたが、現実的には不可能に近く、すでに捨てられたアイデアと言っても良いでしょう。名前は失念しましたが、対策室をトルコに設置していれば、この可能性もあったとする識者もいましたが、いまや目を惹くモノではなく、仮にこの放送をテロリストが見ていれば、「次はこの手でいくか」と録画していることでしょう。そもそも邦人拘束に際し、犯人に金品は支払わずとも、「仲介者」に「謝礼」を渡すことはあったとは風の噂。

 ダーイシュの声明を日本にいながら知ることができるように、ダーイシュは日本のメディアを知ることができます。世界はひとつ、道具は人を選ばず、ネットに善悪のフィルターや、宗教による差別も区別もありません。

 先の番組で玉川徹氏は「悪い方向に動いたとき」については触れません。

 今朝(2015年1月30日)の放送では、「I am Kenji」について賛辞を惜しみません。そしてコメンテーターの吉永みち子氏と飯田泰之氏は、こうした動きの広まりが、後藤健二氏が影響力のある人物だというアピールとなり、結果的に命を救うことになるのではないかと希望的観測を述べると、中東問題の専門家 吉岡明子氏、飯塚正人氏の順で「それはない」とたしなめます。

 吉永、飯田論は後藤健二氏が重要人物と分かれば殺せない、そして釈放へと傾くという論理ですが、そもそも「I am Kenji」とは、シャルリー・エブドの襲撃事件に端を発するもので、穿った見方をすれば、イスラムの予言者を馬鹿にした連中に心を寄せる行為に好意を感じるかとは飯塚正人氏。

 重要人物だから……ここは控えます。拘束されているのは日本人。日本は言霊の国です。この迷信は時に改めた方がよいとは思いますが。

 ともかく、拘束している人物の重要度の高まりとは、すなわちダーイシュの手の中にあるカード価値の急騰を意味する。交渉とはそういうものです。仮に、です。世界的な拡がりをみせ、世界の気持ちがひとつになり、その国の政府に働きかけ解放を求め、それが実現した暁に高笑いするのはダーイシュです。文字通り「神のご加護」です。

 友人を救いたい。という気持ちに心を寄せます。そして草の根的な活動を止めるものではありませんし、止まるものでもないでしょう。

 しかし、報道やジャーナリズムとは、善なるモノと信じて疑わない方向からだけ光を照射するのであれば、角度が違うだけの原理主義者に過ぎません。自分自身にこそ、もっとも厳しい「批判精神の牙」を向けることこそとは自戒を込めて。

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