中国の自由と米国の自由の解釈

 中国とグーグルが揉めています。

グーグルの提供するフリーメールサービス「Gメール」を利用し
ている中国人の「活動家」のパスワードを中国が盗み出そうとした
ことに抗議して、中国国内でのサービス撤退も示唆して抗議した
というのがザックリとした顛末です。

これには米国政府も噛みつきました。
ノッチ・・・もとい、オバマ大統領もインターネットの自由をなにより
大切に思うとか思わないとか。

これを受け「グーグル寄り」の報道が目立ちます。
自由なインターネット空間を守るべきだ。と。

ことの経緯を辿ると、そもそもグーグルが中国国内でサービスを
開始するに当たり「天安門」や「法輪功」と検索しても当該サイトが
表示されないなど中国政府の「検閲」を受け入れました。自由な
ネットサービスの一部を規制しても中国国内でサービスを開始する
ことで与えるメリットの方が、ネットユーザーに大きいという大所高所
からの判断という主張でした。

まぁいわば「苦渋の決断」の上で提供していたサービスが、今度は
中国側からハッキングされそうになったということで堪忍袋の緒が切れ
たということ。

中国人の「活動家」とは「人権活動家」でひいては民主化への導火線と
期待されるもので、民主主義の守護者を標榜する米国人的には正しいでしょう。

しかし「議論」とは両者の主張に耳を傾けるもの。

・・・皆さん、驚異的な経済発展にお忘れかも知れませんが、
中華人民共和国とは中国共産党の一党支配の国家体制で、発言の
自由はその体制に影響がない範囲でのみ認められています。

結論を先に述べますが、「自由」の定義が中国とグーグル、そして
米国とは違うのです。つまり米国が主張する自由とは米国が思う
自由でしかなく、中国政府からすれば大きなお世話に過ぎず、平易な
ことばで述べれば「うざい」と。

米国のクリントン国務長官(ビルの嫁)はサイバー攻撃にクレームを
つけて、中国政府に徹底的な調査を求めました。

なぜか? 端的述べれば「証拠がない」のです。

中国から・・・と思われるハッキングは台湾のサーバを経由しており
限りなく黒に近いと主張できても決定打にすることはできない状態で
解明には中国当局の協力が必要不可欠なのです。

卑近な例え話をすれば、ダンナが浮気したと妻が主張し、その
証拠としてラブホテルの名前入りマッチをつきつけます。しかし、
マッチと浮気の直接的な因果関係はありません。ホテル側が妻の「捜査」
に協力すれば、防犯カメラの映像や宿泊履歴から特定できますが、
ラブホテルはダンナが事業で営んでおり、資料提供は守秘義務を理由に
拒否している。と、ような状態ということ。

浮気現場を捕まえてもプロレスごっこと言い張るように交渉上手な
中国が決定的な証拠も抑えられてないのに、相手の主張を認めるワケが
ありません。

しかもグーグルは米国政府ではありません。米国の企業として政府が
保護するのは当然ですが、中国側からすれば、浮気された妻の実家の
本家のようなもので、しかも総領たる大統領ではなく国務長官はせいぜい
本家に住み込んでいる番頭ぐらいにしかみていません。

グーグルは中国からの撤退を示唆しました。

これとて中国にとっては痛くも痒くもありません。それどころか
歓迎する可能性すらあります。

グーグルの中国市場シェアは2位ですが、1位の百度を猛追しており
中国にとっての「国産検索エンジン」を脅かしているのです。だから
でていきたいのならどうぞ。と。

米国がグーグルを守るのなら、中国が百度を守るのも当然です。

インターネットが自由な空間であるという認識は「西側」の発想に
過ぎず、中国共産党の認める自由とのズレはすでに指摘した通りです。

また、本当に中国からグーグルが撤退するとこうした主張が行われる
可能性もあります。

「中国国内より収集した全ての情報は中国人民のものであり、
ただちにすべての返還を要求する」

かつての侵略戦争により我が中国は人民の至宝である数々の美術品を
奪われ、オークションでたたき売られてきた。インターネットの情報も
同じだ。「発展途上」の我が国のインターネットの未整備をいいことに
グーグルは本来は人民が所有権を持つ情報を簒奪していった。故に返せ。

人民とは中華人民共和国の人民で人民解放軍の人民と同じです。
つまりは中国共産党の所有物ということ。

もちろん公共の目的ならば複製を認めるという「フェアユース」と
いう概念も米国のもの。中国的理解ではありません。

その上で、中国がグーグルそっくりのサービスを開始したとしても
中国国内で流通するサービスであり、「独自」に開発したと主張され
れば主張は困難です。これはグーグルが提供するサービス自身も
そうですがインターネットサービスにおいて

「後出しジャンケン」

は低コストでリスクも低く、圧倒的シェアを持っていれば
成功は容易いのです。

さらにこじれれば「台湾問題」も絡めることができます。あくまで
サーバは台湾にあり、そこに中華人民共和国の主権が及ぶのか否か。

結論を繰り返すと価値観が違うのです。中国と米国は。

さて振り返って我が国の与党は米国と距離を置き、中国に媚びを
売っています。

自民党を壊滅に追い込んだ先にまつ未来は民主党により一党支配は
インターネットをどう変えるのでしょうか。興味は尽きません。

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