日本人であることを恥と思い、絶望の日々のなかで、社会の頽廃を目指す

 各方面から励ましのお言葉を頂戴しております。ひと言でまとめると「なんで?」。社民党機関誌「社会新報」編集次長 田中稔氏が拙ブログを「名誉毀損」により提訴するという恫喝に対して寄せられる感想です。

 民事で名誉毀損を主張したとして、いったい幾らの賠償額を求めてくるのだろうかという疑問に続き、影響力というパワーバランスから見ても、泡沫な物書きと比較にならないとは、私に失礼な話しながら、現実的にはその通りの意見も多数寄せられます。

 ある飲食店店主の言葉を引用します。

「政治家が何やっているんだ」

 正確性に欠くのでフォローすると、政治関係者が批判に対して、裁判所という公的機関=税金を使って民間人を恫喝するとは何事かと憤ります。「奴らには国益という発想がない」とも。

 意見を公に発表している以上、反論や対立意見に触れることは致し方ありませんが、いきなり電話で「裁判」と・・・と呆れていたのが、先週まで。

 着々と各種準備を進めつつ、「内容証明」が届くのを待っており、売られた喧嘩は買わねばならぬの気持ちでいた昨日、

“「社民党が後藤健二さんの母親を参院選候補に擁立するのではないか」との荒唐無稽な質問状を参院議員に送ってきた記者がいる。週刊新潮の「魚谷亮太」だ。11日発売号に掲載を前提として本日1530までの回答を迫る「アテ取材」。噂を記事化するとは、あきれ果てる。”

 と、なんだか見たことがあるようなツイートを発見します。※削除されたようですが「アテ取材」で検索すると「まとめ」られた原稿をみつけることができます。

 山本太郎氏が出馬し当選し、さらには公党の党名になるご時世に、後藤健二氏の母上の出馬など驚くことでもありませんが、見たことあるようなとは、内容そのものではなく記述の仕方。

 記者の名前をカギ括弧付きで呼び捨て。ツイート主は田中稔氏で、ものを書き発表するものを呼び捨てにしても、おかしくはありませんが、人品骨柄が透けて見える思いがします。

 これを発見したのが、有田芳生参院議員のリツイート。この人、後藤健二氏を悼むとかの趣旨のツイートで、脳科学者の茂木健一郎氏と酔っぱらいながら、顔をくしゃくしゃにして笑うツーショットをタイムラインに投げる人物。

 類は友を呼ぶ。そんな言葉浮かんで消えません。

 「アテ取材」とは、解釈により様々あるようですが、文脈から解釈すると、結論のためのアリバイ作りということでしょう。しかし、政治家という公人への取材は、まっとうな活動であり、この田中稔氏が私をたしなめた

「本人への取材」

 からすれば、当然のことであり、問題視するのなら、AではYesと叫び、BではNoと指弾するダブルスタンダードです。状況により発言や主張を変えるものは、議論に参加する資格がありません。

 もっとも「自衛隊違憲論」を展開していた社会党が、村山富市政権が発足し、コロッと合憲に転向し、イラク派兵から「違憲状態」と論を翻し、民主党政権で連立に参加した社民党 福島瑞穂氏は、閣僚として問われると「合憲」と答えております。

 社会党=社民党一派の得意技なのかも知れませんが、一般常識の枠の外にあり、多くの場面で国益を損ねます。

 石堂順子氏が、選挙に出馬する予定がないなら

「ない」

 で、よいだけのこと。未定なら未定でよいだけのこと。

 心当たりがあるから狼狽したのではないかと、下衆の勘ぐりをしたくもなります。

 石堂順子氏については、先週土曜日の読売テレビの「ウェイクアップぷらす」に出演した、やはり社民党の福島瑞穂 参院議員が、

「政府は後藤健二さんが亡くなってから、石堂順子さんに連絡していない」

 と政府非難したところ、

「彼女は関係ない、奥さんはしっかりケアしている」

 と総つっこみがはいっていたのは、微笑ましい光景でした。

 田中稔氏による「内容証明」がどんな内容なのか分かりませんが、最悪の場合、逮捕勾留もある・・・ないでしょうが・・・ともかく、万が一に備えて、関係各所に連絡をし、触れ回っているのですが、あきれ顔で皆さん口にするのは

