ちょうど今日(平成24年11月7日)の午後三時に控訴審判決公判が東京地裁で開かれます。
粉飾決算を理由に詐欺罪に問われた中小企業が倒産したという話しです。また粉飾に加担したとして、経営コンサルタントも罪に問われています。
粉飾したのだからとはその通り。ただ、これを「特捜」が手がけたというところに理不尽さがあります。
特捜とは政治や巨大企業の組織犯罪など、通常の捜査では明るみに出ない「巨悪」を追究するための機関。それが中小企業に手をだし、それも当初の「見立て」と異なると気づきながらも、追い込んでいくその姿は悪辣です。
しかも、事件化したことで得をしたのは特捜だけ。つまり私利私欲に走ったの特捜により中小企業、経営コンサルタント、そして詐欺を働かれたとされる銀行まで損をしているのです。
本書に登場する経営コンサルタント 佐藤真言さんの言葉を要約すれば
「悪い粉飾と、仕方のない粉飾がある」
金融行政まで絡みますが、いまの銀行の仕組みは行政のいいなりです。そして赤字企業への融資は厳しく制限されています。事実上不可能です。すると決算時に赤字に転落すると、運転資金に詰まってしまい倒産するしかなくなります。
製造業や製品加工業の場合、製品が完成してお金になるまでのタイムラグがあります。この間を銀行融資でつないでいる中小企業は少なくありません。
ところが一度の赤字でこれがストップされるルールになっているのです。会社を経営していればわかりますが、赤字イコール破綻企業ではありません。楽天など上場以後もしばらく赤字でした。
設備投資や営業展開の失敗により、何年か赤字になったとしても、原材料を仕入れ製品化し、それが黒字ベースで売れているなら、リストラや拡販による十分改善することができます。しかし、運転資金のストップは、そのチャンスを奪います。そこで数字を嵩上げし、もろもろを水増しした決算書、いわゆる「粉飾」に手を染める中小企業は少ないと本書は指摘します。
メンズブランド「RICO(リコ)」や「Davit MEURSAULT(ダヴィット モルソー)」を展開していた朝倉亨さんもそのひとり。
先の佐藤さんと出会い、二人三脚で会社を建て直していた矢先に詐欺として告発され、資金繰りにつまり倒産しました。詳しくは本書を読んで怒りを滾らせて欲しいのですが、逮捕があと数日あとならば、罪は罪としても倒産することもなく、銀行への返済が続けられていたかも知れません。
しかし、検察はそれをさせまいと日を急ぎ逮捕したのです。それも見せしめのようにマスコミに事前リークしておいて。
他人事ではないのは朝倉亨さんが利用し、詐欺として告発されることとなった「東日本大震災による緊急融資制度」を利用したことで、これをもって「火事場泥棒」的な世論の喚起を狙った検察でしたが、街場の感覚では震災はありましたが、それに伴う不況対策としての「緊急融資」として受けとられていたものです。
実際、わたしも申し込みました。通年の売上からすれば、十分に要件を満たしていたと思うのですが、申請を考えた時期にたまたま大きな取引があったので「落選」していましたが、中小企業の現場において「融資」について深く考えることはありません。
当社の事業内容が「キャッシュフロー」だけで廻る仕組みになっているので粉飾とは縁がありませんが、とても他人事には思えませんし、なにより「巨悪」を倒すために与えられた大剣で、子猫をなぶり殺しにする検察なんかなくなってしまえ・・・といえないのはこう主張する人々の香ばしさゆえです。
■四〇〇万企業が哭いている 検察が会社を潰した日
http://www.as-mode.com/check.cgi?Code=4062178842
■朝倉亨さんを支援する会
http://asakura.matrix.jp/
■佐藤真言さんを支援する会
http://www.supportingsato.com/