土砂降り雨の中、クルマを北へ走らせる。
どこへ向かっているのか、気がついているが気づかないふり。
何もなかったように夢を見ているようだ。
と、いかれたわけではなく、影響を受けているだけ。いま、レッドウォーリアーズの『ルシアン・ヒルの上で』をユーチューブで見ながらなのですが、それはこれ。
『ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987』
映画を見てきました。朝一番に上映している最寄りの映画館は、越谷の「イオンレイクタウン」だったので、北を目指したのです。ちなみにグーグルマップの地図では30分前後の到着予定となっていましたが、正味で言えば40分。ま、そんなもんでしょ。
いまから26年前、九州は阿蘇でおこなれた伝説の野外ライブ。今風な「フェス」ではなく「ライブ」です。圧巻でした。
出演はキラ星の如き、面々。
「ザ・ブルーハーツ」
「RED WARRIORS」
「岡村靖幸」
「白井貴子」
「ハウンド・ドッグ」
「BOØWY」
「The Street Sliders」
「尾崎豊」
「渡辺美里」
「佐野元春」
・・・いま、これだけの面子を集めることは困難。というか、ミュージシャンの質が違います。このほぼ全てのアーティストが、それぞれの分野において新たな音楽史の1ページを書き込んだ人々。
「CDが売れた」
というレベルの話しではありません。セールスを評価軸にしたときの結論はAKB48がだしています。マーケティングシーンを書き換えることはあっても、映画のタイトルにある「Beat Child」を生み出すことはありません。
映画を見ての結論は「蛇足」。最後の最後の蛇足さえなければ絶賛で終えるのですが、ネタバレみたいになるので記しませんが、エンドロールの最後のメッセージこそ、この映画の主演に向けたもので、こんな言葉を思い出します。
「最後に立っていたものが勝者」
そう、これはキラ星の如きアーティストは脇役です。当日券では2500円ですが、当時のBeatChildrenには激賞します。
エンドロールに流れた「尾崎豊」に、すっかり「故尾崎豊」に慣れてしまっていた自分を発見します。本当に最後の蛇足さえなければ。
で、老婆心ながら感激に向かう、いつかのBeatChildrenへのアドバイスは「水分」は控えてからどうぞ。さすがに年齢層が高めで、もっとも若くても30代中盤ぐらいで、ボリュームゾーンは40〜50代。すると
「トイレが近い」
のです。一回の上映で2回お呼ばれされている人もいました。
内容はといえば、いまなら「中止」になるような荒天の中、屋外ライブが行われます。
細かく評価を語れば、切りが無いので「総評」から。みな「ロック」を追い掛けているその背中が美しい。豪雨のなかの客との対峙。怯むこともなく、夜通しのコンサートで疲労困憊の観客に対して、手加減することもなく殴りかかるかのようです。
さて、ここからは若干、ネタバレも含むので嫌な方はここでお引き取りください。
ザ・ブルーハーツはまぁ元気。メジャーデビューした直後です。そして「ギラッチ」こと、ダイヤモンド・ユカイって歌が上手いんだと再発見したこと。あ、「RED WARRIORS(レッドウォーリアーズ)」だったことを忘れていました(笑)。
岡村靖幸は・・・このころから、やってるんじゃないかな。
ライブハウスクィーンの白井貴子のとき、降雨によりギターの音が出なくなり、また機材の故障で狼狽する彼女にはらはらし、演奏が再開し歌い始めたとき、歌うことが心の底から好きな「歌姫」が舞い降りたようです。キャバクラレベルの歌唱力で、歌姫と呼ぶのはいい加減にやめて欲しいと心から願った瞬間です。
圧巻だったのは小芝居オヤジ・・・コホン、大友康平のハウンド・ドッグ。土砂降りの雨をローブのようにまとい、降り立ったロックキング。とは言い過ぎでしょうが、格好良い!
BOØWYは好みの問題でしょうが、確かに格好は良いのですが、レコードと同じというか、それも美学でしょうが、上乗せの要素がなく、また声を張らないカ所でのフラットが気になりました。
ストリートスライダースで思わず足踏み。リズムを取りたくなる音楽は身体が喜んでいるのでしょう。わたしにとってヒーリングミュージックです。
そして尾崎豊。シェリー。チューニングは怪しいのは気のせいでしょうか。耳の良い人に確認して欲しいところですが、仮に狂っていてもそれは些末なことといえるパフォーマンス・・・ですが、やや肉付きがよく、もしかしてこちらもこのころからやってる? ただ、この5年後にはなくなるのかと思うと切なくなりました。
渡辺美里は・・・緊張してたのかな。メリハリのウィスパーな部分というか、そこが見事に声が出ていないので。
とりは佐野元春。この時点で、すでに「大御所」。で、特筆すべきは辻仁成がハートランドのメンバーとして出演していること。本人確認をするなら、リハーサル風景のほうがわかります。
しかし、映画の前半でのリハーサル風景。順次、現地入りするアーティスト達。佐野元春が来場したとき、バックに流れているのは尾崎豊の「Scrambling Rock’n’Roll(だったかな?)」。故人と言うだけではなく、贅沢な出演者です。
ここであげたのは本当に些末なこと。物書きの習性として、チェックしただけで、とにかく「楽しい」。そして
「みんな、お疲れ!」
・・・で、本当に蛇足がなければ・・・ちえっ。