「日本は良い国だね」

 言論の自由が保障されていることへのイヤミです。

 だからなのでしょう、ダブルスタンダードは政権批判の基本動作に組み込まれており、それは社民党一派だけではありません。

 やはりテレビ番組からですが、特定の角度がはっきりしているTBS「サンデーモーニング」において、日曜朝のうららかな日射しに包まれた犬の散歩中のワンセグ視聴のため、発言者は失念しましたが、

“フランスやトルコのように人質救出に成功した国もある。
 なぜ、日本は救出できなかったのか”

 と政府に落ち度があるかのように駄々をこねますが、アメリカや英国が救出できなかったことには触れません。

 そもそもダーイシュ(イスラム国の蔑称、ISIL)を「国」のような交渉相手とみるのは認識不足で、先の福島瑞穂氏は「イラク三馬鹿事件」における救出を成功例として、その再現ができなかったのは何故かと問いかけます。

 思慮が足りず見識が不足していても、国会議員になれるのですから、日本の民主主義の賞味期限も切れているのでしょう。

 犯人が異なれば交渉方法も違ってくるのは一般常識に属します。彼女は「弁護士」の肩書きも持ちますが、刑事事件を担当したことがないのでしょうか。皆が法律を遵守しているのなら、犯罪者はそもそも生まれはしません。

 常識も含めた法律=ルールを守れない相手に、前例はさしたる意味を持ちません。

 ましてや、ダーイシュの頭目は「カリフ」を名乗るアブバクル・バグダーディ容疑者。かつて宗教指導者による交渉(話し合い)が可能だった理由はこうです。

 一神教とは絶対神の下に統合され、代弁者として預言者が登場します。この預言者の代理人、あるいは後継者が「カリフ」で、民間企業に例えるなら、預言者はカリスマ創業者で、カリフは社長といったところです。多少の語弊はご勘弁を。

 宗教指導者とは支社長や、子会社社長的な立場で、一般的なイスラム教の解釈では、現在「社長」は「空位」となっています。

 イラク三馬鹿のときは、「支社長会議」により、譲歩や融通する余地があったということです。対等な企業間取引で、部長のカウンターパート(取引担当)が主任になることはないように、交渉は同格の間で行われるものだからです。

 ところがアブバクル・バグダーディ容疑者は「社長」を名乗り始めたのです。どこかの伝統芸能の家元争いなら、のどかなものですが、この例えにおける社長とは、100%株主のオーナー社長ぐらいの絶対的権力を持っているようなもので、支社長では交渉相手になりません。

 また、これも一般論ながら「誇り高きイスラム」という表現があるように、「格」という概念が強いとなれば、「格下」との交渉は屈辱以外の何者でもありません。

 つまり過去の邦人拘束事件と、ダーイシュ相手の事件は、全く別物だということです。

 舌の根の乾かぬうちに先の「サンデーモーニング」では「有志連合」をやり玉にあげます。国会で辻元清美氏が指摘したものをなぞる形で、参加60カ国を「世界の3分の1に過ぎない」と矮小化し、軍事支援と人道支援の区別がつかないかのように視聴者を誘導します。

 安倍首相も国会で明言しているように、ダーイシュ側が作成した動画でも「非軍事(Non-Military)」と明記されております。

 番組の語るところは、有志連合への参加がなければ、後藤健二氏や湯川遙菜氏の命が助かったのではないかというものですが、先の人質奪還に成功したフランスは「空爆」をしています。

 ダブルスタンダードです。公開されている、それこそテロリストですら知っている事実を単純接続するだけで、

「有志連合参加と邦人救出は関係がない」

 ことは明らかです。

 後藤健二氏の奥様に脅迫メールが届いたのが12月2日で、衆院選挙の公示日、政府が把握したのは翌日で、公開しなかったことや、あまつさえ、外務省が奥様と現地ガイドに対して「口止め」したと「女性自身」に語ったのは、ジャーナリスト・常岡浩介氏。

 安倍政権が選挙での悪影響を怖れて「口止め」したと指摘しますが、人命がかかわるテロ事案に対して、すぐに公表することなどあり得ません。まず、まともな大人がすることは「事実確認」で、これができないまま、公表することは別の被害を誘発しかねません。

 今後の重要な課題として、現地での人脈をもつ政府関係者の不在は痛く、最後の最後までに外務省をはじめとする、日本政府はテロリストとの接点を持てなかったのでしょう。

 また、選挙への影響を斟酌したとしても、反対にこれを野放図に情報公開すれば、テロリストの思うつぼ。日本という、連中から見ても国際的な影響力(知名度という意味)のある国家の政権を揺るがせることができたと見れば、他の国の選挙期間を狙って同様の攻撃を仕掛けることでしょう。

 そもそも論で、連中に人命尊重という発想などありません。

 選挙期間に突入したから、拘束された邦人を軽視したというのは本末転倒。ダーイシュは選挙期間を狙って日本に、揺さぶりかけてきたのであり、穿った見方をすれば、政府から金を引き出しやすいと目論んだ可能性もあります。

 常岡浩介氏といえば、昨年10月の北大生シリア渡航未遂事件で、同行取材を目論んでいた人物で、「イスラム国」との繋がりを強調する中田考氏らと同型だとすれば、短絡的な同一視はしませんが、連中へのシンパシーを疑わずにいられません。

 というか、時系列で追えば、常岡氏は北大生と関係なく、10月前半の渡航を計画していたと各所で語っており、これが警察のがさ入れで中止されたことと、後藤健二氏の渡航動機となったとされる、湯川遙菜氏の安否情報をもらした「何者か」を補助線でつなげば、どちらもダーイシュの思惑通りに動かされていた、とは可能性に過ぎませんが。

 つまり、常岡浩介氏の指摘とはダーイシュ側に沿っていると言うべきでしょう。

 その常岡浩介氏がダーイシュと仲介ができると表明しても、彼を交渉人に、使える訳がないのは正常な思考回路を持っていれば当然のことです。

 犯人に近しいと疑われる人物に、交渉を委ねて、成功したとしても、身代金などが発生すれば国際社会から孤立し、失敗でもすれば政権は持ちません。なにより「ミイラ取りがミイラになる」ことだってあります。

 さらに、新潟県新潟市在住のジャーナリスト・杉本祐一氏がシリア渡航を表明し、旅券返納命令をだされ、断念させられたことを「報道の自由」と絡めて批判的に報じます。

 今朝のテレビ朝日「グッドモーニング」では、朝日新聞系雑誌「AERA」の編集長 浜田敬子氏は、「米国では報道の自由が確立されているので、旅券返納命令のようなことはおこらない(発言要旨)」と批判的にコメントしていましたが「自己責任」については触れません。

 一方、昨日の読売テレビ「ミヤネ屋」でアメリカ人の「パックン」も、米国ではテロに参加するわけでなければ、アメリカ人渡航が制限されることはないとしながら、

「何が起こっても政府に助けてくれとは言わない(要旨)」

 と「自己責任」だと明言します。

 米国ほどの自己責任論は、日本人に馴染まない気もしますが「自己責任」は社会人における原則ではないでしょうか。

 旅券返納命令を出された、杉本祐一氏は2007年8月28日の「楽天日記」で、北朝鮮を「共和国」と呼び、日本海にカギ括弧で「東海」と記述する人物。

 ネトウヨ的な短絡思考は避けますが、「国籍」が日本ならば国家には救う義務があります。仮にダーイシュに汲みするものがいても同じ。法治国家のシステム上、存在する「法の裁き」を濫用するものとて、日本国籍を持っていれば日本人にカテゴライズされ保護しなければなりません。

 しかし、公益を害するリスクを排除するのも国家の仕事です。ゴミ屋敷には行政の監査がはいり、ヤクザ屋さんには定期健診をし、信号が止まれば、警官が身を張って自動車の往来を制限するのも同じ理由で、旅券返納命令は、杉本祐一氏と彼を支持するもの以外の日本国民の利益を実現するための行為です。

 原則なので繰り返しますが、邦人保護は国家の責務です。そして「自己責任」とは国民の権利であり義務であるのは、「自由」というカードの表と裏だからです。邦人保護と自己責任は車の両輪であり、両者をつなぐ軸となるのが「国益」です。

 国益とは

「日本人として誇りを持ちながら、楽しく暮らしていける社会を維持発展する」

 というだけのこと。

 個人で負えぬ責任が発生した時点で自己責任から逸脱しています。国益に反する時点で国家の庇護は制限されると考えます。

 そして日本国における「報道の自由」とは、この当たり前の国益を実現するためにあるのではないでしょうか。

 すくなくとも

「日本人であることを恥と思い、絶望の日々のなかで、社会の頽廃を目指す」

 ことではないはずです。

 もっとも、一連の報道は、国民の体感値とは乖離しており、いわば「自己責任論」を強化する役割を果たしている点は、日本人の健全性とホッとしておりますが。

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